自動車技術でものづくりの楽しさを伝える「キッズエンジニア」

自動車技術会(自技会)では、子どもたちにものづくりの楽しさを体験してもらう取り組みとして「キッズエンジニア」を開催しています。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて昨年はオンラインでの実施となりましたが、14回目となる今年は3年ぶりのリアル開催となりました。7月29、30日の日程で開催した今回は、2日間で2720人が参加。会場となったパシフィコ横浜(横浜市西区)は、真剣な眼差しでものづくりに挑む子どもたちの笑顔であふれていました。

2008年から開催しているキッズエンジニアは、小学1年生から6年生を対象に、自動車技術を通じて製造業の魅力を伝える体験型の学習イベントです。これまで横浜・名古屋の各都市にて隔年で開催してきました。2020年は新型コロナウイルスの影響で中止となりましたが、2021年はオンラインで実施。横浜での開催は4年ぶりとなりました。

今回の「キッズエンジニア2022」では、パシフィコ横浜で行う「横浜開催プログラム」と、ウェブで参加できる「オンラインプログラム」の2種類のイベントを展開しました。横浜開催プログラムには自動車メーカーではトヨタ自動車日産自動車本田技研工業スズキマツダSUBARU(スバル)ダイハツ工業ヤマハ発動機が参加。部品サプライヤーはデンソーアイシン日立Astemoジヤトコ大豊工業NOKなどが参加しました。各社の現役エンジニアらが講師となり、自動車に関する技術やものづくりの楽しさをレクチャーする各種プログラムを行いました。

今年は特にプログラミングを提供する企業が目立ちました。トヨタは子どもたち自身がプログラムを組んで自動運転ミニカーを作り、走らせるプログラムを実施。日産はロボットカーを使って「自動でライトをつける」「ぶつからないクルマ」を製作するプログラミング体験を行いました。ダイハツはクルマの仕組みやモノづくりの楽しさを学ぶプログラミング学習を提供し、日立Astemoもボタンダウンロード式のプログラミングで、ラインに沿って動く車を作成するプログラムを行いました。

トヨタの自動運転ミニカープログラミング体験

一方、ホンダは燃料電池を組込んだミニカーを水素で走らせるプログラムを実施したほか、マツダは紙箱やペットボトルなど身近な材料を使って自分だけのマフラーを作る体験、ヤマハ発動機は風上に向かって走るウィンドカーを作り、風洞の専用コースを走らせました。

マツダの自分だけのマフラーを作るプログラムの様子

部品サプライヤーも独自の催しを実施しました。デンソーはモーターで動く二足歩行ロボットの組み立て、アイシンは自動走行ロボットの製作を通して、設計から試作、評価、報告までの開発者のワークフローを体感できるプログラムを企画しました。ジヤトコは主力事業の変速機の仕組みを学ぶことができる輪ゴムとプーリーを使ったミニカー作り、大豊工業は「摩擦」を知ってもらう取り組みとして、水入りの金属筒とロープをこすり合せ、筒内の水温を上げるプログラム、NOKはドライブゲーム中の脳波を測定し、自分の性格を分析する催しを行いました。

大豊工業の「摩擦」体感プログラム

自技会の大津啓司会長(本田技術研究所社長)は30日に視察に訪れ、子どもたちへのメッセージとして、「技術開発は難しいのですぐに成功するというものではありません。だけど上手くいかなかった時に考えて原因にたどり着こうとするプロセスを経験することで人は育ちます。とにかく諦めないエンジニアになってほしいです」とエールを送りました。