自動車産業の魅力を学生へ発信

皆さんは自動車産業にどのようなイメージをお持ちでしょうか。日々の生活に身近な存在であるクルマですが、自動車に関連する仕事といっても技術系から営業系まで多岐にわたります。さらにCASEやMaaSといった クルマを取り巻く事業環境も複雑かつ大きく変化しており、皆さんにとっては「自動車ってどうなんだろう」と魅力が伝わりにくい側面とも言えます。そこで、現役の経営トップやエンジニアなどを交えて業界で働くことの魅力を学生の皆さんに伝える自工会の取り組みを紹介します。

自工会では、学生の皆さんに自動車産業のことを知ってもらうために、さまざまなイベントを行っています。その中でも代表的な活動が、自動車メーカーの社長や幹部が全国各地の大学で出張授業を行う「大学キャンパス出張授業 」です。業界や技術のトレンド、企業の取り組みと多岐にわたるテーマで2013年度から実施しており、全国の大学で多くの学生に参加していただいています。質疑応答の時間を用意する講演も多く、自動車メーカーの幹部と直接話ができる貴重な機会となっています。

2019年に首都大学東京を訪れたスズキの鈴木俊宏社長

ただ、リアル開催を主とする出張授業は参加できる学生が限定されてしまうのも実情です。このため2021年度から新たに開始したのが、オンラインイベントの「次世代モビリティキャンパスモビリティ業界ライブ」です。こちらはテーマに応じて自動車メーカー各社の担当者が登壇するため、より具体的で現場に近い目線の話が聞けることが特徴です。

担当者が現場目線で仕事内容について解説

2022年7月に実施した2回目の開催では、社会課題を解決するモビリティ技術や変革するモノづくり、ソフトウエアエンジニアの成長環境と、バリエーションに富んだテーマで自動車メーカー14社の担当者がそれぞれの仕事内容や会社の状況を紹介。イベントの企画を担当した次世代モビリティキャンパス推進チームリーダーの笹山義之(トヨタ自動車人材育成室長)は、「自動車産業と一言でいっても商用車もあれば、二輪車や軽自動車と色々なメーカーがあります。そうした会社による自動車業界の多様性を伝える点もこの企画の狙いです」と語ります。当日は常時700~1000人くらいのアクセスがあり、大変盛況の中で開催することができました。

次世代モビリティキャンパス推進チームリーダーの笹山義之さん

これらの活動は、大学生や大学院生を対象にしたイベントですが、中高生を対象にしたイベントも実施しています。「ドライブ・フォー・ザ・フューチャー理系進学応援イベント」は、タイトルの通り文理選択前の高校生や中学生で、理系への進路を検討している生徒 への情報発信を目的としたイベントです。コロナ禍以降はオンラインで開催しており、今年7月に開催したイベントでは230人の生徒が参加しました。

理系の仕事の魅力を現役エンジニアが語る

このイベントを担当した女性活躍促進ワーキンググループ(WG)主査の池邉由佳(本田技研工業人事部採用グループチーフ)は「気軽に参加してもらい、自動車業界に進むきっかけにしてほしい」といいます。特に女性の場合、理系に進む友人が周りに少ないことが多く、先輩の体験談などを聞ける良い機会にしてもらいたいと考えています。

女性活躍促進WG主査の池邉由佳さん