JARIが国内初の交差点でのADAS試験施設をオープン

日本国内における自動車の総合研究機関である日本自動車研究所(JARI)。今年7月には茨城県城里町の城里テストセンターに、国内初となる交差点での先進運転支援システム(ADAS)機能を試験できる「ADAS試験場」を新設し、運用を開始しました。交差点における車両と歩行者に対する衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)の評価試験は、2024年度の自動車アセスメント(JNCAP)に導入される予定です。JARIでは、交差点でのADAS試験の環境整備を通じて、自動車のさらなる安全性向上を支援していく考えです。

城里テストセンターでは、AEBSの評価試験などを行う「第2総合試験路」を2014年に建設しました。ただ、第2総合試験路の幅員では、交差点でのAEBS評価試験の実施が難しいという問題が浮上。そこで幅員の大きい新たな試験路の整備に向けて18年から調査を開始し、構想から3年以上に渡るプロジェクトとしてADAS試験場を完成させました。

ADAS試験場は、国内では初となるADAS専用の施設です。舗装面積が約3万平方メートル。試験路は全長500メートルですが、幅員は300メートルを確保しました。従来の第2総合試験路と比べて7倍以上に広げました。これにより交差点での対車両・対歩行者といった衝突環境が再現できるとともに、交差点でのAEBSの性能評価などを可能としました。

幅員を大幅に広げて交差点でのAEBSの性能評価が可能となった

ADAS試験場には、さまざまな試験用機器も準備しています。ミリ波センサーやレーザーレーダー、カメラなど検知デバイスの試験環境を模擬するターゲット(歩行者・自転車・車)のほか、ターゲットが自動で動く移動装置も用意。公正かつ再現性の高い評価結果を得るためには精度の高い試験が求められるため、アクセルとブレーキ、ステアリングを操作するための「運転操作ロボット」も配備しています。また、車両や機材の保管庫のほか、車両整備が可能な設備も用意。敷地内にはホテルも設けており、試験場を24時間365日利用することができます。

高い精度でドライバーの操作を再現できる「運転操作ロボット」も導入

JARIの坂本秀行理事長(日産自動車取締役執行役副社長)は、ADAS試験場について「コース幅を大きく取り、交差点での自動ブレーキや危険回避をテストできる設備にしました」と説明。「自動運転技術の進化のためのランドマークとなることを期待しています」と自動車の安全技術のさらなる進化への想いを語ります。

JARI坂本秀行理事長(左から5人目)

 
参考:

JARI年次報告書(2021)

https://www.jari.or.jp/information/news/news-child/46423/