最新の四輪駆動技術を体感!自動車メーカーの氷上・雪上試乗会

自動車メーカーでは、報道関係者を対象に、雪上や氷上での走行性能を体感してもらう試乗会を実施しています。凍結路や雪道などの滑りやすい路面では、タイヤのグリップ性能もさることながら、4つのタイヤの動きを適切に制御する四輪駆動(4WD)技術が威力を発揮します。今回は日産自動車ホンダSUBARUが行った試乗会から、各社の四輪制御技術を紹介します。

日産自動車は女神湖(長野県立科町)で氷上試乗会を実施しました。試乗車には、電気自動車(EV/BEV)「アリア」「サクラ」のほか、独自の電動パワートレイン「e-POWER(eパワー)」を搭載した「エクストレイル」「ノート」「キックス」「ノート オーラ」に加え、高度な四輪制御技術を搭載した「NISSAN GT-R」や比較用として後輪駆動(FR)の「フェアレディZ」といったスポーツカーを揃えました。

日産の氷上試乗会には「フェアレディZ」をはじめとしたスポーツカーも用意

e-POWERはエンジンで発電し、モーターで駆動するという仕組みですが、モーターによる緻密なトルク制御が滑りやすい路面で安定感のある走りをもたらします。実際、ノートやキックスの4WD車は、ツルツルの氷の上でも発進や加速・減速時走行がとても安定していました。

日産は「e-POWER」搭載車も用意(ノート オーラ)

より安定感があると感じられたのが、電動駆動四輪制御システム「e-4ORCE(eフォース)」の搭載車です。前後に搭載したモーターとブレーキを統合制御することにより、車両の挙動を、より高精度に制御するものです。アリアとエクストレイルに試乗したところ、意図した通りに、車をコントロールすることができました。パワートレイン・EV技術開発本部の片倉丈嗣主管は、「アリアとエクストレイルは日産の4WD技術の最高レベルに達したが、今後もさらにe-4ORCEを進化させていく」と話しました。

電動駆動四輪制御システム「e-4ORCE」を搭載した日産「アリア」

ホンダは、蔵王ライザワールド(山形県上山市)で、4月21日 に発売する予定のSUV「ZR-V」の雪上試乗会を開催しました。ZR-Vはハイブリッドシステム「e:HEV」を搭載するハイブリッド車(HV)と、排気量1.5リットル・VTECターボエンジンを搭載するガソリン車の2種類を用意する新型車です。それぞれに前輪駆動(FF)車とリアルタイムAWD(全輪駆動)車を設定します。

雪上で四輪駆動性能を発揮するホンダ「ZR-V」

ホンダの国内向けSUVとしては初めて、ドライブモードに「SNOWモード」を設定したことが新型車の特徴です。空転を抑えるため駆動力を抑えることで、滑らかな発進が可能となりました。実際に試乗したところ、クルマの挙動がとても安定していて、運転時の安心感につながりました。

ZR-Vは「SNOWモード」で滑らかに走行

試乗会では、開発を担当した四輪事業本部モノづくりセンター開発戦略統括部開発企画部開発企画二課の河口展之、松岡亮介の両チーフエンジニアが車両の説明を行いました。ZR-Vの開発の狙いについて河口氏は、「お客さまの安心と安全を考え、(雪上など悪路でも)意のままにコントロールできるように仕上げた」と話しました。

ホンダ四輪事業本部モノづくりセンター開発戦略統括部の河口展之氏と(右)と松岡亮介氏

SUBARUはSUVの「総合雪国性能(雪上での走行性能や雪国での使い勝手)」を体験する試乗キャンペーンを開催しました。「レガシィ アウトバック」「フォレスターSTI Sport」の試乗を通じ、新たなライフスタイルにおけるSUBARU車の魅力を発信することが目的です。今回はフォレスターSTI Sportで東京から福島・会津方面に向かいました。

試乗したSUBARU「フォレスターSTI Sport」

2018年に全面改良したフォレスターは、SUBARUが最量販車種と位置付けるグローバルモデルです。路面や走行状況に応じ、前後輪に最適なトルクを配分する「アクティブトルクスプリットAWD(全輪駆動)」や、路面状況に合わせ走行モードを選択できる「Xモード」を搭載しています。

STI Sportは22年に発売した新グレードで、専用チューニングのダンパーによって、意のままのハンドリングと質感高い乗り心地を実現しています。

今回の試乗は高速道路での長距離走行と会津での雪上試乗の両方を体験しました。高速道路では、ハンドリング性能の高さと乗り心地の良さに加え、運転支援システム「アイサイト」による安心感によって、快適なドライブを楽しむことができました。会津の雪上走行では、さまざまに変化する不安定な雪道を安心して運転することができました。

長距離ドライブでも安心感のある走りを体感

どのような路面でも安定した走行を可能にするSUBARUのAWDは、低重心の水平対向エンジンとの組み合わせによる優れた重量バランスによって生み出されるものです。雪道を含めた長距離ドライブによって、その性能を十分に体感することができました。

自動車メーカーは安全と安心を追求し、車の技術を日々進化させています。車体の動きを制御する技術もその一つで、電子制御化によって、そのレベルは一段と向上しています。皆さんもぜひ、冬のドライブで最新の技術を体感してみてください。