クルマの技術を楽しく学べる体験型イベント「キッズエンジニア」

自動車技術会(自技会)では、子どもたちに自動車を中心としたさまざまな分野の科学技術やものづくりの楽しさを体験してもらう取り組みとして「キッズエンジニア」を開催しています。15回目の今年は、ポートメッセなごや(名古屋市港区)で8月4、5日に開催されました。名古屋では実に4年ぶりのリアル開催となり、2日間で4347人が参加しました。子どもたちは自分で組み立てたミニカーを走らせたり、整備士体験をしたりと、それぞれのプログラムに熱中しました。

キッズエンジニアは小学生を対象とした体験型の学習イベントです。2008年に始まり、横浜と名古屋で隔年開催してきましたが、20年は新型コロナウイルスの影響で中止、21年はオンラインで実施しました。昨年の横浜に続き、今年は名古屋でリアル開催が復活しました。

会場には、現役のエンジニアが講師となり、じっくりと学べる申し込み制の「教室型プログラム」が21種類、事前申し込み無しで気軽に体験できる「展示型プログラム」が5種類用意されました。自動車メーカーではスズキSUBARUダイハツ工業トヨタ自動車日産自動車日野自動車本田技研工業マツダ三菱自動車ヤマハ発動機が参加。部品サプライヤーからはアイシンジヤトコデンソー日立アステモなどが参加しました。

トヨタは本年新たに「クルマのトラブル!?謎を解け!~整備士なりきり体験~」のブースを出展しました。整備士の認知・興味の拡大に向け、ネジ締め体験やタイヤ交換、オリジナルの整備士体操や故障診断を用意。故障診断では、タブレットをかざすと車両内部を確認できるARツールを活用し、実車両の診断・部品交換するトラブルシュートを体験しました。

また、「材料も構造もさまざまなクルマがあり、整備士の技術力によってお客様に安全・安心にお乗りいただいている」(担当者)と展示したレクサス「LFA」にも多くの親子が集まりました。同社は今後も整備士の認知・興味拡大に向けた活動を促進するとしています。

トヨタの整備士体験プログラム

脱炭素社会に向けた技術を紹介する企業も多く見られました。ホンダは小型の燃料電池を組み込んだ水素で走るミニカーの組み立てを行いました。組み立てたクルマを走らせ、燃料電池のセルの数によるスピードの変化も体感できる内容としました。

水素で走るホンダのミニカー

マツダはエンジンの仕組みやバイオ燃料について解説し、今回のために用意したオリジナルの模型工作キットでエンジンの一部を作製しました。エンジニアが試験管に綿を入れ、空気を圧縮させて一瞬で綿を燃やす実験を見せると、子どもたちから大きな歓声が上がりました。

マツダの工作体験

昨年に続き、プログラミングがテーマの教室も多く見られました。日産は「ぶつからないクルマをエンジニアと一緒に作ろう!」と題して、タブレット端末で子ども向けのプログラミング言語「スクラッチ」を操作。自動でライトをつけたり、クルマが障害物を検知したら止まる、などの制御を学びました。

部品サプライヤーでは、デンソーがモーターで動く二足歩行ロボットを組み立てる教室を開催しました。アイシンは、コースの距離やタイヤの周長からタイヤの回転数を割り出して自動走行ロボットを走らせる教室を開きました。

デンソーの二足歩行ロボット

自技会の大津啓司会長(本田技術研究所社長)は5日に視察し、「子どもたちが主役となり、今後の持続可能な社会をつくっていくことを期待している。われわれがこうしたきっかけをつくり続けたい」と話しました。

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