日本人も活躍!ダカールラリー&アフリカエコレース

2024年の幕開けとともに、「世界一過酷なレース」と言われる2つのラリーイベントが開催されました。かつて「パリダカ」の愛称で親しまれた「ダカールラリー」と、パリダカを継承する形で始まった「アフリカエコレース」です。これらのラリーに、日本人ドライバー、ライダーも果敢に挑戦しました。その健闘ぶりを紹介します。

まずは、1月5~19日に中東のサウジアラビアで開催された「ダカールラリー2024」です。二輪、四輪、トラック、四輪バギーが、それぞれのクラスに分かれて走行タイムを競うもので、12の競争区間(SS)の走行距離は合計4,727km、競技区間の移動(リエゾン)も含めた総走行距離は7,891kmに及びます。

ダカールラリーはもともと、パリを出発し、アフリカ大陸のセネガルの首都ダカールを目指す「パリ=ダカールラリー」として1978年に始まりました。しかし、アフリカの政情不安により、2009~19年は南米で、20年からはサウジアラビアに舞台を移して開催。22年からは「世界ラリーレイド選手権(W2RC)」の開幕戦に位置付けられています。パリダカ時代から日本の自動車メーカーのチームや日本人ドライバー、ライダーも数多く参戦してきた歴史があり、日本でも注目されるラリーイベントの一つです。

今年のダカールラリーでは、市販車部門でトヨタ車体のラリーチーム「チームランドクルーザー・トヨタオートボデー」の三浦昂/マイヨール・バルベ組が優勝し、この部門での11連覇を果たしました。同チームは、トヨタ「ランドクルーザー300 GR SPORT」をベースとするラリー仕様車2台体制で今大会に出場しました。2位も同チームのロナルド・バソ/ジャン・ミッシェル・ポラト組となり、トヨタ車体のチームがワンツーフィニッシュを飾りました。

トヨタ車体は「ランドクルーザー300 GR SPORT」で参戦

三浦昂/マイヨール・バルベ組が市販車部門で11連覇

トラック部門では、日野自動車が「日野チームスガワラ」として、ボンネットタイプのトラック「HINO600シリーズ」で参戦し、同部門総合6位で完走を果たしました。日野は1991年に日本の商用車メーカーとして初めてパリダカに参戦し、今回で33回連続の完走を果たしました。今年はチーム代表でもある菅原照仁選手がドライバーを務め、染谷弘和選手がナビゲーターを、望月裕司選手がナビゲーター兼メカニックを務めました。車両には、走り続けるための信頼性をさらに高める改良を施し、ロスタイムを減らすことで上位を狙いました。その成果もあって、大きなトラブルもなく、完走することができました。

日野チームスガワラは「HINO600シリーズ」で参戦

33回連続の完走を果たした日野チームスガワラ

二輪部門でも日本人の活躍が光りました。2000年のパリダカで日本人として史上唯一、二輪部門総合10位に入った池町佳生選手です。24年ぶりに、52歳という年齢で参戦し、見事に完走。R2クラス(プロライダーを中心としたR1クラス以外のライダーが所属するクラス)44位、ベテランクラス6位と大健闘しました。

24年ぶりに二輪部門に参戦し完走した池町佳生選手

ダカールラリーと並ぶ、過酷なラリーとして知られるのが、アフリカエコレースです。ダカールラリーが南米に移った09年から開催されており、今大会で15回目を迎えました。モナコをスタート地点とし、その後、船でアフリカ大陸に移動し、モロッコ、モーリタニア、セネガルを走り抜けます。ゴールはダカールと、かつてのパリダカを彷彿とさせるコースとなっています。タイムを競う12区間のSSの全走行距離は3,951km、移動区間(リエゾン)を含む総走行距離は5,902kmに及びます。

パリダカを彷彿とさせるアフリカエコレース(公式サイトより)

今回の「アフリカエコレース2024」は、23年12月30日にモナコを出発し、24年1月2日から本格的な競技を開始、14日にゴールを迎えました。このラリーに、軽自動車のスズキ「ジムニー」で82歳という年齢で参戦したのが、伝説のドライバー、菅原義正選手です。菅原選手は1983年に二輪車で初めてパリダカに参戦し、四輪部門に転向してからは、日野チームスガワラで クラス優勝7回の輝かしい成績を誇ります。19年にダカールラリーを勇退し、20年からアフリカエコレースに参戦しています。20、22年の大会にはヤマハ発動機のレース専用小型四輪バギーで参戦しましたが、今年はジムニーで完走を果たしました。

ジムニーでアフリカエコレースに参戦した菅原義正さんと、ナビゲーターの松本尚子さん(画像提供=エキップスガワラ)

アフリカエコレースには、日本人選手として、菅原選手以外にも、二輪部門にアマチュアライダーの田中愛生選手が出場しました。過酷な環境下の難しいコースを走り切り、初挑戦にも関わらず、見事に完走しました。

菅 原義正選手や田中愛生選手も完走した(画像提供=エキップスガワラ)

砂漠や山岳路など、厳しいコースが多い海外のラリーでも、多くの日本人選手が挑戦を続けています。今後もラリーだけでなく、サーキットを含めた幅広いモータースポーツで、世界を舞台にした日本人の活躍が期待されます。

関連リンク

ダカールラリー公式サイト(英語)

世界ラリーレイド選手権(W2RC)公式サイト(英語)

アフリカエコレース公式サイト(英語)