大型車自動運転「レベル4への道」はじまる
12月4日、新東名高速道路浜松サービスエリア(SA)において自動運転トラックの実証実験が報道陣に公開されました。
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国土交通省(国交省)と経済産業省(経産省)は2021年より自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト「Road to the L4」を推進しています。このプロジェクトには旅客と貨物輸送の双方における無人自動運転サービスの研究開発などを行う4つのテーマがあり、「テーマ3(高速道路における高性能トラックの実用化に向けた取り組み)」では2025年以降に高速道路でのレベル4自動運転トラックやそれを活用した隊列走行を実現することを目標に、車両技術だけでなく運行管理システムやインフラなどの外部支援、情報など事業化に必要な環境整備に取り組んでいます。
「RoAD to the L4」プロジェクトの実施体制
「テーマ3」では、国交省はじめ大型車メーカー4社や商社、スタートアップなど事業会社が参画し、新東名高速道路の駿河湾沼津 SA~浜松 SA間における深夜時間帯での自動運転車優先レーンの設定と、車両開発と連携した自動運転サービス支援道による自動運転トラックの公道走行に向けて、2024年11月から実証実験を実施しています。
新東名高速道路における自動運転トラック実証実験
今回の要素技術検証の取材イベントでは、無人運転実現時の「中継エリア」を想定した浜松SAでのトラックによる自動発着のシーンが公開され、各社のそれぞれの技術を搭載した大型トラックが本線からSAに入場すると自動運転に切り替わり、所定の枠内に自動で停車し開発者の確認後再度自動で発車し本線に向かう様子を報道陣が熱心に取材しました。
今回報道公開された「中継エリア」実証実験の要素技術検証
プロジェクトの担当者は今回の実証実験の評価および今後の目標について、次のように語りました。
国土交通省道路局道路交通管理課 高度道路交通システム(ITS)推進室
課長補佐 北城 崇史 氏
トラックの自動運転は、昨今話題になっている物流問題に対して解決策の一つとして期待されているので、インフラ管理者として我々国交省道路局としても政府目標や物流の問題解決に資するような支援内容を検証しているところです。
今日の実験については、新東名高速道路において自動運転トラックの自動発着の実験を行いました。きちんと自動で到着をして自動で発車できたということを確認できたと思います。
今後は、今回お見せした自動発着以外にも合流支援や先読み情報提供等のインフラからの支援の検証を進めていき、支援の有効性や円滑性に資するインフラ支援の中身を検討していきたいと思ってます。
「ROAD to the L4」プロジェクトテーマ3 リーダー(株式会社ネクスティエレクトロニクス)
技監 小川 博 氏
ドライバー不足、若い世代のドライバーの成り手がいない、その理由の一つが中距離幹線輸送が日にちを跨いで運航しないといけないこと。それに伴って高齢化がどんどん進んでおり、50代、60代のドライバーが増えてきています。
このままでいくと「2024年問題」も含めて2030年頃には30万人くらいドライバーが不足するという試算もあり、既に物が運べない状態が始まっています。
このプロジェクトでは、幹線輸送を無人自動化し、ドライバーの方々には地方で地場を運転してもらうことによって若い人たちにもドライバーとして物流に参加してもらうことが期待されます。
無人の自動運転トラックを将来目指す際には、人が乗り降りする場所が必要になってきます。人が降りてトラックが発進するときには無人で発進するので自動発進し、到着するときにも、自動で駐車しないといけない。このように無人化したときには自動発進・自動駐車は必須になるので、今回の実験でそれが確認できたことは大きいと思います。
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