- 2025/07/11
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商用車の謎④ 特装最前線
いわゆる「特装車」には、さまざまな種類、仕様があり、冷凍車、クレーン車、消防車、救急車など多岐にわたります。「商用車の謎」を探る企画、その第4弾は主に〝働くクルマ〟に該当する特装車の役割、特装車を活用するメリットなどについて紹介します。
特殊な改造を施した車両には8ナンバーが割り当てられ、「特殊用途自動車」と呼ばれます。改造の内容は車両の用途によって異なり、緊急時での使用、法令で定めた事業での使用などに分類されます。
「特装車」とは、特定の用途や使用目的に合わせて車体に部品や装置を取り付け、ボディーなどに改造(架装)を加えた車両を指します。特装車は大きく分けて、商用車と乗用車に分けられます。
商用車は、小型トラックなどに多種多様な装備を架装したり、マイクロバスを改造したりしています。具体的には冷凍・冷蔵車、消防車、クレーン車などが挙げられるでしょう。
乗用車では、専用パーツやエンジン、ボディーなどを改造、販売される車両が特装車として扱われます。例えば、救急車や道路巡回車のほか、高齢者・障がい者向けの福祉車両に仕様変更される車両も特装車とされます。
【冷蔵・冷凍車】
飲料・食品を配送する冷凍・冷蔵車は、食品会社や物流会社など、さまざまな企業で採用されています。車体にロゴやラッピングを施し、〝走る広告〟として企業・商品の宣伝にもつながります。
運搬する商品・積み荷に対応した温度域で使用でき、荷台にはカーテン、スノコなどを設け、ドア開閉時でも冷気の流出を防止、温度管理を安定させます。運転ミラー部に液晶カラーモニターが付き、荷台の確認などもできます。

(写真提供・極東開発工業株式会社)
【ポンプ車】
ポンプ車は、ポンプを使って液体を輸送する車両の総称です。消防ポンプ車とコンクリートポンプ車の2種類があります。消防ポンプ車は、高圧ポンプを内蔵し消火活動のために放水する車両で、コンクリートポンプ車は、ミキサートラックが運んでくる生コンクリートをパイプやホースを通じて圧送する装置を備えた車両です。
一般的に知られる消防ポンプ車は、消化活動に不可欠な車両で、消火栓や防火水槽の水を活用します。各地の消防署に配備され、狭い道でも通行しやすいよう小型車両が多く見受けられます。

(写真提供・株式会社モリタ)

(写真提供・株式会社タダノ)
【クレーン車】
クレーン車は、荷物を吊り上げることができる特殊な車両です。建設現場や解体現場、物流施設などで、資材・貨物の移動や組立作業などに使われます。
トラッククレーンは道路走行用の運転席と、クレーン操作用の運転席がそれぞれ別に設けられているタイプ、ラフタークレーンは1つの運転席で走行とクレーン操作の両方ができるタイプです。
ラフタークレーンは不整地や狭い場所で作業に適しており、小回りが利くため、市街地での作業にも活躍しています。クレーン車は甚大な災害発生時などにも活躍する重要な車両です。

(写真提供・株式会社タダノ)
【移動オフィス/移動販売車】
数年前に起きたコロナ禍のニーズに対応、テレワークの普及とともにワンボックス車などを事務所仕様にカスタマイズした「移動オフィス」として、机・椅子、通信環境、モニターなどを備えた車両も登場しました。
車内に滞在、移動しながらデスクワークが可能で、〝スキマ時間〟を生かして業務も効率化できます。
都市部のビジネス街や住宅街では、車内で調理してランチを販売するキッチンカー(フードトラック)を利用する人たちも急増しました。コロナ以前には見られなかったオフィスビル前にキッチンカーが並び、弁当などを購入する人の列ができる様子も今や定番となっています。
特装車は用途に合わせて改造されており、〝働くクルマ〟として作業者の負担を減らし、人手不足を解消することも担い、生産効率や輸送効率が大きく向上しているといえます。
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