新しい仲間にトップがエール! 自動車メーカーが一斉に入社式

新年度が始まり、自動車メーカーが一斉に入社式を実施しました。コロナ禍が落ち着いたこともあり、今年は多くのメーカーで新入社員が一堂に会しての入社式が行われました。自動車産業がかつてない変革の時代を迎えている中、若い力に期待するメッセージを各社のトップが送りました。

■トヨタ自動車

トヨタ自動車には今年、キャリア採用も含めて1479人が入社しました。本社(愛知県豊田市)で開いた入社式の会場には、役員を含め約1460人が集まり、2022年度中に入社したキャリア採用者もオンラインで参加しました。佐藤恒治社長は、「感じてほしいのはクルマづくりの楽しさ。今、世の中にないものを自分の手で仲間とともに作る。必死に努力した先にお客さまの笑顔がある。それがクルマづくりの醍醐味(だいごみ)です」と新入社員を激励しました。トヨタは1日付で佐藤社長をはじめ新経営体制へ移行しました。会場では佐藤社長のレクサス「LC」など、役員の愛車を披露しました。

新入社員に向けて訓示を述べるトヨタ自動車の佐藤恒治社長

■日産自動車

日産自動車はグローバル本社(横浜市西区)に757人の新入社員を集め、入社式を開きました。新型コロナウイルスの感染拡大以来、22年まではオンライン形式だったため、同じ会場で全ての新入社員が集まるのは4年ぶりです。スマートフォンを活用して内田誠社長とコミュニケーションできるイベントや、先輩社員とのトークセッションなども実施し、交流を深めました。内田社長は、「感性を磨き続けてほしい」「自分らしさを大切にしてほしい」「失敗を恐れず、何事にもチャレンジしてほしい」と3つのポイントを新入社員に要望しました。その上で、「一緒にワクワクする未来を創っていきましょう」とメッセージを送りました。

日産自動車では内田誠社長と新入社員全員が記念写真

■本田技研工業

ホンダは、宇都宮市内で入社式を開催しました。オンラインで接続した全国6事業所と合わせ、合計706人の新入社員が参加しました。三部敏宏社長は、「変化の時代はリスクも伴いますが、そこから生み出されたものは、私たちの勝ち技にもなります。難しい時代かもしれませんが、安定した時代より面白い。そこには新しい発想が求められます」と述べ、若い戦力への期待を示しました。

「安定した時代より面白い」と話した本田技研工業の三部敏宏社長

■スズキ

スズキは、浜松市内のホテルで入社式を開催しました。スズキに入社する735人に加え、関係会社や販売代理店の新入社員、総勢1404人の門出を祝いました。鈴木俊宏社長は、大切にしてもらいたいこととして、「コミュニケーション」「考えること」「社会人としての自己管理」の3点を挙げました。さらに、「スズキグループにとって、販売と製造は、いわば車の両輪であり、いずれも欠かせないものです」とし、サプライヤーやディーラーの新入社員に向けても激励の言葉を送りました。

鈴木俊宏社長に代表挨拶するスズキの新入社員

■マツダ

マツダはマツダ体育館(広島市南区)で入社式を開催しました。20年以降はコロナ禍で式を中止したり、オンライン開催にしたりしましたが、今年は同じ会場に全新入社員590人を集めて開催しました。丸本明社長は、「人を深く知る」「人と共に創る」「飽くなき挑戦」をマツダが最も大切にすべき重要な価値観と説明しました。その上で、コロナ禍の下、学生時代を過ごした新入社員に対し、「苦労したからこそ、人の痛みが分かり、人を思いやる心を持っています。積極的に周囲と関わりを持ち、皆さんの経験や持ち味を存分に発揮してほしいと思います」とメッセージを送りました。入社式では、スマートフォンを使って発信した新入社員の質問に先輩社員が回答するトークセッションも行いました。

新入社員全員が一堂に会したマツダの入社式

■SUBARU

スバルは本社ビル(東京都渋谷区)内にあるイベントスペースや、群馬、東京、栃木の工場、研究開発拠点でそれぞれ対面式の入社式を開催し、総勢519人の新入社員の入社を祝いました。本社ビルでの入社式で中村知美社長は、「過去からの延長線ではない非連続の時代、その変化への適応が会社にも、社員にも求められています」と、事業環境を説明しました。その上で、「会社に新しい風を吹き込んでほしい。そういうチャレンジをする人をしっかりと見ているし、応援しています」と語りかけました。

本社ビルでのSUBARUの入社式

■三菱自動車工業

三菱自動車は、岡崎製作所(愛知県岡崎市)で入社式を開催しました。京都製作所(京都府右京区)と水島製作所(岡山県倉敷市)とも中継でつなぎ、合計256人の新入社員が参加しました。加藤隆雄社長は、「世の中は新しい時代に変わっていきます。われわれも新しい時代に向かって、どんどんチャレンジして新しいことをやっていかなければ、この先は生き残っていけません」と述べ、新入社員と危機感を共有しました。「近い将来を担っていく若い世代の皆さんの発想力、行動力に期待しています。ぜひ新しい時代に向けて一緒にチャレンジをしていきましょう」とメッセージを送りました。

三菱自動車工業は各製作所を中継でつないだ

■ダイハツ工業

ダイハツ工業が本社大ホール(大阪府池田市)で開いた入社式には、194人の新入社員が参加しました。昨年は滋賀(竜王)工場(滋賀県竜王町)と本社に分かれて開催しましたが、今年は新入社員が一堂に会して開催することができました。奥平総一郎社長は、「(コロナ禍は)家族や友人と共に過ごせることがどれだけ大切なのかということを気づかせてくれる機会でもありました。本日は皆さんの顔を見て、同じ場所でこの入社式を開催できることのうれしさを改めて実感しています」と話しました。その上で、「変化の激しい時代の荒波を乗り越えていくためには、一人ひとりの意識・行動が『変わる』必要があります。皆さんには若さと柔軟な視点を強みとして、ダイハツが『変わる』刺激をもたらすことを期待しています」と述べ、変革への強い期待を寄せました。

一人ひとりの意識が変わる必要性を強調したダイハツ工業の奥平総一郎社長

■いすゞ自動車

いすゞ自動車には今年、291人が入社し、藤沢工場(神奈川県藤沢市)で入社式を開きました。南真介社長は、「お客さまの稼働を止めない『安心』は大事にしながら、これまでないイノベーションを起こす『斬新』が無ければ、100年に一度の大変革期を乗り切ることはできません」と述べました。その上で、「いすゞが変わることは、日本の物流、日本の社会をより良くし、ひいては世界も良くする、という意識を持って仕事に取り組んでいただきたいと思います」と、求める人物像を示しました。

いすゞ自動車の南真介社長は「いすゞが変わることは世界を良くするという意識を」と呼び掛けた

■UDトラックス

UDトラックスには今年、157人が入社しました。入社式は、昨年同様、本社(埼玉県上尾市)と5カ所・6会場をオンラインでつなぐハイブリッド形式で開催しました。丸山浩二社長は、「私がいつも仲間に言っていることは、『仕事は厳しく、でも職場は楽しく』です。皆さんが配属されることをたくさんの先輩が心待ちにしています。ぜひ、前向きに、元気に職場に入ってください。一緒に、良い会社をつくっていきましょう」と、呼び掛けました。

「一緒に良い会社をつくろう」と語ったUDトラックスの丸山浩二社長

■日野自動車

今年215人が入社した日野自動車は、東京都日野市内で入社式を行いました。小木曽聡社長は、日野が大切にするべき「誠実」「貢献」「共感」の3つの価値観を挙げ、「若い皆さんは職場に入って、こうした意識・想いを大切にし、若い力で一緒に支えてもらえたと思います」と述べました。そして、「私はよく、『決められたルールの上をただ走れば良い時代は終わった』と言います。若い皆さんには、そうしたことも意識してもらい、これからいろいろな経験や努力をしてもらえたらと思っています」と話しました。

日野自動車の小木曽聡社長は3つの価値観を新入社員と共有

■三菱ふそうトラック・バス

三菱ふそうトラック・バスは、川崎市内で入社式を開催しました。カール・デッペン社長は、「ここは、皆さんが輸送の未来を形づくる場所であり、私たち全員が社会のために人生を変えることができる場所です」とし、歓迎の意を示しました。さらに、「私は30年以上、会社に勤めていますが、世界を動かしているすべての人たちに対して、毎日興奮と情熱を感じています。ここで仕事のプロに向けた道を歩む皆さんの幸運を祈っています。ようこそ、チームへ」と述べ、新しい仲間を歓迎しました。

三菱ふそうトラック・バスのカール・デッペン社長は「ここは輸送の未来を形づくる場所」と新しい仲間を歓迎

■ヤマハ発動機

ヤマハ発動機は、本社(静岡県磐田市)で入社式を開きました。今年は305人が入社し、入社式には294人が参加しました。日髙祥博社長は、「今年は、パンデミックからエンデミックの時代に向け、世界中が動き出します。かつての追い風も、間もなく逆風となるでしょう。皆さん一人ひとりがチャレンジスピリットを存分に発揮し、失敗を恐れず果敢に挑んで下さい。長期ビジョンで掲げた、『人がもっと幸せになれる』未来の実現に向けて、ともに貢献していきましょう」とエールを送りました。

■川崎重工業(カワサキモータース)

川崎重工業は、神戸市内で入社式を開き、新入社員278人が出席しました。橋本康彦社長は、「私の好きな言葉に『求めよ、さらば与えられん』という聖書の言葉があります。物事を成就させるには、与えられるのを待つのではなく、自ら進んで求める姿勢が大事という意味です。新入社員の皆さんには、新たな自分にチャレンジしようという決意を大切にしていただき、当社グループメッセージ『カワる、サキへ。』を体現してほしい」と述べました。


「チャレンジする決意を大切に」と語った川崎重工業の橋本康彦社長