二輪車の祭典、モーターサイクルショーが大阪・東京・名古屋で開催

二輪車の祭典、モーターサイクルショーが3月から4月にかけ、大阪、東京、名古屋で開催されました。SNS(会員制交流サイト)の普及やコロナ禍などで二輪車に関心を示す若者や女性が増加する中、国内二輪車メーカー4社は、普通二輪免許で乗ることができる125~400ccのモデルをはじめ、多くの新型車を披露しました。会場はどこも昨年を上回る来場者でいっぱいとなり、バイクファンの熱気に包まれました。
 
マスクの着用が個人の判断に委ねられるようになったその週末、3月17~19日にインテックス大阪(大阪市住之江区)で開催されたのが「第39回大阪モーターサイクルショー2023」です。

先陣を切って開催された大阪モーターサイクルショー

国内二輪車メーカー4社をはじめとする116の企業・団体が合計277台を出展し、前年比2倍超となる7万5138人が来場しました。東京、名古屋の展示会に先駆け、国内初披露の新型車も数多く用意されました。

初日から賑わった大阪 来場者数は前回の2倍超

ヘルメットやウエアなど、バイク用品のメーカーも多数出展(大阪)

大阪に続き、3月24~26日には東京ビッグサイト(東京都江東区)で「第50回東京モーターサイクルショー」が開催され、過去最多となる166の企業・団体が出展しました。会場には569台もの車両が展示され、22年の前回実績を12.7%上回る13万9100人が来場しました。

東京モーターサイクルショーには14万人近くが来場

開会式の様子(東京)

4月7~9日には、愛知県国際展示場(Aichi Sky Expo、愛知県常滑市)で「第2回名古屋モーターサイクルショー」が開催されました。展示エリアを前回の1.6倍に広げ、出展者数も前回(100者)を上回る115の企業・団体が出展しました。

初日から多くの来場者が詰めかけた名古屋モーターサイクルショー

展示エリアを1.6倍に拡大(名古屋)

来場者数は4万2355人と前回を17.0%上回りました。ライダーのすそ野を広げるため、前回に続き高校生以下の学生や障がい者のほか、女性の入場も無料とし、家族連れや女性も多く来場しました。2回目の開催で東京、大阪に次ぐ二輪車ショーとして浸透してきました。

週末は屋外で試乗会を実施(名古屋)

子どもの電動バイク体験教室も(名古屋)

多くの新型車が披露された中で、今年、特に注目されたのは、若者や女性が乗りやすい125~400ccのモデルです。ヤマハ発動機は、「#YAMAHAではじめるバイクライフ」「#あつまれヤマハ乗り」をテーマに掲げ、2023年内に市販予定の「YZF-R15」(155cc)「YZF-R125」「MT-125」「XSR125」(いずれも125cc)の4車種を公開しました。同社はこの排気量帯のラインナップはスクーターのみでしたが、よりファンな要素が強いスポーツモデルを発売し、若年層や新しく免許を取得した人の選択肢を増やします。ヤマハ発動機販売の松岡大司社長は、東京開催でのプレスカンファレンスで「バイクブームを一過性に終わらせない。より手軽に楽しんでもらえるようにしたい」と新型車投入の狙いを説明しました。

ヤマハは排気量155cc、125ccの新型車4車種を公開

ヤマハのブース

女性からの関心も高かった(ヤマハ)

バイクライフの入り口になるモデルとしては、カワサキも「ELIMINATOR」(400cc)を約15年ぶりに復活させることを発表しました。ロー&ロングな独特のデザインに加え、同社のモデルの中でも、シート高が735 mmと低く、足つきが良いことが特徴です。展示スペースには、08年の生産終了前を懐かしむベテランライダーが目立った一方、特徴的なデザインを新鮮に感じる10~20歳代とみられる若者も多く集まりました。

カワサキは「ELIMINATOR」の復活を発表

カワサキブランド専門店「カワサキプラザ」をイメージしたブース(大阪)

人気車の跨り体験に長い列(カワサキ)

ホンダが展示したスクランブラーモデル「CL250」も、歴史あるプロダクトブランドの一つです。「CL」ブランドはもともと1962年に生産を開始した「ドリームCL72スクランブラー」で使われ始めた名称で、2002年まで、さまざまなモデルに使用されてきました。ホンダは250ccクラスには、スクーターのほか、クルーザー型の「レブル250」やオフロード車「CRF250L」、スポーツ車「CBR250RR」などをラインアップしていますが、街乗りからツーリングまでを意識したスクランブラーモデルを新たに加え、若年層ユーザーも取り込みたい考えです。

ホンダは新型車「CL250」を展示

二輪免許の取得者数(大型二輪、普通二輪、原付の合計)は19年から3年連続で増加し、21年は38万1974件(同10.2%増)になりました。特に増加率が高いのは女性と20歳代の若者です。二輪車メーカーは、扱いやすいエントリークラスを拡充するとともに、ライディングスキルを養える教育やバイク仲間を増やせるイベントなどにも積極的に取り組むことで、新規ライダーが安心して二輪車を楽しめる環境づくりを推進しています。

ホンダブースでは走行を疑似体験できるコーナーも(名古屋)

中級者から上級者向けの新型車も多数、披露されました。スズキブースの目玉になったのが、今回のショーで国内導入を発表したストリートバイク「GSX-8S」(800cc)です。軽量・コンパクトなエンジンに、出力特性やトラクションコントロールを選択できる機能を搭載し、さまざまな走行シーンや幅広いスキルのユーザーに対応したことが特徴です。

スズキは「GSX-8S」の国内での発売を発表

アドベンチャータイプのスズキ「Vストローム」

スズキは、このモデルとともに、スポーツアドベンチャーツアラー「Vストローム800DE」の国内導入も発表しました。アドベンチャータイプの新型車としては、ホンダも新型車の「XL750トランザルプ」を公開し、5月25日に発売すると発表しました。両社によると、アウトドアブームの流れもあり、アドベンチャータイプの人気は高まっているようです。

スズキのブース

このほか、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)に向けたモデルとして、ホンダが個人利用を想定した電動バイク「EM1e:」を展示。これまで法人向けのみに展開していた電動バイクを個人向けにも広げ、電動二輪車の普及を進めていく考えです。

電動スクーター、ホンダ「EM1 e:」

 

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