6/5は世界環境デー!各社のサステナビリティレポートに見る環境への取組

6月5日は国連が定める「世界環境デー」です。自然や地球について皆で考え、環境保全への意識を高めていくことを目的に1972年に制定されました。自動車産業も環境への負荷を低減することによって持続可能な産業を目指しています。そこで今回は、各社のサステナビリティレポート等から見た自動車メーカーの環境への取り組みを紹介します。

近年、世界の自動車産業にとって特に大きな課題になっているのが「気候変動」です。地球温暖化の原因である二酸化炭素(CO2)の排出を削減するため、自動車が走るときだけでなく、生産、輸送、リサイクル、廃棄といった製品ライフサイクル全体としての排出削減が必要とされています。自動車メーカーはそれぞれ2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)に向けた戦略を策定しています。

トヨタ自動車は50年に新車からのCO2排出量を90%削減(10年比)することを目指しています。ハイブリッド車(HV/HEV)、プラグインハイブリッド車(PHV/PHEV)、電気自動車(EV/BEV)、燃料電池車(FCV/FCEV)といった電動車を中心とした多様なパワートレインを展開し、目標を達成します。中でもBEVは30年までに30車種をグローバルに乗用・商用車に展開し、フルラインアップとすることで、30年に350万台の販売を目指します。水素やバイオといった非化石燃料の可能性も踏まえ、水素エンジンなどの開発も進めています(統合報告書2022、Sustainability Data Book参照)。

トヨタは30年350万台のBEV販売を目指す(統合報告書2022)

カーボンニュートラルに向け車の電動化は進む見通しです。50年度までにライフサイクル全体でカーボンニュートラルを目指す日産自動車は21年1月、30年代の早期から主要市場で投入する新型車の全てを電動車とすることを目指す、と宣言しました。同年11月に発表した長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」では、30年度までにグローバルの電動車のモデルミックスを50%以上に拡大することも表明しました(SUSTAINABILITY REPORT 2022参照)。

日産は30年代早期に主要市場の新車を全て電動化(SUSTAINABILITY REPORT 2022)

本田技研工業は日本メーカーで唯一、ZEV(ゼロエミッション車)メーカーになることを宣言しました。40年には四輪車の新車販売の全てをEVまたはFCVにします。EVのカギとなる電池の調達についても外部調達と独自開発の両面で取り組み、全固体電池は20年代後半の実現を目指し独自の研究開発を加速しています(Honda Sustainability Report 2022参照)。

ホンダは40年にZEVメーカーを目指す(Honda Sustainability Report 2022)

中堅メーカーもそれぞれ脱炭素戦略を構築しています。スズキは50年に日本と欧州で、70年にインドでそれぞれカーボンニュートラルを目指し、日本で6車種、欧州で5車種、インドで6車種のEVを30年度までに投入します。主力のインドでは、牛糞を原料とするバイオガス燃料の製造・供給事業にも挑戦します(サステナビリティレポート2022参照)。

スズキはインドでバイオマス事業に挑戦(サステナビリティレポート2022)

マツダは50年のカーボンニュートラルを目指し、電動化技術を段階的に積み上げていく「ビルディングブロック構想」を推進しています。25年以降は独自のEV専用プラットフォーム「SKYACTIV SCALABLE ARCHITECTURE」を新たに導入します(マツダサステナビリティレポート2022参照)。

マツダ「商品技術のビルディングブロック構想」(サステナビリティレポート2022)

EVの自社生産に向けた国内生産再編を発表したのはSUBARUです。25年をターゲットにBEVの自社生産を開始し、27年以降に専用ラインを設ける計画です。23年5月には、28年以降に国内でのEV生産能力を40万台とすることを発表しました(INTEGRATED REPORT 2022、2022年度決算説明会資料参照)。

スバルは28年以降に国内で40万台のBEV生産能力を確保(2022年度決算説明会資料)

2009年に世界初の量産型EV「i‐MiEV」を発売した三菱自動車は、サプライチェーン全体での2050年カーボンニュートラル実現を宣言し、 強みであるPHEVを中心とした電動化を推進しています。今後5年間にわたり電動車(※)9車種を投入し、その先の30年度には電動車販売比率を50%、35年度に100%まで引き上げることを目指しています。(新中期経営計画「Challenge 2025」、三菱自動車「環境計画パッケージ」参照) (※):EV、プラグインハイブリッド車(PHEV)、ハイブリッド車

三菱自動車は電動車販売比率を30年度に50%、35年度に100%へ引き上げを目指す(新中期経営計画「Challenge2025」、三菱自動車「環境計画パッケージ」)

ダイハツ工業は30年までに国内で販売する車両を全て電動化します。その後はZEVやカーボンニュートラル燃料車の販売比率を拡大し、50年には燃料製造時に排出されるCO2を低減する技術開発も進めます。またトヨタグループの一員として、35年までの生産カーボンニュートラルを目指し、22年10月に京都(大山崎)工場をリファインしました (DAIHATSU Sustainability Report 2023)。

ダイハツ工業は35年までに生産カービンニュートラルを目指す(DAIHATSU Sustainability Report 2023)

大型車は乗用車以上に脱炭素化のハードルが高いとされています。いすゞ自動車は電動化の推進とともに、高効率な内燃機関の追求、カーボンニュートラル燃料の利用、新技術の組み合わせた必要と考えています。25年までに技術の見極めを行い、30年までに社会実装を進めながら量産モデルを拡大していく方針です(統合報告書、いすゞ環境長期ビジョン2050参照)。

いすゞ自動車は電動化とともにカーボンニュートラル燃料の可能性も追求(統合報告書2022)

日野自動車は30年に新車から排出するCO2の40%削減(13年比)を目指しています。お客様視点・ニーズに合わせたさまざまな電動車の開発に加え、物流マッチングによる幹線輸送効率化への取り組みも行っています(日野環境マイルストーン2030参照)。

日野自動車は30年に新車からのCO2排出40%削減(13年度比)を目指す(日野環境マイルストーン2030 )

二輪車でも脱炭素が課題です。ヤマハ発動機はBEV販売目標を35年に20%とし、50年に90%を目指します。再エネ比率が高い欧州などから展開し、30~35年にかけ東南アジアに展開し、50年のカーボンニュートラルを目指します(ヤマハ発動機グループ環境計画2050参照)。

ヤマハ発動機は50年に二輪車のBEV販売比率90%へ(ヤマハ発動機グループ環境計画2050)

自動車メーカーは自社のオウンドメディアを使って、環境への取組みを積極的にアピールしています。一度、各社のウェブサイトをのぞき、未来の自動車の姿を想像してみてはいかがでしょうか。

関連リンク

2022/02/04 日本の自動車メーカーによる #SDGs の取り組み