電動化や運転支援の最新技術で競演!人とくるまのテクノロジー展2023 YOKOHAMA

自動車技術会は5月24~26日、パシフィコ横浜(横浜市西区)で「人とくるまのテクノロジー展2023 YOKOHAMA」を開催し、自動車メーカーも出展しました。今年は3日間の来場者数が前年比46.1%増の6万3810人(昨年は4万3665人)と想定の約4万人を大きく上回りました。メーカー各社はカーボンニュートラル(CN)に向けた取り組みや自動運転の最新技術などを披露し、来場者の注目を集めました。

カーボンニュートラルへの多様な技術

自動車の大きなテーマになっているCNの分野では、電動化をはじめとした取り組みを各社がアピールしました。

トヨタ自動車は「プリウス」のプラグインハイブリッド車(PHV/PHEV)のカットモデルの展示をはじめとし、多様な技術でCNを目指す「マルチパスウェイ」の考え方をパネル展示で解説しました。蓄電池、太陽光発電、電動車をつなぎ、家全体に電力を供給する住宅用蓄電池システム「おうち給電システム」も紹介しました。

トヨタ「プリウス」PHEVのカットモデル

日産自動車は電動パワートレイン「X-in-1」を展示しました。モーター、インバーター、減速機、発電機、増速機の5つをモジュール化したe-POWER用の「5-in-1」と、モーター、インバーター、 減速機の3つをモジュール化したEV用の「3-in-1」です。EV専用プラットフォームを採用したEV「日産アリア」のカットモデルも展示し、熱心に見学する来場者の姿が見られました。

日産アリアのカットモデル

本田技研工業は次世代FC(燃料電池)を展示し、同システムを多用途展開するコンセプトを紹介しました。電池では難しい大型の商用車や建設機械、発電機の電動化に貢献します。ポータブルバッテリー「Honda Mobile Power Pack e:」によるバッテリーシェアリングや資源循環に関する展示も行いました。

ホンダはFCシステムや自動運転技術の次世代コンセプトを出展した

三菱自動車工業はPHEVをコアとした電動車開発の取り組みをパネル展示で紹介しました。PHEVを電動化の中核に据え、ニーズに応じ、HEVやBEVを展開していくという考え方です。アジアクロスカントリーラリー2022で優勝した「トライトン」のレプリカを展示し、得意の四輪制御技術やラリーで培った耐久性もアピールしました。

三菱「トライトン」(ラリーレプリカ)

進化する自動運転技術

交通事故ゼロ社会の実現やドライバー不足対策として期待されているのが運転支援をはじめとした自動運転技術です。今回の展示会では最新の運転支援技術や地域での自動運転実証実験の取り組みを紹介しました。

ホンダは、車が通信で全ての交通参加者とつながることにより、「誰もぶつからない交通社会」を目指す安全安心ネットワーク技術を紹介しました。ドライバーの運転負荷をさらに低減する「Honda SENSING 360 Next Concept」や、一般道も含めたシームレスな移動を支援する運転支援技術「Honda SENSING Elite Next Concept」のパネル展示も行いました。

日産は運転支援システム「プロパイロット2.0」のシミュレーターで、最新の運転支援技術体験を実施しました。マツダはドライバーの異常を検知すると自動で減速・停止し、高速道路では路肩退避まで行う「ドライバー異常時対応システム」をパネルで紹介し、同システムを搭載した「CX-60」を展示しました。

MAZDA「CX-60」

実証実験の取り組みを紹介したのはダイハツ工業です。軽自動車「タント」をベースに、カメラやLiDAR(ライダー)、GNSS(衛星測位システム)を搭載した自動運転車の実証実験を、坂が多く、道幅が狭い神戸市の丘陵住宅地で今年3月に行いました。

ダイハツが自動運転実証実験に使用した「タント」

スズキSUBARU(スバル)は新製品を展示しました。スズキは新型軽商用車「スペーシア ベース」を展示し、「マルチボード」を使った車中泊やワーケーションでの活用を提案しました。排気量800ccクラスの新型二輪車「V-STROM 800DE」では、軽量化による扱いやすさをアピールしました。スバルは新型「クロストレック」を展示しました。同モデルには長時間座っていても疲れない新開発シートを採用しています。骨盤を効果的に支えるために追加した「仙骨ブラケット」が見えるよう、カットモデルを使って紹介しました。

スズキは軽商用車「スペーシア ベース」や二輪車「V-STROM 800DE」を展示

スバルは新型「クロストレック」を展示した

大型車メーカーもEVを紹介

CNは大型車メーカーの課題でもあります。展示会ではいすゞ自動車が17年ぶりに全面改良した小型トラック「エルフ」を展示するとともに、初めて設定したEVモデルやホンダのFC技術を採用した大型FCトラックについても、パネル展示で紹介しました。

新型「エルフ」

日野自動車はEVトラック「日野デュトロZ EV」を展示しました。BEV専用シャシを見ることができるよう荷室の床をシースルー化した展示用車両です。前輪駆動モジュールも展示し、電動化技術をアピールしました。

日野は小型EVトラック「日野デュトロZ EV」を出展

UDトラックスはオンラインで出展を行い、大型トラック「Quon(クオン)」に搭載した「UDアクティブステアリング」などの運転支援システムを紹介しました。また自動化・電動化の将来ビジョン「Fujin & Raijin(風神雷神)―ビジョン2030」などの紹介や、各種製品の動画を公開しました。

UDトラックスは「UDアクティブステアリング」などの最新技術を紹介

自動車メーカーなどへの供給を目的とした製品・技術ブランド「αlive(アライヴ)」を展開するヤマハ発動機は、同ブランドの4製品を展示しました。初めて展示したのは小型・軽量・ハイパワーが求められるドローンなどへの搭載を想定する エンジンとモーターを組み合わせたシリーズハイブリッドシステム「αliveRX」です。将来的には合成燃料の対応も視野に開発を進めます。水素エンジン「αliveH₂E」を搭載した可搬式発電機やユニバンスと共同開発したEV駆動ユニット「αliveEE」、専用音響LSI内蔵のコントロールユニットと専用スピーカーで走行音をチューニングする「αliveAD」も展示しました。

ヤマハ発動機は新製品・技術ブランド「αlive」の製品を展示

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