- 2023/08/09
- JAMAGAZINE, その他, 自工会
遊びながらクルマを学べる!科学技術館の「ワクエコ・モーターランド」
子どもたちに自動車を身近に感じてもらえる施設が東京の中心にあります。科学技術館(東京都千代田区)2階の「ワクエコ・モーターランド」です。シミュレーターによる運転の模擬体験や、自動車が動く仕組みやものづくりの流れ、安全・環境への取り組みといったテーマを装置や映像などを使って分かりやすく紹介するなど、趣向を凝らした展示を行っています。夏休みのお出かけスポットとしても最適です。
科学技術館は「産業を身近なものに」というテーマで1964年4月、皇居に隣接する北の丸公園内に開館しました。5階建ての館内には自動車、鉄、建設、電機・電子・情報・通信、電力、薬といったさまざまな産業を紹介する展示室が設けられています。どの展示場も「見て、触って、動かす」ことによって産業を知ってもらえるつくりになっています。平日には小学校中・高学年の子どもたちが社会科見学で訪れるほか、休日には家族連れが多く来場します。
ワクエコ・モーターランドは自工会が提供している展示室で、「どりーむ」「ものづくり」「うんてん」「かんきょう」「しくみ」「あんぜん」といったテーマ別に、映像やパネル、運転シミュレーター、カットモデルなどを使って自動車を紹介しています。科学技術館学芸員の松浦匡氏は、「身近なところを切り口にして、自動車の技術を紹介するつくりになっている」と話します。
子どもたちに特に人気なのが運転シミュレーターです。二輪車、乗用車、大型トラックのシミュレーターがあり、前方に映し出される映像を見ながら運転を体験できます。ワインディングロードの走行や街中でのエコドライブのほか、コネクテッドカーを体験できるものを展示室入り口横に設置しています。
子どもたちに人気の運転シミュレーター
「あんぜん」コーナーには自動車が衝突するときの音や衝撃、シートベルトが締まる感覚を体験できるシミュレーターがあります。合わせて、衝突を回避するための車線維持装置や衝突被害軽減ブレーキといった最新の安全技術を紹介しています。
産業という視点で展示を行っているのが同館の特徴です。自動車でも「ものづくり」コーナーがあり、映像で車づくりを紹介するとともに、クルマの形状を検討する際につくられるクレイモデルを展示しています。デザイン、設計、部品製造、組立といった車づくりの一連の流れを知ることができます。役割を終えた車のリサイクルの流れを紹介するパネルもあり、自動車産業全体を知ることができます。「将来、仕事を選ぶときの選択肢になる可能性も踏まえた展示内容」(松浦氏)になっています。
リサイクルの流れを紹介するパネル
自動車がどのように動くのかを紹介した「しくみ」のコーナーでは、手で動かせるスケルトンモデルを展示し、エンジン、トランスミッション、ステアリングなどの装置がどのように動くのかを見ることができます。ハイブリッド車のスケルトンカーは、運転席に座ってペダルを踏むとエネルギーの流れが目で見て分かるようになっています。ワークショップスペースも設けられており、自動車が動く仕組みを実験や映像で知ることができます。
手で動かせるスケルトンモデル
スケルトンのハイブリッド車はエネルギーの流れが分かるつくり
ワークショップでクルマの走る仕組みを学べる
展示場の奥のスペースには、実物大のクルマやバイクが映し出される「リアルスケールビジョン」があり、名車の数々を映像で紹介します。「コレクションウォール」には1950年代からの名車の数々がミニカーで並び、大人も一緒に楽しめる展示となっています。
「コレクションウォール」には名車のミニカーがずらり
科学技術館には、産業別の展示場のほかに、科学をテーマにした「遊び」「創造」「発見」の森を意味する「FOREST」(フォレスト)(5階)という展示場があります。
大きなシャボン玉をつくったり、竜巻を発生させたりする装置や、大きな装置でボールを運んだり、ロープを引くと滑車で車が持ち上がったりする装置など、子どもたちが夢中になるものが数多く並べられています。特徴は説明書きが一切ないことです。松浦氏は「何だ、これは?というアイテムをたくさん並べてあるので、見て、触って、動かしてみることで、科学について考えるきっかけにしてもらいたい」と話します。
触って動かして科学に触れる「FOREST」(上:大きな装置でボールを運ぶ。下:ロープを引くと滑車で車が持ち上がる)
夏休みには子どもたちにいろいろな体験をさせてあげたいものです。今年の夏は暑さを避け、遊びながら学べる科学技術館に家族そろって足を運んでみてはいかがでしょうか。