昭和100年!懐かしの車が勢ぞろい

多くのクルマファンが毎年訪れる旧車の展示会「Nostalgic 2days(ノスタルジックツーデイズ)」と「AUTOMOBILE COUNCIL 2025(オートモビルカウンシル2025)」が開催されました。かつて流行した憧れのモデルを懐かしむ中高年層や、現代の車両にはない独特な意匠に関心を持つ若年層で会場は賑わいました。折しも今年は昭和100年。4月29日の「昭和の日」にちなみ、イベントの様子を紹介します。

2月22~23日にパシフィコ横浜(横浜市西区)で開催されたノスタルジックツーデイズには、自動車メーカーや市販用品メーカー、カーショップなど185社(前年は165社)が出展しました。各社のブースでは、レストアした車両や70年以上前に発売した珍しいクラシックカーなどが並びました。最近では、旧車の人気が高まっていることもあり、2日間の来場者は前年を上回る4万2561人となりました。

今回、特別展示として出展された1台が日産自動車「スカイライン2000 GT-R(PGC10型)」です。いわゆる「ハコスカ」と呼ばれる車両で、今回の展示車は1969年式と発売間もない時期に生産された車両でした。会場の入口付近に展示され、かつて日本のモータースポーツを席巻した名車を懐かしむ来場者の関心を集めました。

1969年式のスカイライン2000 GT-R(PGC10型)

トヨタ自動車は、一度廃番となった純正部品を再生産などで供給する「GRヘリテージパーツ」の取り組みを紹介しました。実際にパーツを組付けてレストアした「スプリンタートレノ(AE86)」や、レストアプロジェクトを展開する「スープラ(A70型)」も展示してサービス精度の高さをアピールしました。

レストアされたスープラ(A70型)

マツダは、ユーザーから譲渡された車両3台を展示しました。還暦のお祝いとして購入した女性が30年にわたって乗り続けた「ロードスター」や、長崎県在住の女性が80歳の誕生日に免許を返納するまでの25年間乗り続けた「RX-7」などです。パネルを設置し、各オーナーと愛車の物語を紹介しました。

ユーザーから譲渡されたRX-7

このほか、整備士を育成する日産・自動車大学校は2003年式の「スカイライン」を特装した車両を展示。30~50代をターゲット層に、訴求できる意匠に仕上げた点などを紹介していました。

日産自動車大学校による特装スカイライン

ヘリテージカーの祭典「オートモビルカウンシル2025」が4月11~13日、千葉市美浜区の幕張メッセで開催されました。今回、自動車メーカーはトヨタ自動車、本田技研工業、マツダ、三菱自動車の4社がブースを構えました。節目の10回目となる今回は、「過去が見た未来」をテーマに、過去のモーターショーに出展されたコンセプトカーを展示。当時、どのような未来を見据えていたかを体現するコンセプトカーが、現代のクルマにどう生かされているかを示しました。

トヨタ自動車は、1989年にフランクフルトモーターショーと東京モーターショーに出品した「4500GT」を披露しました。67年に販売したスポーツカー「2000GT」を、89年当時の最新技術で“復活”。同コンセプトカーは3代目「ソアラ」をはじめ、後のスポーツカーづくりにつながったといいます。また、ブースでは旧車の復刻パーツの供給、クルマ文化の“場づくり”など一連の取り組み「トヨタクラシック」を紹介しました。

バブル期に登場したコンセプトカー4500GT

ホンダは2ドアクーペ「プレリュード」の新型投入に合わせ、初代から最新型まで全世代のモデルを展示しました。リトラクタブルヘッドライトを採用した2~3代目は「デートカー」として人気を博し一世を風靡。ただ、バブル崩壊後、スペシャリティクーペの市場は縮小し、2001年に生産を終了しました。四半世紀ぶりに復活を果たす6代目は次世代のハイブリッド車(HV/HEV)として今秋に国内投入される予定です。

歴代プレリュードが並んだ

マツダブースではデザインを軸にコンセプトモデルの歴史をたどりました。現在の「魂動(こどう)デザイン」を象徴する「ビジョンクーペ」や「魁(かい)」などのコンセプトモデルを展示。後の「マツダ3」に反映された魁のデザインは、日本の美意識を追求し、サイドパネルは典型的なキャラクターラインを一切廃し、シンプルでありながら美しいフォルムに仕上げました。魁のデザインがいかに市販車に反映されているか分かります。

マツダ3のベースとなった魁(かい)

三菱自動車は1989年に発表したコンセプトカー「HSR-Ⅱ」を展示しました。超空力ボディやフルタイム4WD、四輪操舵(4WS)などの四輪制御技術、追尾走行や自動車庫入れなど先進技術を搭載していました。こうした技術は、後の「ランサーエボリューション」や現行型「アウトランダ―」などに受け継がれているといいます。ブースでは1964年に発売された「デボネア」、1970年に発売された「ギャランGTO MR」(70年式)など昭和の時代を切りひらいてきた名車が展示されました。

当時の先進技術をフル装備したHSR-Ⅱ

関連リンク

ノスタルジックツーデイズ

オートモビルカウンシル

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