- 2025/05/14
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世界の社食から ②三菱ふそうトラック・バス
グローバルに活動する日本の自動車メーカー。国内のオフィス・工場でもさまざまな国の人々が行き来し、従事し、そしてランチを食べます。そうした国際色豊かな集いの場である「社食」(社員食堂)を訪問する新企画。第2弾は、三菱ふそうトラック・バス本社・川崎製作所の社食です。
―2018年に社食のリニューアルを実施したとお聞きしました
「きっかけは本社の移転です。もともと本社は川崎市幸区にあったのですが、19年に同市中原区の川崎製作所に集約しました。このため、拠点内で働く人数が大幅に増えることとなり、社食もリニューアルが必要となりました」
―具体的にはどういった部分が変わりましたか
「社食を利用する社員が増えてもゆとりを持って食事を楽しめるように、食堂のスペースを拡大しました。カフェコーナーも新設したので、休憩や懇談にも使えます。もちろん、メニューも見直しました。当社では社食を良くするために『食堂委員会』を運営し、社員の声を拾っています。そこでは『もっと食事の種類を増やしてほしい(特に野菜)』や『より美味しいものを食べたい』といった意見が出ました。これらを反映し、複数の総菜を自分で取り分けられる『デリコーナー』と、目の前でシェフが調理する『ライブキッチン』を新設しました。これらの取り組みは社員に好評です」

社員満足度の高いデリコーナー
―運営面での改善はなにか実施しましたか
「最も大きかったのは、生産や開発などに携わる直接員と間接部門の社員の利用時間をずらしたことです。本社の移転前は全員が正午から午後1時の間に利用しており、状況によっては混雑することもありました。いまは、直接員は正午から、間接部門の社員は12時30分からと開始時間を分けました。この結果、ピークの時間がずらせるようになり、食事を円滑に提供できています」
―精算システムも変更したとお聞きしました
「リニューアル前は本社勤務者の社員証によってのみ支払いを行うことのできるシステムでしたが、全国各地の社員が本社の食堂を利用することも多く、利便性が確保されていませんでした。今回、こうしたケースにも対応できるように、交通系ICカードを持っていれば誰でも利用することができ、社食の使いやすさも高まりました」

交通系ICでの支払いになり、より便利になった
―改装によって食堂内に大型のディスプレイやステージを設けられましたが、どういった狙いがあるのでしょうか
「社員数の増加に伴い、会議室の不足が予測されました。このため、社食の一角を会議スペースとしても活用できるようにしました。さらに、ディスプレイやステージを設けることで、多目的な使用も可能としました。敷地内には講堂もあるのですが、社食にはより多くの人数を集められます。実際、部署単位での『タウンホールミーティング』や内定式といった大規模な会合を実施しました。24年からは経営陣と社員の交流を深めるために『きずなトークス』もステージで開いています。これは、役員と希望する社員なら部門や役職に関わらず誰でも参加できるリラックスした雰囲気のトークイベントです。内容は多岐にわたりますが、趣味のようなプライベートな話題が出ることも多いです。カール・デッペン社長が参加したこともあり、経営陣と現場の距離感を近づけることに一役買っています」

第1回「きずなトークス」での安藤寛信副社長兼開発本部長とのトークセッションの様子
―コロナ禍を機に『社食から社内に活気を』という動きが起きたそうですが、どういった流れだったのですか
「コロナ禍によって社員間のコミュニケーションを制限せざる得なくなりました。当社でも『会社の雰囲気が少し暗くなった』といった声がありました。社食の利用率が下がったのも事実です。しかし、そういった時だからこそ、『人が集まる場である食堂からもっと活気を出していこう』と役員が打ち出し、社食もさまざまな企画を催しました。例えば、『半額メニュー』です。社食としては割高な1千円超えのメニューが対象となったケースもありますし、500~600円の一般的なもので行ったこともあります。当社ではさまざまな国の社員が働いていますので、これにちなみドイツや中国、フランスといった国々の料理を提供するイベントも実施しました。いずれの企画も評判がよく、社内に活気が戻る一助になりました」
―社員の健康増進にも取り組んでいるとお聞きしました
「当社は、社員が健康で元気に働ける環境をつくる『健康経営』を推進しています。この一環で、23年から栄養士による講演会を社食で定期的に開いています。その日食堂で提供した食事にちなんだ講話をしてもらい、適切な栄養摂取や体調管理に関する理解促進を図っています。ヘルシーなメニューも取り揃えており、今後も社員の健康な体づくりに貢献していきます」
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