自販連総会での自工会会長ご挨拶
自工会会長の豊田章男は2月25日に開催された2022年度日本自動車販売協会連合会(自販連)の定時総会にてご挨拶いたしました。
自工会では2020年4月からコロナ感染拡大のなか、団体間の垣根を超えて自動車産業が日本経済の牽引役になるとの想いから日本自動車部品工業会(部工会)、日本自動車車体工業会(車工会)、日本自動車機械器具工業会(自機工)、そして自販連ともに、「自動車5団体」としてモノづくり基盤強化やカーボンニュートラルへの対応に取り組んでいます。今回、会長の豊田はコロナ禍のなかご尽力いただいた販売現場の皆さま方に感謝するとともに、自工会と自販連がさらに連携を強化し、自販連金子直幹新会長および会員の方々とともに自動車産業を盛り上げていくことを力強くお伝えしました。
■会長 豊田 章男(トヨタ自動車 代表取締役社長)
この2年、私たちは自販連にも加わっていただいた「自動車5団体」として、「経済復興のけん引役になろう」という一心で行動してまいりました。心ひとつに動いてくださった加藤前会長をはじめ、自販連の皆さまに感謝申し上げます。
足元では、度重なる減産の影響で新車の納期が長くなり、販売店の皆さまには大変なご苦労をおかけしていると思います。こうした厳しい状況の中でも、日々お客さまとの絆をつないでくださっている現場の皆さまに、心よりお礼申し上げます。本当にありがとうございます。
ご承知のとおり、CASE革命によってこれからのクルマは単なる移動手段ではなく、蓄電池や情報通信デバイスなど「社会インフラ」の一部になってまいります。それにともない、販売店の役割もクルマを販売・整備する拠点から、モビリティを軸に地域の暮らしを支える拠点へ変わっていくと思います。例えば、EVなどの電動車に不可欠な充電インフラ拠点として、 地域の人々にとってより身近な存在になっていく。そして、そのネットワークを生かし自動運転やコネクティッド技術を使ったモビリティサービスの拠点としての役割も出てくると思っております。
社会インフラとしての役割を果たすには、地域のこと、お客さまのことを誰よりも深く知っている販売店の存在が、これまで以上に重要になってまいります。
そして、今よりもっと自工会と自販連の連携が必要になると思っております。
(本総会で就任された)新会長の金子直幹さんは、九州のバス会社を営むご家庭に生まれ「社会インフラ」としてのモビリティの大切さを肌で感じてこられた方です。そして、座右の銘は「まず隗(かい)より始めよ」。
「大事業をするには、身近なことから始めなさい」
「挑戦する時は、まず言いだした人が動きなさい」
という意味だそうです。
まさに、金子さんの「人となり」を表す言葉だと思います。
金子さんは、いまでも野球を続けておられるアスリートです。野球好きが高じて会社に野球部をつくり、現在軟式野球の最高峰の天皇杯優勝を目指しておられます。私もそうですが、アスリートは頭よりも先に体が動きます。子供の頃は「勉強もしないで運動ばかりして」と言われ、 肩身の狭い思いをしたかもしれません。しかし、今のような「正解がわからない時代」には、
「まず動く」というアスリートの特性が強みになる。少なくとも私はそう信じております。
そして、金子さんのもう一つの強みが「若さ」です。「若さ」のアドバンデージは「失敗を恐れないこと」だと思います。
若い世代の方々は、 兄のような存在として、何でも相談し、 新しいことに どんどん挑戦してほしいと思います。先輩の皆さまにおかれましては「この若いもんが」とか「お手並み拝見」と言わず、豊富な知識と経験で若い新会長をバックアップいただきますようお願いいたします。
とは申し上げたものの、金子さんも54歳。決して若いとは言えませんが・・・
彼の気持ちの若さに賭けていきたいと思います。
金子さんは、誰に対しても正直であたたかく、どんな時でも明るさを失わない太陽のような人です。
今の日本には、カーボンニュートラルをはじめ、難しい課題が山積しております。そして、世の中には明日が見えない閉塞感から、対立や批判といった「負の感情」が渦まいております。こんな時だからこそ、いつも明るく、前を向き、地域のために自ら動く金子さんのようなリーダーが必要だと思います。
そんな金子さんと一緒に、私も自工会会長として、またクルマ大好き・運転大好きなひとりとして、明るく、楽しく、元気よく、自動車産業を盛り上げてまいりたいと思っております。
金子さん、自販連の皆さま、自動車産業のため、未来のために、これからも一緒に進んでまいりましょう。