二輪車バッテリーシェアのGachacoが東京で始動

電動二輪車用のバッテリーシェアリング事業を手がけるGachaco(ガチャコ)東京都は、10月25日に都庁の近隣にある駐車場(東京都新宿区)で電動二輪車のバッテリーシェアリングサービスの開始式を開催しました。都は2035年までに都内で販売する二輪車の新車を非ガソリン化する方針を掲げています。電動二輪車の本格普及に向け、充電をまかなえるステーションを整備する動きが広がりつつあります。

ガチャコは、二輪車メーカーの本田技研工業カワサキモーターススズキヤマハ発動機の4社と石油元売り大手のENEOSホールディングス(エネオスHD)が出資して4月1日に立ち上げた会社です。出資比率は、エネオスHDが51%、ホンダが34%、カワサキモータース、スズキ、ヤマハ発が各社5%ずつ出資しています。設立した会社の代表は、エネオス出身の渡辺一成代表取締役CEO が就任しています。

二輪車の電動化に向けた課題では、主に「航続距離」「充電時間」「バッテリーコスト」の3つがあります。このためガチャコでは、バッテリーを交換式としてシェアリングすることで課題解消につなげる狙いです。

開始式では電動二輪車を使ってバッテリーの脱着を実演

また、交換式バッテリーは二輪車メーカー4社で共通規格とし、メーカーを問わずバッテリーのシェアリングが可能な仕組みとしました。バッテリー交換ステーションは、本田技研工業が開発を手がける「Honda Mobile Power Pack Exchanger e:(ホンダモバイルパワーパックエクスチェンジャーイー)」を採用しました。国内での同機の設置は初めてで、25日から稼働を始めました。なお、海外ではインドで同機を使ってシェアリングサービス事業を今年から始めています。


バッテリー交換ステーション

今回始めたシェアリングサービスでは、契約基本プランとして、使用電力量に応じて「ショート」「ミドル」「ロング」の3つを用意しました。基本料金の参考価格は、ショートで1カ月5500円(走行目安は500km)です。各プランで使用電力量の上限を設定し、超過する場合は超過料金が発生する仕組みとなっています。

当初はデリバリーサービス事業者をはじめ法人向けに展開していきます。22年度中には23区内を中心に18カ所でステーションの開設を計画し、来年度以降も増設を予定しており、利便性を高め利用者の拡大につなげていきます。

10月25日の開始式には、小池百合子東京都知事とガチャコの渡辺CEOらが出席しました。式典で小池都知事は「カーボンニュートラルに向けて二輪車の電動化も進めていく」と意気込みを述べました。


シェアリングサービスに出席したガチャコの渡辺一成代表取締役CEOと小池百合子東京都知事

このバッテリーシェアリングサービスは、2年にわたる自工会や大阪大学などによる産官学連携のバッテリー交換式電動二輪車の実証実験「eやん OSAKA」がベースとなっています。東京でのガチャコサービス開始に先立ち、7月に「eやんOSAKA」の実証実験結果を公表しました。参加者の79%がバッテリー交換の手間について「満足」と回答し、結果からシェアリングの利便性の高さが確認できたほか、ユーザーの利用頻度や距離、ルートなど詳細な行動様式のデータが蓄積、分析され事業化につながりました。

自工会副会長兼二輪車委員会委員長の日髙祥博(ヤマハ発動機社長)は、「この実証実験をスタートとして動き始めた電動二輪車普及の輪が新たにENEOSとの繋がりへと波及をし、そしてガチャコという新会社での取り組みに結実しました」と成果発表時の会見で述べ、「今後はこの電動二輪車普及の輪が、更に大きく広がり、カーボンニュートラルを目指す様々な企業、団体、ユーザーに繋がっていき、より大きな動きへと成長していくことを大きく期待します 」と抱負を語りました。

今回のサービス開始には「eやんOSAKA」の知見が生かされている

なお、ガチャコのシェアリングサービスは、今回の東京での展開を皮切りに大都市圏から順次エリアを拡大していく方針です。ステーションを増やしていくことで電動二輪車が利用しやすい環境の構築に結び付けていきます。

参考:

eやんOSAKA実証結果発表! バッテリー交換式電動バイクの優位性示す