今年もやってくる!WRCラリージャパン

2023年世界ラリー選手権(WRC)の最終戦「フォーラムエイト・ラリージャパン2023」が11月16~19日に愛知県と岐阜県で開催されます。今年は地方自治体が初めて大会運営に加わることでも注目されています。公道を走る地域密着型の競技として、自動車文化の醸成につながるとの期待も高まっています。

1973年に始まったWRCは、フォーミュラ・ワン(F1)世界耐久選手権(WEC)などと並び、国際自動車連盟(FIA)が主催する世界的に著名な自動車レースの一つです。もともとは世界各地で開催されていたラリーの中から14のラリーを選び、それをシリーズ化したのが始まりです。欧州、中南米、アフリカなど各地域で開催し、アジアでは日本で行われています。公道を競技の舞台とし、産業振興、地域振興、モータースポーツファンの拡大などを目的にしています。

競技の舞台は一般道

専用のサーキットなどを走行するF1やWECと大きく異なるのは、競技が一般道で行われること。舗装路(ターマック)や未舗装路(グラベル)、凍った轍(わだち)のある雪道なの一般道を封鎖して設定する「SS(スペシャルステージ)」と呼ばれる競技区間の走行タイムの合計で競います。最高速度が時速200kmにも達するラリーカーが公道を駆け抜けていく姿は圧巻です。

四季を感じられるコースを設定

また「リエゾン」と呼ばれる移動区間があることもWRCの特徴のひとつです。リエゾンとは、SSとSSの間の移動区間のことで、競技用車両が公道をその地域の道路交通法に従って一般車両と混走します。そのため、ラリージャパンでは、日本の古い街並みを通ったり、一般車両と競技用車両が一緒に信号待ちをするシーンも見ることができたりします。競技車両や選手を間近に見ることができ、モータースポーツを身近に感じられることもWRCの特徴です。

ラリージャパンのリエゾン区間には日本の古い街並みも

日本でのWRCは、2004~10年にかけて北海道で開催されていました。会場を北海道から中部地方に移し、20年に再び開催する計画でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、2年連続で中止となりました。12年ぶりの開催となった昨年は、愛知県・岐阜県の両県で行われ、観客動員数は4日間の合計で8万9千人以上に達しました (ラリージャパン事務局発表)。

競技コースは愛知県の豊田市・岡崎市・新城市・設楽町、岐阜県の恵那市・中津川市にまたがり、ラリーの迫力や日本の四季を感じられる山間地域を設定しています。開催地の一つである豊田市に本社を構えるトヨタ自動車は、「GRヤリス ラリー1ハイブリッド」で参戦します。

今年のラリージャパンでは、全国の地方自治体で初めて、愛知県豊田市が運営に携わります。SSの一部を豊田市が所有する豊田スタジアム(愛知県豊田市)で行います。普段はサッカーなどの試合が行われ、天然芝が敷き詰められていますが、ラリージャパンの大会期間中はアスファルト舗装にします。

豊田スタジアム内にもコースを設置

持続可能な大会を目指し、カーボンニュートラルへの対応として地産再生可能エネルギーの活用や電動車からの電力供給などを行います。出展者のチラシなどをペーパーレス化するなど、ごみの最小化にも取り組みます。

昨年のラリージャパンでは、競技車両から出火したり、閉鎖された競技区間に一般車両が進入したりするなどのアクシデントに見舞われました。この経験を踏まえ、大会運営に携わるスタッフを1千人以上に増やし、入念な安全対策を実施します。「競技者、観戦者すべての人にとって安全・安心な大会」(ラリージャパン2023実行委員会)を目指して取り組みます。

モータースポーツファンや地域住民が一体となって競技が行われるのがWRCの醍醐味です。11月のラリージャパン開催に向け、機運が高まっています。

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