日系メーカーの活躍を振り返る「WRC 日本車挑戦の軌跡」トヨタ博物館で開催

愛知県長久手市のトヨタ博物館で、世界ラリー選手権(WRC)をテーマにした企画展「WRC 日本車挑戦の軌跡 再び!」が始まりました。WRCの日本ラウンド、ラリージャパンが12年ぶりに開催されたタイミングでのスタートです。WRC参戦経験のある日本の自動車メーカー7社の協力により、ラリーでしのぎを削った車両が集結。マンガ背景とのコラボレーションで「2.5次元」の展示空間を堪能できます。

トヨタ自動車学芸グループの鳥居十和樹担当課長は、「地元で開催されるラリージャパンを盛り上げ、WRCの魅力を伝える絶好のチャンスになる」と展示を企画したきっかけを語ります。WRCの企画展は昨年に続いて2度目になりますが、展示車両のラインアップを変更したほか、背景に新たな試みを取り入れており、前回訪れた人でも楽しめる展示内容となっています。

背景画は地元の作家・川下晴子氏によるものです。今回新たに、和の模様や筆の勢いを感じさせるようなタッチを加えて、日本車と和のビジュアルが融合したパネルに仕上げました。「写真をSNSにアップするなど、撮影を楽しむ人が多かった」(鳥居氏)という前回の傾向から、今回は思い切って解説などの情報を展示空間から排し、パンフレットに集約しました。これにより、車両と背景が一体化した空間を実現。ステアリングを切った状態で展示された車両は、マンガ背景とあいまって、まるでドリフトしているかのような躍動感を楽しめます。

展示室には1973年のダットサン「1800SSS」(日産ブルーバードU・P610)から2008年のスズキ「SX4 WRC」、スバル「インプレッサWRC2008」まで、各年代のラリー車両12台が揃いました。フィニッシュしたときの状態が伝わる車両の凹みやキズも見どころです。インプレッサは珍しいハッチバック仕様を展示しました。

パンフレットに掲載された戦績からは、日本車が2度にわたってシーズンの全レースで優勝する「完全制覇」を達成したことや、土埃の舞うサファリラリーで強さを誇ったこともわかります。多くの日本車メーカーが、市販車をベースにしたラリー車両で過酷な戦いに挑み、技術を磨き、車の性能を高めたのです。

世界的な景気後退により、08年にはスバルとスズキがWRCから撤退し、日本車の挑戦は一度幕を閉じますが、17年からはトヨタが再び参戦。今年はドライバーズタイトル、コ・ドライバーズタイトル、マニュファクチャラーズタイトルの三冠を携え、12年ぶりのWRC開催に沸く母国に凱旋。勝田貴元選手が見事に3位表彰台を獲得しました。

会場ではこれまでのWRCの優勝車をすべて記録したパンフレット「WINNERS」を配布

企画展は2023年4月16日までの開催です。トヨタ博物館では今後も、メーカー各社との協力のもと、モータースポーツの魅力を伝える企画展などを検討するとのことです。

トヨタ自動車学芸グループ 鳥居十和樹担当課長

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