JARI 2025技術フェア&6年ぶりのOpenday<一般公開>

日本自動車研究所(以下、JARI、代表理事研究所長鎌田実)は、4月18~19日の2日間にわたり「JARI 2025技術フェア」、「Openday<一般公開>」を開催しました。この「JARI 2025技術フェア」は13年前から毎年4月下旬に実施しており、企業、関連団体、大学、研究機関などを対象に試験設備等を公開し、研究・試験等の委託が検討されることを目的としているものです。「Openday<一般公開>」は、昨年まではコロナ禍の影響で休催していましたが、6年ぶりに一般向けに公開が行われました。一般向けは企業向けとはターゲットが異なり、職員の家族、地域の方々など一般人が見学できます。イベントには2日間で約1200人が来場し、つくば研究所敷地内の各研究棟にて、自動車の最新技術を支える研究・試験設備を見学しました。

つくば研究所の本館のほか、大型車両実験棟、ドライビングシミュレータ棟、エンジン棟、4号エンジン棟、燃料電池研究棟、大型ディーゼル環境棟―の5つの研究棟が公開されました。

このうち4号エンジン棟では、環境・パワートレインをテーマに、車載式排出ガス計測システム(PEMS*)を搭載したRDE**(実路走行試験)試験デモ車両も展示。路上走行時の軽・中重量車の排出ガス試験の実演と説明が行われました。見学者は最新の評価試験機に興味を示すとともに、説明に聞き入っていました。

*:Portable Emission Measurement System,**:Real Driving Emission)

車両の実路走行試験状態を再現し排出ガス・燃費性能などの計測・評価を行う 「環境型・実車試験用シャシダイナモメータ(4WD,日射装置付)」

騒音に関するパネル展示

燃料電池研究棟では、電動・電池・水素分野が展示テーマでした。燃料電池性能評価、水素・燃料電池自動車安全評価設備、車載用蓄電池の性能評価、モーターインバーターの性能評価などの展示・実演、説明が行われたほか、ISOマネジメントシステム認証、EV/PHEV用AC普通充電器製品のJARI認証に関する紹介も実施されました。

電動車の展示・技術説明

降雨(豪雨や霧など)などの悪天候時条件の再現や,逆光・夜間などの日照条件による視界不良などを再現してその中で評価試験ができる世界初の特異環境試験場(自動運転評価拠点=Jtown)を動画を用いて解説したほか、実車両を使い360度シミュレートできるドライビングシミュレータの実演が行われました。

ドライビングシミュレータの実演

大型車両実験棟では、安全分野・新モビリティ分野・セキュリティ分野の展示・解説が行われました。安全分野では歩行者保護試験の脚部インパクタの実機展示、電動キックボード衝突試験用台車、衝突後車両の展示が行われました。

新モビリティ分野では、SIP事業(内閣府総合科学技術・イノベーション会議が司令塔となり、府省の枠や旧来の分野を超えたマネジメントで、科学技術イノベーション実現のために創設された国家プロジェクト)である、人口減少で公共交通が減少の一途を辿る中山間地域のコミュニティ維持に向けたモビリティの検討としてデマンド交通の在り方の紹介、そのほか、RoAD to the L4プロジェクトへの取り組み、トレーニング事業(機能安全およびサイバーセキュリティ)の紹介が行われました。

安全分野の展示(写真はダミー人形)

中山間地域のコミュニティ維持に向けたモビリティの検討

屋外の特設コーナーでは、城里テストセンターの模型をテント内に展示し、テストコースの紹介がされました。また、二輪ドラッグレースの国内普及を目指す一般財団法人JD-STERは、城里テストセンターで年間4回開催している「JD-STERドラッグレース」に実際に参加するマシン3台を展示していました。

城里テストセンターの模型

ドラッグレースマシン3台も展示

大型ディーゼル棟では、AD/ADAS HiLS(先進運転支援システム)の技術紹介がされました。電動車両シミュレーション基盤(センサーモデル)の実演では、乗用車の車軸にハブダイナモを接続し、AEBS***などのシステムが作動する範囲を計測し、またセンサーが物体を検知してからブレーキやステアリングなどのアクチュエーターが動作するまでの時間も計測・評価が行われました。

***:Advanced Emergency Braking System)

本館に設けられた特設スペースでは、①城里テストコースの最近の試験利用動向、②水素・燃料電池自動車安全評価試験設備(Hy-SEF)の紹介、③交通事故死傷者数削減のための取り組み(研究活動紹介)、④JNX(Japanese automotive Network eXchange)の紹介、⑤国のモビリティDX戦略推進に資する取り組み、⑥モビリティサ―ビスの研究調査と自動運転の安全設計支援に関する取り組みなど、時間ごとにさまざまなテーマでミニプレゼンが行われました。

関連リンク

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