若手人材獲得の取り組み

「100年に1度の大変革期」に求められる人材とは

自工会広報誌「JAMAGAZINE」12-1月号よりピックアップ

 日本において「若者のクルマ離れ」と言われる中、自工会ではさまざまな活動を行っており、将来の自動車産業を担う若手人材の確保も重要な取り組みの一つです。これまでの大学生や理系女子向けの取り組みに加えて、今年は新たなオンラインイベント「JAMA次世代モビリティキャンパス2021」を開催しました。CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)やカーボンニュートラルへの対応など自動車産業を取り巻く環境が著しく変化するのに合わせて、求められる人材も変わりつつあります。

 自工会では、若者の自動車産業に対する興味・関心を高めることを目的に、さまざまな活動を実施しています。自動車メーカーのトップ自らが自動車産業の魅力を語る「大学キャンパス出張授業」は 2013年から毎年実施しており、これまでで累計約3万人が参加しました。昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響により実施できませんでしたが、今年は2年ぶりに開催しています。また、「Drive for the Future」は、理系女子を増やす試みとして15年に始まりました。中高生を対象に、自動車メーカーで活躍する現役の女性エンジニアがものづくりの魅力を訴求しています。

 これらの取り組みは若者のクルマ離れに向けた活動として継続していく一方で、近年の自動車産業では求められる人材も急速に変化しています。背景にあるのが、CASEやカーボンニュートラルといった自動車産業を取り巻く環境変化です。従来のものづくりを主軸とした製造業からの脱却や、電動化の推進など商品の転換が求められており、ITに強い人材が不可欠となるなど、従来とは異なる発想での人材確保が急務となっています。

 その中で、新たな取り組みとして11月27日に「JAMA次世代モビリティキャンパス2021」をオンライン形式で開催しました。このイベントが従来と異なるのは、実際の就職活動に役立つ話を中心とした点で、幅広い分野の学生をターゲットに自動車業界の魅力を訴求しました。参加場所や学校を問わず全国の学生を対象に実施できたこともオンライン形式ならではといえます。
イベントではまず、最初に今後のモビリティの方向性やポイントについて次世代モビリティ委員長の山本圭司がわかりやすく解説しました。その後、現役社員が登壇する2つのテーマのパネルディスカッションを実施しました。

次世代モビリティ委員長の山本が自動車産業の現状をわかりやすく説明

 1つ目のパネルディスカッション「イマ知らないとまずい?! モビリティ領域の『未来』」では、日野自動車、いすゞ自動車、スズキ、ヤマハ発動機、カワサキモータースから入社10年未満の若手や、異業種から転職してきた社員が参加。CASEに関する自社の取り組みなどを紹介し、次世代モビリティ開発の魅力を語りました。

若手エンジニアが自社の取り組みを例にモビリティの可能性を語りました

 2つ目の「イマ面白い。『ソフトウェアエンジニア』が語る、モビリティ領域」では、トヨタ自動車、ホンダ、三菱自動車、SUBARU、ダイハツ工業から、現役のソフトウェアエンジニアが参加。IT大手企業からの転職者などバラエティに富んだメンバーで構成し、自動車産業におけるソフトウェア開発の最新動向や、モビリティのソフトウェア開発の楽しさを語りました。

2つ目のパネルディスカッションはソフトウェアの最新事情について解説

 LIVE配信では1000名を超える方にご覧いただいたほか、現在もアーカイブ配信を継続しております。 参加した学生からは「自動車業界のポテンシャルを感じた」「モビリティへの理解が深まった」といった声が上がるなど、モビリティに対する関心の高さが窺える結果となりました。

自動車業界で活躍している多様な『人』の魅力を伝えていきたい

人財部会長 三並 亮二

―次世代モビリティキャンパスの狙いを教えてください

「人材採用の現場では大きな変化が起きています。情報や電気電子といった専門性の高い人材は不可欠です。ただ、競争が激しい分野なので、内定を出しても他の業種を選ぶといった、会員各社共通の課題が見えてきました。このような人材を確保するには、自動車業界の魅力を訴求し、もっと関心を持ってもらうことが必要だと考え、今回のイベントを企画しました」

―パネルディスカッションを2つ用意しました

「1つ目は、商用車・軽自動車・二輪車と、移動の概念を超えたプロジェクトを紹介したので、モビリティの幅の広がりを感じてもらったのではないかと思います。2つ目は、IT業界などモビリティ業界以外を志望する方にも知ってもらいたいと中途採用の方にも登壇いただきました。複数社で共通のテーマとしたので、将来のモビリティのワクワクした感じやその可能性の大きさを伝えられたのではないでしょうか」

―今後の課題について 

「自動車業界は多様性に富んでおり、色々な人材が求められます。今後は各社でご活躍いただいている多様な人材を全面に出すことで自動車産業の魅力をさらに訴求していきたいと考えています。取り組みの面白さだけではなく、こういう人が活躍している業界は面白いな、と『人』の魅力を伝えていきたいですね」

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