- 2025/11/18
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JARI茨城・城里テストセンター開業20周年 高速周回路5車線へ拡幅
日本国内における自動車の研究機関である一般財団法人「日本自動車研究所(以下JARI)」は10月1日、城里テストセンター(以下STC、茨城県城里町)で、開設20周年を記念する式典と高速周回路改修が完成したお披露目会を開催しました。
JARIは1964年に当時の茨城県谷田部町(現つくば市)に前身の(財)自動車高速試験場(テストコース)を開設。2005年にはつくばエクスプレス線開通により城里町にテストコースを移転しており、今年20周年を迎えました。
STCは〝自動車業界の研究開発共通プラットフォーム〟として、24時間365日利用でき、年間200社以上のメーカーなどに活用されています。
式典には自動車業界団体、官公庁、大学などから多くの関係者が式典に参加し、高速周回路の改修を記念して直線コース上でテープカットセレモニーと国内外の歴代名車8台によるパレードが行われました。

JARI関係者らによるテープカットセレモニー
「高速周回路」と呼ばれる専用試験道路は、高速周回路の直線部分(傾斜がない平たんな車線)では、実際の公道のように自動運転車がカーブを曲がる際の課題解決など複雑なシナリオの実証ができます。また、カーブの外側車線では最大45.2度の傾斜を持たせることで、ハンドルを切らずに車速約190 km/hで走行することができ、高速走行時の車両安全性能を確認しつつ、安定性や耐久性などを調べる実験が可能です。
コースは1周全長5.5キロのオーバルで、直線部分は1.5キロあります。
今年4月から、全面路面改修により平たん性を回復、安全性も向上し、更に3車線から5車線に拡大する車線拡幅工事が実施され、10月に運用が再開されました。
開業20周年記念式典では、主催者を代表してJARIの中嶋裕樹理事長(トヨタ自動車副社長)が城里テストセンターについて「(車両の研究開発や自動運転の評価などに対する)業界の『物差し』として、(自動車メーカーなどから)信頼を得られ、活用されると確信しています」とあいさつしました。
来賓として出席した自工会常務理事の江坂行弘は「自動車関連の研究分野の最前線での多大な成果を通じ、日本の自動車産業の発展を支えてきたJARIに改めて深く敬意と感謝の意を表します」とJARIの存在意義を強調しました。
その上で「近年は電動化・自動化・カーボンニュートラルなど、さまざまな対応が必要なかつてない変革期に突入している中、JARIは自動車産業にとって欠かせない研究開発拠点。世界に誇る充実した設備を持ち、自動車産業が安全、環境をはじめとした多くの課題に取り組む上で極めて重要な役割を果たしてきています」などとJARIの活動に引き続き期待を寄せました。

自工会常務理事の江坂行弘

高速周回路同乗体験
特別公開では新しくなった高速周回路で高速走行する乗用車や自動運転バスの同乗試乗なども行われ、報道陣や来賓が関心を寄せていました。
JARIの鎌田実研究所長は「交通事故死者ゼロに貢献するためにも、自動運転の評価などの『物差し』となるよう役割を果たしていきます」などと説明しています。

高速周回路(直線区間)

歴代名車によるパレードラン
関連リンク
JARIアーカイブ – JAMA BLOG 一般社団法人日本自動車工業会

