- 2025/12/15
- JAMAGAZINE, ジャパンモビリティショー, 人財
自動車業界、理系人財獲得へ! 「モビショー」で大学生・中学生向けイベント
自工会をはじめ自動車業界では、クルマの電動化・知能化などを受け、将来のモビリティ産業を担う若手人財の確保、獲得に向けた取り組みを積極的に進めています。ソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV)や先進運転支援システム(ADAS)の技術研究・開発、カーボンニュートラルへの対応など業界を取り巻く環境が激変する中、エンジニアを中心に求められる人財も近年変わりつつあることが背景にあります。
自工会が10~11月に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催した「ジャパンモビリティショー2025」会場に隣接するビッグサイト会議棟では、理系大学生向け、理系を志す中学生・保護者向けにそれぞれイベントが開催されました。自動車メーカーでITに関連する仕事ができることを知らない学生も多いとされ、各社で活躍する現役エンジニアらがモビリティショー出展車両も含めモノづくりの魅力、クルマ社会の未来などを分かりやすく説明しました。
■理系大学生、就活で関心
自工会とマイナビは11月2日、主に理系大学生を対象としたキャリア発見イベント「モビリティの未来×自分の未来」を開催しました。就職活動を控え、業界に関心を持つ1~3年生の男女約100人が参加。自動車メーカー11社から1テーマで3~4人に分かれ、①最先端技術が創る移動の形、②感性と体験で広がるモビリティの世界、③日常を変えるモビリティの力―の、3テーマごとにトークセッションが行われました。
ヤマハ発動機の篠原功次さんは、自立システムを搭載した次世代二輪車「MOTOROiD2」を取り上げ、「動物や生物のように寝た状態から起き上がったりします。バランスコントロール機能と画像認証AI機能を備え、人とモビリティの関係性を変えることにチャレンジしており、二輪の転倒リスクなど複雑な動作や走行の環境に適応できるような技術開発を進めていきたいと思っています」と紹介しました。
いすゞ自動車の田川聡さんはアウトドアブームが続く中、小型トラックを活用したキャンプを提案。乗用車と商用車の違いを解説しつつ、「トラックといえば物流ですが、架装やカスタマイズの部分が重要で、無限の可能性があります。若手社員が中心となり、トラックだからこそできるキャンピングカー企画に取り組んでいます」などと〝移動の楽しさ〟を強調していました。
メーカー各社のエンジニアは自己紹介や自社プロジェクトを詳しく説明、対面で「キーワード」を提示された学生たちは真剣に耳を傾けていました。その後、人事担当者や先輩社員らとの「座談会」も催されました。

カワサキモータース、SUBARU、三菱自動車、いすゞ自動車の登壇者

スズキ、ダイハツ工業、日産自動車の登壇者
■中学生対象、保護者も参加
自工会とGakkenは11月3日、中学生向け進路支援イベント「Drive for the Future~あなたの想いを走らせる仕事(ミライ)~」を1~3年生・保護者約30組が参加して開催。高校進学を前にした中学生、保護者にとって進路選択は重要なテーマです。特に理系には化学、物理、情報、工学などの分野があり、そこへの進学は将来の可能性を広げることにつながります。

Gakken塾講師による中学生向けの講演の様子(写真/布川航太)
イベントでは、最初にGakken塾講師が今後の進路に悩む中学生に向けて「夢を見つけるには、まずは自分自身に問いかけましょう。ドキドキ・ワクワクできる道を選べば、自分を動かすエンジンになります」と高校・大学選びには何が必要か、理系進学で意識すべきポイントは何かなど、自分だけの未来地図を描くよう呼び掛けました。
その後、メーカー各社のエンジニアと一緒に、科学の面白さを実際に体感できるワークショップ「中学生×エンジニア ワークショップ(実験工作体験)」を6グループに分けて実施。講師が「クルマは何で動きますか?」と質問すると、学生からは「ガソリン」「電気」「水素」と即答が相次いでいました。
未来のエネルギーを実際に作ってみる「水素エネルギーロケット実験」では、水の電気分解の原理を使った動力を観察。会場でロケットを次々に勢いよく飛ばすと、「ワァー!」と楽しそうな歓声が上りました。

水素エネルギーの模擬実験で動力の仕組みを体験(写真/布川航太)
会場には、自動車業界の最前線で活躍している女性エンジニアたちから仕事の様子などを直接教えてもらえる「トークカフェ」も設置。理系進学のきっかけ、学生時代の過ごし方などについてリアルな現場の声を聞ける場となりました。保護者向けにも、人事担当者が自社の働き方や社内のサポート制度などを紹介、子どもの将来に関して自由に質問できる「自動車メーカー人事担当者との座談会(キャリア相談会)」も同時開催され、多くの保護者の熱心な姿が目立ちました。
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自動車産業では、特にITに強い学生が不可欠な現状を踏まえ、従来とは異なる発想での人財確保が急務となっています。自工会では他にも、若者に関心を高めてもらうさまざまな活動を実施。全国各地の大学で自動車メーカーのトップらが自動車産業の魅力を語る「大学キャンパス出張授業」を2025年度も引き続き行っており、各会場には大勢の学生が集まっています。
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