モビショーで小学生が整備士に挑戦! 人材確保へ魅力をアピール

東京ビッグサイト(東京都江東区)で10月30日から11月9日にかけて開催された「ジャパンモビリティショー(モビショー)2025」。小学生らに将来の職業のひとつとして関心を高めてもらおうと、整備士の仕事の魅力をアピールするブースが設けられました。
クルマを安全・快適で環境に優しく使い続けるために欠かせない整備士は、高齢化や人材不足といった課題に直面しており、次世代を担う子供たちに整備士の仕事を身近に感じてもらい、将来的にモビリティ社会を支える人材の育成につなげることを目指しています。

日本自動車整備振興会連合会(日整連)や自工会など自動車業界16団体でつくる「自動車整備人材確保・育成推進協議会」と国土交通省は共同で、子どもが実物のクルマや工具に触れながら、整備士の職業体験ができるブース「チャレンジ!未来の自動車整備士(カードクター)!」を出展。官民が連携し、モビショーに整備士体験ブースを出すのは2023年に次いで2回目となります。

エンジン部品の分解・組み立て体験

ブースでは、①車の点検・整備の体験、②エンジン分解・組み立て体験、③大型ホイールナットの緩み点検体験、④ボルト・ネジの締め付け体験といった本格的なプログラムを実施。
子どもたちが本物の工具を手に取り、インストラクターから点検や修理のやり方を教わりながら、一緒に作業に挑戦。エンジンやタイヤなどの音や振動から安全性をチェックし、クルマの仕組みも学んでいました。写真や動画を撮影、作業の様子を見守る保護者にも整備士の役割や社会的意義を伝える好機といえます。

タイヤホイールのナット締め付け体験

参加した子どもたちは、インストラクターの説明をしっかり聞きながら、真剣な眼差しでトラック・バスの大型タイヤホイールのナット締め付け具合を確認したり、小型エンジンのシリンダーを外して分解して組み立てたりした。本番さながらの作業を終えると、「できました!」などと、ほっとした様子で笑顔を見せて喜んでいました。

職業体験ブース前で記念撮影するインストラクターや小学生ら

国内の自動車保有台数は約8千万台と横ばいで推移しており、車検などを通じた整備需要は底堅い一方で、自動車整備士の有効求人倍率は2024年度で5.09倍と人手不足が深刻です。このため、業界関係者からは「小学生くらい早い段階から職業としての自動車整備士の魅力を少しでも知ってもらうことが重要」との声が高まっています。
日整連によると、自動車整備士はピークの2011年度には34万7千人でしたが、2021年度~2023年度は3年連続で減少し33万1千人となっています。

そのため整備士確保に向け、整備士は電気自動車(EV/BEV)や自動運転車などの高度な知識を有すること、土日休みの整備事業者があること、整備現場は冷暖房完備であることなど、整備士のイメージ払拭に向けて情報発信をしていく必要があります。

国交省自動車整備課の多田善隆課長は今回のモビリティショーでの職業体験について「未来の自動車整備士のためにつくられたブース。クルマの楽しさや整備士のカッコよさを実感していただきたい」などと意義を強調。整備士の人材育成・確保に向け、業界を挙げて取り組む考えを示しています。

職業体験ブースの意義を語る国交省自動車整備課 多田善隆課長

関連リンク
ジャパンモビリティショー
日本自動車整備振興会連合会(日整連)
自動車整備人材確保・育成推進協議会
国交省 自動車整備