箱根駅伝・ニューイヤー駅伝を支えてきたクルマとバイク

お正月のスポーツイベントと言えば、駅伝を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。2023年も1月1日にニューイヤー駅伝(全日本実業団対抗駅伝競走大会)、2、3日に箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝競走)が開催されます。どんなドラマが展開されるのか楽しみにしているファンが多いことでしょう。駅伝では数多くのクルマやバイクが大会の運営を支えています。そこで今回はランナーとともに駅伝を走った車両を紹介します。

大会運営車のトヨタ GRヤリス 第97回箱根駅伝・2021年

駅伝では数多くの警察車両や大会運営用の車両が活躍します。その中でも花形と言えるのは、ランナーの先導や伴走をする白バイではないでしょうか。


第98回箱根駅伝・2022年を走行する白バイ

白バイのベース車両となっているのは、本田技研工業の「CB1300」やヤマハ発動機の「FJR1300」です。いずれも排気量1300ccのエンジンを搭載した大型バイクで、ツーリングスポーツと呼ばれるモデルです。ここ数年、箱根駅伝では輸入ブランドの電動スクーターも使われるようになっていますが、ホンダ、ヤマハのバイクは長年、駅伝を支えています。

ホンダ CB1300

ヤマハ FJR1300(白バイ仕様車)

先導車や伴走車の中に、注目の車を発見することも駅伝の楽しみの一つでしょう。2022年の第98回箱根駅伝では、トヨタ自動車の発売前の電気自動車(EV/BEV)「bZ4X」が登場し、話題になりました。21年には燃料電池車の新型「MIRAI(ミライ)」、19年には真っ白なボディーの「センチュリーGRMN」が大会運営車を務め、注目を集めました。

第98回箱根駅伝に登場したトヨタのbZ4X

自動車メーカーや部品メーカーが数多く参戦するニューイヤー駅伝では、開催地の群馬県を地元とするSUBARUが大会運営車を提供しています。「レガシィ アウトバック」「レヴォーグ」「フォレスター」などのスバル車が、ランナーとともに上州路を駆け抜ける様子は、スバルファン必見でしょう。ホンダが初優勝した2022年の大会は2位にスバル、5位にトヨタが入るなど自動車メーカーの活躍が目立ちました。来年はどの企業が優勝するのか勝負の行方も注目されます。

ニューイヤー駅伝ではスバルが車両を提供している(写真はレヴォーグ)

過去にもさまざまな車が大会運営を支えてきました。特に1920(大正9)年の第1回大会から数えて約100年の歴史がある箱根駅伝を走った車の系譜は、自動車産業の歴史とも重なります。例えば、日本の自動産業の黎明期である1928(昭和3)年の第9回大会を走ったのは、フォード・モーターの「モデルT」でした。戦後、1946年以降の大会ではトヨタの「AB型フェートン」が、1958(昭和33)年の第34回大会では、いすゞ自動車の「ヒルマンミンクス」が登場しました。

トヨタ AB型フェートン(左)

いすゞ ヒルマンミンクス(写真は大会2年後の1960年のもの)

日本が本格的なモータリゼーションを迎えた60年代には、日産自動車の「ダットサン1000トラック220型」(第36回大会・1960年)やトヨタの「パブリカ コンバーチブル」(第41回大会・1965年)、同「カローラ」(第45回大会・1969年)、三菱自動車の「ジープ」(第44回大会・1968年)が登場します。71年の第47回大会ではトヨタの「トヨペット コロナ」が走るなど、マイカーブームをけん引した車の数々が大会に華を添えました。

高級車ブームが起きた80年代には日産「グロリア」(第63回大会・1987年)が、アウトドアレジャーがブームとなった90年代には三菱の「デリカスペースギア」や「パジェロ」が箱根路を走りました。

日産 グロリア

三菱 パジェロ

2000年代も後半になると、先進的な環境対応車が登場するようになります。05年の第81回大会では、ホンダが燃料電池車(FCV/FCEV)「FCX」を、09年の第85回大会では、同じくホンダがFCV「FCXクラリティ」を披露しました。

ホンダ FCXクラリティ

その後もトヨタのプラグインハイブリッド車(PHV/PHEV)「プリウスPHV」(第87回大会・2011年)やFCV「MIRAI(ミライ)」(第91回大会・2015年)など、電動化の時代を象徴する車が登場しました。

トヨタ MIRAI

このように箱根駅伝は、その時代を象徴する車やバイクの〝ショーケース〟とも言えるでしょう。

ここで紹介した以外にも、さまざまな車両が駅伝を支えています。2023年の大会にはどのようなモデル登場するでしょうか。選手の活躍とともに、大会を支える車やバイクに注目すると、駅伝をより一層楽しめるのではないでしょうか?

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