若者のクルマ・バイクの意識にも変化 コロナ禍やライフスタイル多様化で

少子高齢化が進む日本では、2022年4月から成人年齢が18歳に引き下げられるなど、社会において若者の存在や意見を従来以上に尊重する姿勢が強まっています。移動の自由や自分らしいライフスタイルを実現できるツールであるクルマやバイクの世界でも、コロナ禍や気候変動問題などを通じて、若者が従来とは異なる価値観でとらえている様子も伺えます。成人式改め「二十歳の集い」を機に、若者のクルマ・バイクへの意識変化を探ってみました。

明治時代から約140年間、成人年齢は20歳と定められてきた日本ですが、民法改正により22年4月1日から成人年齢が18歳に引き下げられました。18歳となってから初めて迎えた今年の「成人の日」ですが、成人の日に合わせて開催される成人式は、多くの自治体で「二十歳の集い」などと名称を変更し、従来通り20歳を対象に実施されました。成人式の対象とする年齢は各自治体の判断となりますが、法務省の調査によると、「18歳は受験と重なり参加が難しい」「会場の確保が困難」といったことを考慮したようです。

少子高齢化を背景に、新成人人口は減少傾向が続いています。総務省の人口推計によると、2022年時点(対象:2021年1月1日~12月31日)での20歳人口は120万人で、前年比で4万人減少しました。ここ10年は120万人強前後で横ばいでしたが、20年前の2002年の152万人と比較すると21%減となります。国力の低下につながる少子高齢化が進む中、将来を担う若者の社会活動への参加を促すためにも18歳成人への民法改正が必要となりました。

一方、クルマやバイクの免許が取得できる年齢は従来から16歳や18歳でした。ただ、少子高齢化により免許取得人口の減少傾向が続いています。ところが、新型コロナウイルスの感染拡大による生活環境の変化をはじめ、志向やライフスタイルの多様化などにより、若者のクルマやバイクへの意識の変化や、関心が戻りつつあります。

自工会がまとめた「2021年度乗用車市場動向調査」によると、20代以下の若年層ではクルマを積極的に所有する理由は低いものの、クルマの使用価値は認識されています。維持費など利用に関する負担が少ないレンタカーやカーシェアリングのニーズは高く、年を追うごとに着実に上昇しています。

気軽に利用できるカーシェアは若者から支持を得ている

コロナ禍の影響では、外出の自粛や在宅勤務の普及により移動需要自体は減少しており乗用車市場動向調査では、「外食」「友人・知人と会う時間」「国内旅行」といった項目が大きく減少しました。

一方で密を避けて移動できる手段としてバイクが注目を集めています。2021年の二輪車販売台数は約41万6千台と6年ぶりに40万台超えとなりました。仕事や日常生活の移動で使用されることが多い原付第一種(排気量 50cc 以下)が12万8千台(4.3%増)、原付第二種(排気量51~125cc)が12万6千台(前年比 23.5%増)とそれぞれ増加したほか、 趣味やレジャーで使用されることが多い軽二輪(排気量126cc~250cc)は7万9千台(同6.1%増)、小型二輪(排気量 251cc ~)も8万4千台(同24.0%増)と全車種で好調な推移となっています。

新規免許取得者数も増えています。警察庁調べによると、普通二輪免許と大型二輪免許の取得者数は18年度以降の増加傾向に拍車がかかったほか、10年以上にわたり一貫して減少傾向が続いていた「原付免許」も20年度は増加に転じました。

コロナ禍でバイクを楽しむユーザーが増加している

年齢にも変化が生じています。二輪車購入者の年代を見ると、21年度は前回調査の19年度に比べて30歳代以下の割合が3ポイント増加しました。これにより平均年齢も19年度比で0.5歳若返りました。

近年のバイク人気を支えているのが若者や女性ですが、好きな趣味にバイクを結び付けて楽しむ人が多いという点にも注目です。コロナ禍で人気の高いアウトドアなどの好きな趣味とバイクを組み合わせて楽しむと同時に、SNS(交流サイト)でその楽しさやカッコ良さを発信し、拡散することでバイクファンの増加につながっています。

密を避けてアウトドアを楽しむユーザーも増加した

また、若年層の特徴として、環境問題への関心の高さも挙げることができます。乗用車市場動向調査では、地球環境問題について、免許の有無にかかわらず、車の主な使用者ではない社会人でも47%が「関心がある」と回答しました。政府が掲げる「2035年までに新車販売で100%電動車」という目標も、47%が「聞いたことがある」といい、このうち9%は「内容を含めて知っている」と答えました。普段クルマを運転しない層でも一定の認知があるという調査結果は、改めて若者の環境意識の高さを裏付けるものと言えそうです。

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