進化する整備機器!オートサービスショーが4年ぶり開催

日本自動車機械工具協会(機工協、柳田昌宏会長)は4年ぶりの「オートサービスショー」を6月15~17日の3日間、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催しました。95社・7団体が出展し、最新鋭の整備・検査機器、サービスなどを出品しました。今回のテーマの「ヒトとクルマの未来を守る整備機器」には、クルマ社会の安心と安全だけではなく、現場で働く整備士への思いも込められました。

「今までのどの時代よりも整備事業者が課題を抱える中での開催になる」(第37回オートサービスショー2023委員会の中谷宗平委員長)。整備業界では2020年に新たに加わった電子制御装置整備への対応、24年10月に始まる自動車検査でのOBD(車載式故障診断装置)検査や、電気自動車(EV/BEV)の普及に向けた備えが求められています。さらに、人手不足を補う業務の効率化も、少ない人員で収益を確保していくには必須となっています。

展示会では、2月より型式試験の申請が始まっているOBD検査用のスキャンツール(外部故障診断機)が、2社より2機種が出品され注目を集めました。23年10月には認証工場が検査システムへの習熟を高めることを目的としたプレ運用が始まります。そのため、スキャンツールメーカーや整備機器商社では、夏から秋にかけ認定を取得する予定の機種をアピールしました。

その中には、安全自動車などが参考出品した検査専用機もありました。従来機は整備用スキャンツールと兼用で、価格も高価です。整備事業者からは安価な機種を求める声もあり、低価格が見込める専用機に期待が寄せられています。


整備機器商社の安全自動車は検査専用のスキャンツールを参考出品

これからの整備で必要となるEVへの対応についての提案も見られました。整備工場からは「部品点数が半減するEVの何を整備するのか分からない」という声も聞かれます。整備機器商社のアルティアはブースの約4分の1を使った幅広い提案で来場者の反応を確認しました。

整備機器商社のアルティアはブースの約4分の1でEV整備を提案

EV整備においては提案の一つに駆動用電池のメンテナンス機器がありました。充放電器や電池のモジュールを構成する複数のセルの電圧を均一にするバッテリーバランサーと呼ばれる機器などが展示されました。海外製のバランサーを展示した板金塗装設備のネキストの担当者は、「国内では不具合が起きた電池は交換になる」とし、「修理できる可能性を提案したい」と話しました。また、メンテナンスによる航続距離の低下を低減できる付加価値サービスとしての可能性も探っていました。

板金塗装設備のネキストが参考出品した海外メーカー製バッテリーバランサー

電池搭載による車両重量の増加に対してはリフト能力を4~5トンに引き上げた整備用リフトが出品されました。足回りや車体下部の点検・整備にリフトは欠かせず、整備士の安全を守るためにも車重と能力が一致した製品が必須になります。また、電池の取り外しにリフトが干渉しないようホイールを支えにする方式やアームの向きを変更して作業スペースを拡張した製品も展示されました。

今後、入庫拡大が見込まれている先進運転支援システム(ADAS)のエイミング(機能調整)作業と付帯作業を効率化する機器の提案もありました。エイミングには足回りやボディーのアライメントが自動車メーカーの整備要領書の基準値以内にあることが重要になります。万が一、アライメントが狂っていれば、緊急自動ブレーキなどが前方ではなく隣接車線の車両に反応する可能性があるほどアライメントの計測・調整は重要な整備です。

出展各社では計測装置の間を通過させるだけでアライメントを計測できる機器や、アライメント計測とエイミング作業のサポートツールを一体化させた機器で作業時間を短縮する工夫を提案しました。「アライメントは正常」という前提で作業する事業者も少なくなく、時短とともに車両の安全性もより担保できるようになります。整備機器商社のバンザイは、「トータルエイミング」の考え方を提案しました。

整備機器商社のバンザイは「トータルエイミング」の考え方を提案

自動車技術の進化は、そのまま整備技術の高度化につながります。一方で整備工場やディーラーのサービス現場では、整備士不足も深刻化しており、最新技術を使った作業の効率化も求められています。こうした状況を反映し、整備機械工具は日々進歩し、現場の整備士をサポートしています。

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