前年上回る来場で熱気 東京オートサロン/大阪オートメッセ

カスタムカーの祭典「TOKYO AUTO SALON 2024 (東京オートサロン2024)」(1月12~14日、幕張メッセ=千葉市美浜区)と「第27回大阪オートメッセ2024 」(2月10~12日、インテックス大阪=大阪市住之江区)が開催されました。東京オートサロンには、3日間で23万73人が来場し、前回の23年(17万9434人)を5万人あまり上回りました。大阪オートメッセにも21万1738人が来場し、23年(20万5462人)を上回る盛況ぶりでした。自動車メーカーもアウトドア向けのカスタムカーやスポーツカーなどを出展し、来場者にクルマの楽しさをアピールしました。

〈東京オートサロン2024〉

いすゞ自動車
いすゞ自動車からは、純正用品などを手がけるいすゞA&Sが初出展しました。小型トラック「エルフ」の標準キャブバンをベースに、外装をスタイリッシュに仕上げた「エルフ・フューチャー・アクセサリーズ・エディション」と、普通免許で運転が可能な「エルフミオ」の標準キャブ平ボディをベースとした「エルフミオ・アウトドア・エディション」の2台を展示しました。

エルフ・フューチャー・アクセサリーズ・エディションでは、メッキ調パーツを使わずに、エルフのデザインを生かすブラック基調のパーツを装着することで、スタイリッシュな車両としました。エルフミオ・アウトドア・エディションは、荷台に装着したパイプフレームに脱着式のテントを装着。「荷台で楽しめるキャンプ」に来場者が注目していました。

いすゞ「エルフ・フューチャー・アクセサリーズ・エディション」

いすゞ「エルフミオ・アウトドア・エディション」

スズキ
スズキは、新型「スペーシア」をベースとしたアウトドア仕様車のプロトタイプ「スペーシア パパボクキッチン」を展示しました。女性ユーザーが多いスペーシアの魅力を男性にも知ってもらおうと、展示車は「父親と子どもとペットがキャンプを楽しむ」をテーマとしました。車両の装飾に用いたステッカーやキッチンなどを社内でデザインし、アウトドアの世界観をつくり出しました。

スズキ「スペーシア パパボクキッチン」

同じくアウトドア関連では、軽トラック「スーパーキャリイ」をオフロード用にカスタムしたコンセプト車「スーパーキャリイ マウンテントレイル」を展示しました。アクティブな大人が山をストイックに楽しむためのクルマとして、ビジネスだけではなく遊びにも活躍する商用車の新たな世界観を表現しました。その他、12月に発売した新型「スイフト」をベースに、専用のマットカラーやホイール、デカールを施した「スイフト クールイエローレヴ」などの既販車のコンセプトカーも展示しました。

スズキ「スーパーキャリイ マウンテントレイル」

SUBARU
SUBARUは、高性能セダン「WRX S4」をベースとした特別仕様車「WRX S4 STI スポーツ♯(シャープ)」のプロトタイプを展示しました。モータースポーツ活動を積極的に展開している同社は、国内のレース「スーパーGT」や「スーパー耐久シリーズ」に参戦する「BRZ」も展示し、来場者の注目を集めました。ステーションワゴン「レヴォーグ」の派生車種で、昨年投入した都市型SUV「レヴォーグ レイバック」に純正パーツを装着したカスタムモデルも披露しました。

スバル「WRX S4 STI スポーツ♯(シャープ)」

スバル「レヴォーグ レイバック STIパフォーマンス」

プレスカンファレンスでは、新車サブスクリプション(定額利用)サービス「KINTO(SUBARU)」を2024年初夏から開始することも発表しました。新サービスにより、若年層をはじめ、新たな顧客層の開拓を目指します。KINTOには、トヨタ車、レクサス車に加え、スバル車が取り扱い車種に加わることになります。

日産自動車
日産自動車は、日産モータースポーツ&カスタマイズとともに出展し、電気自動車(EV/BEV)「日産アリア」の高性能モデル「日産アリアNISMO」を披露しました。最大出力をベース車両比で10%向上するとともに、EVならではの加速感をフルに発揮するチューニングを施した「NISMOドライビングモード」を設定しました。専用チューニングを施した四輪制御技術によって、旋回時の走行安定性も高めました。

日産「日産アリアNISMO」

日産はEVの走行性能をレースの現場で磨いてきました。その最前線が国際フォーミュラカーレース「フォーミュラE」です。ブースにはフォーミュラEマシンも展示し、注目を集めました。このほか、頻発する災害時の防災拠点として「日産リーフ」の使用済み電池を17個搭載した「キャラバン」のカスタムカーを展示し、EVのさまざまな可能性を紹介しました。

日産「Nissan Fomula-e Gen3」

マツダ
マツダは、スーパー耐久シリーズへの参戦を通じて得たノウハウを生かしたスポーツモデル2車種を展示しました。このうち「ロードスター」をベースにした「マツダスピリットレーシングRSコンセプト」は市販化を前提に開発中です。

マツダ「マツダスピリットレーシングRSコンセプト」

同コンセプト車は、サーキット走行での最高速を高めるとともに、公道でのゆとりある走りを実現したモデルです。現行の日本仕様には設定していない排気量2.0リットルのエンジンを搭載する予定です。パワートレインだけではなく、足回りやエアロパーツなどもスポーツ走行に最適化しました。

また、プレゼンした毛籠勝弘社長が、ロータリーエンジン(RE)の開発部門を6年ぶりに復活させることも発表しました。独自のエンジン技術を活用し、カーボンニュートラル(CN)の実現を目指す方針です。

マツダの毛籠勝弘社長

ヤマハ発動機
初出展したヤマハ発動機のブースに並んだのは、小型低速電動モビリティです。同社が開発した小型低速EV用汎用プラットフォーム「ヤマハモータープラットフォームコンセプト」を活用し、さまざまな企業とコラボレーションして開発したプロトモデルを初披露しました。東京オートサロンなどの展示会で協業先などを探索し、25年に同プラットフォームの実用化を目指します。

ヤマハ「モータープラットフォームコンセプト」

同プラットフォームには、自社製のモーターを搭載しています。バッテリーは、ホンダの交換式電池「モバイルパワーパック:e」を活用しています。自社開発した小型モビリティのプロトモデルのほか、ソニーグループ、二葉家具などと製作した「Concept 294 (プロトモデル)」など7機種を展示しました。

ヤマハ「Concept294」

〈第27回大阪オートメッセ2024〉

大阪オートメッセには、自動車メーカーやディーラー、アフターパーツメーカーなどが出展しました。国内の自動車メーカーもスポーツモデルを中心としたコンセプトカーやカスタムカーを関西のクルマファンに披露しました。

大阪オートメッセも前回を上回る来場

トヨタ自動車
トヨタ自動車は、TOYOTA GAZOO Racing、LEXUSとして出展し、「GRヤリス」の24年モデルを展示しました。新たに開発した8速自動変速機(AT)の搭載モデルを追加設定したほか、運転席も視認性や操作性を改善しています。改良点の中でもクルマ好きの間で話題になったのは、一部グレードに「縦引きパーキングブレーキ」をオプション設定したことです。走行中の姿勢制御のために競技車両で使われる装備ですが、これを純正オプションに設定することで本格的にレースを楽しみたいユーザーのニーズに応えます。

トヨタ GRヤリス

このほか、大阪ではGRヤリスの「WRCドライバー監修特別仕様車」を日本初公開しました。東京国際カスタムカーコンテスト2024コンセプトカー部門最優秀賞に輝いた「LBX MORIZO CONCEPT」など、多様なカスタムカーで会場を盛り上げました。

トヨタは多様なカスタムカーを展示

本田技研工業
本田技研工業は、モータースポーツファンに向け、F1(フォーミュラワン)に参戦するレッドブルレーシングのマシン(ショーカー)や、スーパーGTに参戦する「シビックタイプR-GTコンセプト2023開発車Ver」、モビリティリゾートもてぎが開催する参加型耐久レース「Joy耐」に参戦する「シビックe:HEV」などのモータースポーツ車両を展示しました。

ホンダ「シビックe:HEV」

カスタムカーでは、6速マニュアルトランスミッション(MT)専用グレードとして、24年秋に発売予定の「シビックRS」のプロトタイプ、3月7日発売の新型「アコードe:HEV」をベースにしたカスタムカー「スポーツライン」を披露しました。同じく3月発売の新型SUV「WR-V」をベースに、タフさを際立たせる装備を施した「WR-Vフィールドエクスプローラーコンセプト」も披露しました。

ホンダ「WR-Vフィールドエクスプローラーコンセプト」

三菱自動車工業
三菱自動車工業は、日本で12年ぶりに販売するピックアップトラック「トライトン」を展示しました。「トライトン スノーシュレッダー コンセプト」は、荷台のスマートな活用や積載方法により、ピックアップトラックの魅力を最大限に発揮するカスタムカーです。

三菱「トライトン」

軽自動車「デリカミニ」、ミニバン「デリカD:5」の特別仕様車「シャモニー」のカスタムカーも出展。雪道を安心して走り抜ける頼もしさと、ウインタースポーツを通じ家族や仲間と楽しむイメージを表しました。「アウトランダーPHEVアクティブフィールド」は、キャンプや釣りなどアウトドアの趣味を、さらにアクティブに楽しめるよう装備を施したカスタムカーです。屋外では体験イベントを実施し、オフロードやアウトドアといった、三菱のブランドイメージを全面に打ち出しました。

三菱「デリカミニ」

自動車メーカーのほか、地元ディーラーも参加し、自社オリジナルのカスタムカーやユーザー参加型の企画でイベントを盛り上げました。

ディーラーなど地元企業によるユーザー参加型企画も

関西のクルマファンが集まるこのイベントには、大阪府・市の万博推進局も参加しました。オープニング式典には、公式キャラクターの「ミャクミャク」が登場し、約1年後に迫る大阪・関西万博の機運を高めました。ブレーキパーツやホイールなど、在阪のものづくり企業も数多く出展し、自社の技術力を披露しました。車両の外観で個性を表現するドレスアップカーも会場に並びました。一風変わったカスタムを施した車両の数々に、関西一円から来場した老若男女が熱い視線を注ぎました。

今年の東京オートサロン、大阪オートメッセは、来場者数がいずれも23年の前回を上回り、盛況のうちに終了しました。クルマの文化や多様な楽しみ方を伝えるイベントとして、自動車メーカーはこれからも、両イベントを通し、クルマファンにさまざまな提案を行っていきます。

関連リンク

【ブログ】速報!!東京オートサロン2024開幕

東京オートサロン2024公式サイト

第27回大阪オートメッセ2024公式サイト