フォーミュラE、いよいよ日本で開催!

電気自動車(EV/BEV)による自動車レース「ABB FIAフォーミュラE世界選手権」が3月29、30日、東京の公道を舞台に、日本で初めて開催されます。フォーミュラEは、国際自動車連盟(FIA)公認競技の中で唯一、EVのフォーミュラカー(レース専用車)で競うレースで、日本からは日産自動車が参戦しています。フォーミュラワン(F1)世界選手権、世界ラリー選手権(WRC)などとは一線を画すレースに注目が高まっています。

フォーミュラEは2014年に初開催され、今年で10シーズン目を迎えました。20~21年の7シーズン目には、F1やWRCと同格の世界選手権に格上げされています。24年は1月のメキシコを皮切りに、モナコやドイツ・ベルリン、中国・上海、英国・ロンドンなどで全16戦が行われます。東京では第5戦として、「TOKYO E-PRIX」の名称で開催され、30日に決勝が行われる予定です。

フォーミュラEは、一般道にコースを設定して開かれることが多いのが特徴で、東京では東京ビッグサイト(江東区有明)周辺の道路に専用コースを設置して行います。ビッグサイトを取り囲むように設定される1周2.582kmのコースには、3つの直線コースと18カ所のコーナーがあり、難易度の高いコースとなっています。東京の公道が世界選手権のレースや、他の公道レースに使用されるのは初めてのことです。排出ガスも大きな音も出ないEVだからこそ、市街地でのレースが可能になりました。

公道での開催がフォーミュラEの特徴の一つ(23年7月のローマ大会)

車両は全チームとも同一形状です。昨シーズンから導入された第3世代の車両は、車体重量が軽自動車並み(約840kg)と軽量ながら、最大出力350kw(約475馬力)という大きなパワーを発揮します。後輪をモーターで駆動する後輪駆動車ですが、前輪にも発電用のモーターを搭載しており、世界で最もエネルギー効率の高いレーシングカーとされています。

フォーミュラEでは、レースを盛り上げるため「アタックモード」という仕組みも導入されています。このモードに切り替えれば、出力を通常の300kwから50kw追加した、最大出力の350kwで走行することができます。ただ、アタックモードを使うには、最速ラインから外れた場所に設定された特定のゾーンを通過する必要があります。一時的にせよ、後続に抜かれる可能性もあり、使うタイミングが重要とされています。

今シーズンの後半からは、「アタック・チャージ」が導入され、ピットストップで30秒間の急速充電を行うことで、アタックモードと同様の350kwで走行することができるようになります。

フォーミュラEを誘致した東京都は、環境負荷の低減に向け、走行中にCO2を排出しない「ゼロ・エミッション・ビークル(ZEV)」の普及を進めており、30年には都内の乗用車新車販売台数の半分をZEVにする目標を掲げています。フォーミュラEの開催は、その取り組みの意義を国内外に発信することを狙いとしています。都はこれまでも、新宿区の都庁周辺や千代田区丸の内などで、フォーミュラEとEVの啓発イベントを開いてきました。フォーミュラEの開催決定に当たり、小池百合子都知事は「東京が持続可能な次世代都市を目指す上で、ゼロエミッション車の普及に弾みをつける」とコメントしています。

フォーミュラEマシンを視察する小池百合子都知事(23年7月 写真中央右)

自動車メーカーにとってはEV開発の実験場でもあります。日本の自動車メーカーとして唯一、フォーミュラEに参戦する日産は、30年代の早い時期に、主要市場で販売する新型車をすべてEVなどの電動車にする方針で、レース車両と市販車の知識や技術を相互に生かしていくとしています。同社はシーズン5(18~19年)からフォーミュラEに参戦しており、今シーズンは第3戦で、今季初の3位表彰台を獲得しました。母国・日本での大会では優勝も期待されています。

日産は日本の自動車メーカーで唯一フォーミュラEに参戦

世界最速のEVが市街地を舞台に競い合う光景は、サーキットでのエンジン車のレースとはまた違った迫力があるでしょう。東京の中心部で行われるフォーミュラEをぜひ体感してみてください。

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