昭和の車が勢ぞろい 人気の旧車イベント

毎年多くのクルマファンが訪れる旧車展示イベント「Nostalgic2days(ノスタルジックツーデイズ)」と「AUTOMOBILE COUNCIL (オートモビル カウンシル)」が今年も開催されました。両イベントとも、昭和の時代に人気を博した名車が並び、来場者の目を楽しませました。4月29日の「昭和の日」にちなみ、イベントの様子を紹介します。

Nostalgic 2days 2024(ノスタルジックツーデイズ)
ノスタルジックツーデイズは2月17~18日にパシフィコ横浜(横浜市西区)で開催されました。今回で15回目を迎え、旧車ファンにとって見逃せないイベントとなっています。会場には、発売時のままに復元された旧車も数多く展示され、レストアの技術力をアピールしたり、復刻した旧型部品を展示したりするなど、日本でも旧車文化が根付いてきたことを感じさせる内容となりました。

会場には旧車専門店のほか、自動車メーカー、ディーラー、自動車整備学校など165社が出展。主催者による特別展示を含め、過去最高の合計291台が展示されました。旧車ファンを中心に幅広い年齢層が来場し、外国人の来場も数多くありました。来場者数は過去最高の40,515人(昨年は36,513人)と、初めて4万人を超えました。

今年のイメージカーはいすゞ自動車の「117クーペ (PA90型)」でした。1969年式の、いわゆるハンドメイドタイプと呼ばれる初期型の、さらに最初期に生産されたタイプです。このほかの特別展示では日産自動車「レパード(F31型)」が注目を集めました。このほか、トヨタ自動車の「1600GTレーシング」、本田技研工業の90年式「インテグラXSi(DA6型)」などが展示されました。

今年のイメージカーいすゞ「117クーペ (PA90型) 」(1969年式)

日産「 レパード(F31型)」

トヨタ「1600GTレーシング」

ホンダ「インテグラXSi(DA6)」(1990年式)

日産モータースポーツ&カスタマイズNISMO(ニスモ)は、「フェアレディZ」(S31)に開発中のL型6気筒DOHCヘッド搭載エンジンを載せて参考出品しました。マツダはロータリーエンジン車の復活をアピールするように「COSMO SPORT PROTOTYPE」と、1970年の東京モーターショーに出展したロータリーエンジン搭載のプロトタイプ「RX500」を展示しました。2ローターロータリーエンジンをリアミッドシップに搭載した実験車両で、ガルウイングなどが特徴のコンセプトカーです。

L型6気筒DOHC仕様エンジン搭載の「フェアレディZ」

マツダ「COSMO SPORT PROTOTYPE」

マツダ「RX500」

トヨタは、旧車を楽しむコミュニティ「Vintage Club by KINTO(ヴィンテージクラブバイキント)」が、復刻部品や、旧車を電気自動車にコンバージョンした「AE86 BEV Concept」などを展示しました。

トヨタ「AE86 BEV Concept」

イベントには日産・自動車大学校が「キューブ」をベースに「ブルーバード」のフロントフェイスとテールランプをあしらったカスタマイズ車「SETO」を出展したほか、トヨタモビリティ神奈川(神奈川トヨタ)が歴代の「クラウン」を展示するなど、自動車メーカー系列の学校やディーラーも出展しました。

日産・自動車大学校のカスタマイズ車「SETO」(右)

トヨタモビリティ神奈川は歴代クラウンを展示

会場では様々なイベントも行いました。恒例の実走行による入場をはじめ、多数のアーティストが懐かしの名曲を披露するライブステージやレジェンドレーシングドライバーのトークショーなど盛りだくさんの内容で、当時を懐かしむ来場者の姿が数多くみられました。

AUTOMOBILE COUNCIL 2024
4月12~14日にはオートモビル カウンシルが幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催されました。ヘリテージカーの専門店などが希少なクルマを展示するイベントですが、近年は自動車メーカーも力を入れており、今年は5社が出展しました。

オートモビル カウンシルは2016年に始まったイベントです。9回目を迎える今年は過去最高の113社が出展し、多くのヘリテージカーが展示されました。「クルマを超えて、クルマを愉しむ。 Classic Meets Modern and Future(クラシックミーツモダンアンドフューチャー)」をテーマに、車両展示だけではなく、アート、音楽、食などが幅広く出展しました。3日間の来場者数は昨年を5,000人近く上回る39,807人(昨年は34,993人)でした。

トヨタは、ヘリテージカーに関する3つの取り組みを架空の研究所「トヨタクルマ文化研究所」として紹介しました。1つ目は人財教育の一環で実施してきた初代「クラウン」のレストアです。有志の技能工らが、手作業でよみがえらせました。トヨタ博物館の布垣直昭館長は「日本にクルマ文化を定着させたい」と出展の狙いを話します。レストアは、自動車製造の基礎を身に着ける取り組みとして、今後も継続していく考えです。

プレスカンファレンスを行ったトヨタ博物館の布垣直昭館長

サブスクリプションサービスのKINTOで始めたヘリテージカーのレンタルサービスも紹介しました。トヨタと新明工業がレストアしたヘリテージカーをレンタカーとして貸し出すことで若年層にも旧車の魅力を知ってもらうことが狙いです。復刻部品を提供する取り組み「GRヘリテージパーツプロジェクト」も紹介しました。

復刻部品を提供する「GRヘリテージパーツプロジェクト」

日産は、「LOVE GOES ON-Nissan Loves Every Customer-」をテーマに、若年層をターゲットにしたブースを出展しました。ヘリテージカーとして展示したのは、「シルビア(S13型)」「フィガロ(FK10型)」「プリメーラ(HP10型)」の3台。昨年秋に実施した「日産ヘリテージカー総選挙」で選出された人気車で、「ヤングタイマー車」として来場者の注目を集めました。最新モデルとして、新型「ノートe-POWER4WD(SNE13型)」も展示しました。

日産「フィガロ」

日産「シルビア」

ブースには、イラストレーターである「げみ」さんの協力で制作した幅およそ20mのオリジナル巨大イラストを展示しました。昨年12月に創立90周年を迎えた日産が、「今後もユーザーと相思相愛の関係を広げていく」という意味を込め、平和で春らしい温かみとさわやかさを表現した世界観のブースとしました。

ホンダはマニュアル・トランスミッション(MT)スポーツをテーマに3台の「シビック」を展示ました。このうち、初代「シビックRS」は、75年に発売したモデルです。スポーツモデルに「RS」という名称を冠するホンダですが、このRSを最初に設定したのが初代シビックでした。「サンセットオレンジ」という可愛らしさもあるカラーリングながら、最大出力はベースモデルよりも7馬力高い76馬力に向上。変速機には5速MTを採用し、走りにこだわりのあるユーザー層を開拓しました。

ホンダ初代「シビックRS」

このほか、「ワンダーシビック」と呼ばれる3代目シビックや、今年発売予定の新型「シビックRS」のプロトタイプも展示しました。国内で購入できるMT車は減ってきていますが、「自由な移動の喜びをもっと楽しく」「それ(MTスポーツ)もHonda DNAだ。」というメッセージを掲げたパネルとともに、MTスポーツへのこだわりを示しました。

ホンダ3代目「シビック」(1985年全日本ツーリングカー選手権参戦車両)

マツダのブーステーマは「ロータリースポーツカーコンセプトの歴史と未来」です。出展したのは3台のコンセプトモデル。中でも注目を集めたのがノスタルジック2デイズにも出展したRX500です。レストア済みで走行することも可能といいます。

注目を集めたマツダRX500

また、コンパクトかつ高出力なロータリーエンジン「RENESIS(レネシス)」を採用したことにより、大人4人が快適にドライブを楽しめる居住空間とスポーツカーとしての高い運動性能を同時に実現した「RX-EVOLV」(第33回東京モーターショー(1999年)出展車)も展示しました。さらに、昨年のジャパンモビリティショーに出展した「アイコニックSP」も展示し、ロータリーの歴史と未来を表現しました。

マツダ「RX-EVOLV」

三菱自動車は「モータースポーツへの挑戦の歴史」をテーマに出展しました。ダカールラリー参戦の礎となった初代「パジェロ」、01年にモンテカルロラリーにて優勝した「ランサーエボリューションⅥ」といった、三菱自動車を代表するヘリテージカーを展示しました。また、国内外のモータースポーツ界に多大な功績を残し、今年3月18日に逝去したラリードライバー、篠塚建次郎氏に哀悼の意を表し、同氏の戦績をまとめたパネルとともに、世界ラリー選手権(WRC)のアイボリーコーストラリーで総合優勝を飾った「ギャランVR-4」を展示しました。

三菱の初代「パジェロ」

故篠塚建次郎氏がWRCで総合優勝した「ギャランVR-4」

また、ブースでは、ランサーエボリューションシリーズの最終モデルとして15年に限定発売した「ランサーエボリューション ファイナルエディション」の中古車を販売。売上金の一部は能登半島地震の被災地に寄付される予定です。

関連リンク

2023/04/28_旧車展示イベントで振り返る「昭和の車」

2022/11/22_日系メーカーの活躍を振り返る「WRC 日本車挑戦の軌跡」トヨタ博物館で開催

ノスタルジック2days

オートモービルカウンシル