- 2021/11/24
- JAMAGAZINE, コロナ, 車中泊
コロナで変わる?クルマの使われ方②
コロナ禍のキャンピングカー事情 密を避けた旅行手段として世界的なブーム到来
自工会広報誌「JAMAGAZINE」10月号よりピックアップ
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、休日のレジャーを屋外で楽しむアウトドアブームが到来しています。キャンプを中心とした、感染リスクを避けた郊外施設への移動に、自動車は欠かせない存在です。特に、レジャー施設やサービスエリア、道の駅などではキャンピングカーの存在が目立ち、注目を浴びています。全国で開催されるキャンピングカーショーには、多くの来場者が使用方法に合った1台を探すなど、活況を呈しています。キャンピングカーメーカー各社は、サイズや装備などで特色を出し、ユーザーの利用方法に適した車両の開発に注力しています。
ブームに火が付き販売急増。若年層のニーズも
密を避けた旅行手段としてブームに火が付き、キャンピングカーの保有台数は年々増加しています。日本RV協会(荒木会長)が発行する「キャンピングカー白書2021」によると、20年の国内のキャンピングカー保有台数は、12万7400台と推計。19年よりも約8千台増加し、キャンピングカー文化は着々と根付いています。
キャンピングカーの国内生産台数も増加しており、20年は7400台を超え、海外モデルも700台近く輸入する実績となりました。しかし、需要に対して生産が追い付かず長納期化が深刻な状況です。この傾向はヨーロッパでも同様で、コロナ禍の旅行手段として注目を受け、急激な注文増に悩まされています。
購入する顧客層は、若年齢化が進んでいます。「これまで、退職後の旅行手段として買われる方が多かったです。しかし近年では、若い方の興味関心が高く、アウトドアの道具として購入する方が増えてきた印象です」と、RV協会の藤井昭文広報部長は話します。これまでSUVやミニバンなどで車中泊や旅行を楽しんでいたユーザーは、更に快適に過ごしたいという思いからキャンピングカーにステップアップする流れが生まれています。若者に流行する「バンライフ」の一環としても車中泊を楽しむユーザーが増え、多様な車種ラインアップや機能の展開が期待されています。
主流のバンコン、簡易ベッド車も人気
ボディタイプはトラックをベースにした「キャブコン」、けん引タイプの「キャンピングトレーラー」など様々ある中でも、トヨタ自動車「ハイエース」など商用バンをベースにした「バンコン」が近年の主流となっています。ヨーロッパではマーケットのうち6割以上はバンコンとも言われ、日常でも使えるサイズ感や価格帯からユーザーの評価を得ています。
8ナンバーとして登録するキャンピングカーだけでなく、ベッドやカーテンなど簡易的な装備を有した仕様も人気が高まっています。軽商用車をベースにした「ソロキャンプ」が可能な車両も人気です。
10年前と比較すると、装備の進化や充実化も進んでいます。断熱材の改良で保温性が高まり、大型バッテリーの搭載で夜間でもエアコンが稼働できるなど快適性が向上しています。オプション装備として、トイレを設置するユーザーも増え、災害時の活用も検討する動きが見られます。
需要増でインフラ整備も課題に
緊急事態宣言が解除され、GoToトラベルキャンペーン再開の期待も高まり、車を活用したレジャーの人気は更に高まることが予想されます。
キャンピングカーの販売は好調ですが、利便性を高めるためのインフラ整備が直近の課題となっています。旅先で、安心して休憩できる設備は全国でもまだ多くありません。トイレやゴミ捨て場などが設置された、キャンピングカーライフに適した施設の設置が望まれています。
その中で日本RV協会は、有料のキャンピングカー停泊施設「RVパーク」の設置を進めています。予約制の駐車区画を設け、電源や24時間使用可能なトイレ、規模によっては入浴施設なども設置し、安心安全に楽しめる環境づくりに取り組んでいます。今後も全国的に設置を進め、キャンピングカー需要の増加に備える考えです。
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