- 2026/02/20
- JAMAGAZINE, イベント, その他, 人財
自工会「大学キャンパス出張授業2025」 未来を担う学生にエール!
自工会は、自動車メーカートップらを講師に迎え、将来を担う大学生・大学院生にモビリティの魅力を伝える「大学キャンパス出張授業2025」を今年度も実施しました。理系から文系まで幅広い人財獲得に向け13年度から開催しており、25年度で12回目となりました。今回はメーカー10社が全国各地の大学でそれぞれ講演した内容を紹介します。
■スズキ
スズキの鈴木俊宏社長は2025年10月7日、金沢大学角間キャンパス(金沢市)で「スズキの挑戦~生活に密着したインフラモビリティを目指して~」をテーマに講演しました。インド事業について、「インドの自動車の歴史はスズキの歴史と言っても過言ではない」とし、30年度に年間生産400万台を目指し、生産体制を増強していると強調しました。

金沢大学で講演するスズキの鈴木社長
自身の大学時代も振り返り、「仲の良い友人が8人いた。この8人で授業を受けたり、課題に取り組んだりしたのはいい思い出。数年前に集まったが、当時と変わらない雰囲気だった。学生時代の仲間は本当に一生の友だ。ぜひ良い友人をつくってください」と学生を激励しました。

学生の質問に答える鈴木社長
■カワサキモータース
カワサキモータースの川村直樹執行役員(四輪・PWCディビジョン長)は10月10日、神戸大学鶴甲第1キャンパス(神戸市灘区)で、「アメリカの大地を駆ける!カワサキのオフロード四輪車が描くモビリティの未来」をテーマに講演し、オフロード四輪車の世界市場でトップを目指し、新たなモビリティの可能性を追求していく醍醐味を伝えました。

神戸大学で講演する川村執行役員
メインマーケットである米国については「オフロード四輪車市場のさらなる拡大には、カワサキのパワーユニットの開発・生産技術を活かしたモデルの投入が欠かせない」と説明。米国人が大切にする「力強さ」や「誇り」といった価値観にふさわしいアグレッシブさを特徴とする、「RIDGE(リッジ)」や「TERYX(テリックス)」シリーズなどを投入することで、米国市場だけでなく世界市場でもナンバーワンの地位を獲得する決意を示しました。最後に「オフロード四輪車でナンバーワンブランドとなることで、『伝説』をつくりたい」と新たな夢を語りました。

展示されたオフロード四輪車を熱心に見学する学生たち
■日野自動車
日野自動車の脇村誠氏(最高技術責任者=CTO、当時)は10月22日、東京都立大学日野キャンパス(東京都日野市)で講演しました。テーマは「大型トラック、誕生の舞台裏。CTOが語る挑戦と技術」でプロフィアを一例に、大型トラック開発の流れや裏話を披露し、学生に商用車開発の魅力などを発信。また、商用車は、乗用車に比べてモデルサイクルが長いことから開発の責任の重大さを指摘しました。

大型トラックの開発秘話を語る脇村氏
二輪車メーカーを経て日野に入社した自身の経歴についても触れ、「紆余曲折して大学を卒業し就職した。回り道をしたが、その経験が自分の身になっている。今、この瞬間が無駄に思えることがあるかもしれないが、必ず将来、役に立つ時が来る。目の前のことを一生懸命してほしい」と話しました。

大型トラックを見学する学生ら
■ヤマハ発動機
ヤマハ発動機の井端俊彰・上席執行役員(マリン事業本部長(当時))は10月24日、横浜国立大学(横浜市)で、学生約200人を集めて「『モノづくりの喜び』を原動力に、今日よりもっと素晴らしい海を、未来へ。」をテーマに講演しました。
冒頭、楽器メーカーのヤマハと起源は同じ、現在はそれぞれ独立している経緯を学生に分かりやすく説明。ヤマハ発動機は2025年で創立70周年を迎え、「今ではオートバイだけでなく、ボート船外機や電動アシスト自転車、電動車いすなどさまざまな事業を展開している」と話しました。

横浜国立大学で講演する井端上席執行役員
世界180以上の国・地域でグローバルにビジネスを展開し、売上比率では海外が9割以上を占めているなどと海外事業について詳しく説明、さらに社会貢献活動にも触れました。
マリン事業に関しては、2050年までの長期ビジョンを提示した上で、「ヤマハ発動機の営業利益を見ると、マリン事業は約5割と稼ぎ頭となっています」と説明。その主力商品はボート推進器・船外機で「世界シェアはトップレベルを誇り、最近では小型船外機の電動化も進んでいます」と語りました。

会場前に展示されたヤマハ製品
■三菱自動車
三菱自動車の堀健一理事(第二EV・パワートレイン技術開発本部長)は10月27日、京都大学吉田キャンパス百周年時計台記念館で、「カーボン・ニュートラル社会への挑戦」をテーマに講演。約30人の学生を前に、環境負荷低減と高い走行性能を両立したプラグインハイブリッド車(PHV)の有効性を強調しました。

京都大学で講演する堀理事
堀本部長は講演で、ライフサイクル全体を考慮した二酸化炭素(CO2)排出量削減の観点から、EVやハイブリッド車(HV)、燃料電池車(FCV)を含めた電動車を対象に比較し、「PHVはユーザーニーズに合わせて実効的にCO2排出量を削減できる選択肢」として、操縦安定性や走破性を進化させることで、カーボン・ニュートラルに実現に貢献するため、環境と性能を両立した自動車を市場に展開していく決意を示しました。
最後に「自動車は日本経済の将来に欠かせない産業」とし、「腕を磨く」「自ら考える」「どん欲に知識を得る」の3つの姿勢が大切にしながら、「一緒に自動車産業で働きましょう」と訴えました。

会場近くに展示されたラリーマシン
■本田技研工業
本田技研工業の三部敏宏社長は12月4日、東京大学本郷地区キャンパス(東京都文京区)で「大変革期のモビリティ業界にある、ホンダの夢と挑戦」をテーマに講演。創業時からの歴史のほか、次世代自動車や宇宙の取り組みまで幅広く紹介しました。

東京大学で講演する三部社長
三部社長は、ホンダでの経験を、「ビジネスや商品、技術で『他社との差ではなく、違いを生み出せ』と言われ続けてきた。常に求められているのは世界一や世界初(の技術やアイデア)であった」と振り返り、「そうしたイノベーションは決して一人の天才のみから生まれるものではなく、強い個人の集団が高い目標に向かって侃々諤々の議論をしていくことで生み出していくことができる」と強調しました。
その上で、これから社会人になる学生へ「競合がいれば負けることもあるが、そこから『どうしたら勝てるのか』と諦めずにひっくり返していく想いや考え方が非常に大事だ」と力強く語りました。

大学構内には次世代EV「ゼロシリーズ」のSUVなども展示
■マツダ
マツダの今田道宏執行役員(統合制御システム開発担当)は12月5日、早稲田大学西早稲田キャンパス(東京都新宿区)で講演し、「マツダが描く未来とソフトウェアで実現するモノづくりの革新」をテーマに、マルチソリューション戦略や、“ひと中心”の思想に基づく技術開発、またソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV)の可能性について講演しました。

早稲田大学で講演する今田執行役員
マツダは、お客様の“走る歓び”を高めつつ、地域毎の社会環境に応じて電動化技術やエンジン、カーボンニュートラル燃料を適所適材で組み合わせ、さらにCO₂の排出よりも回収・吸収が上回る“カーボンネガティブ”への挑戦にも取り組み、循環型社会の実現に向けた幅広い技術開発を進めていると紹介しました。人工知能(AI)についても、人とクルマとの距離を縮める手段と位置づけ、「AIでソフトウェアを進化させ、“愛車”として育むことで心身の活性化につながる。お客様に合ったプラットフォームをつくることも私たちの仕事だ」と語りました。

会場近くには「ロードスター」なども展示
■SUBARU
SUBARUの大崎篤社長は12月10日、東京理科大学葛飾キャンパス(東京都葛飾区)で「答えは現場にある~学生のみなさまに今つたえたいこと~」をテーマに講演し、自身のキャリアを交えつつ、スバルの最新の取り組みを説明。車両開発では機械工学だけでなく、電子・電気分野も重要性を増しており、「研究の成果を追求するプロセスは自動車業界に必ず役立つ。一緒に未来をつくれたらうれしい」と学生に呼び掛けました。

東京理科大学で講演する大崎社長
大崎社長は、大学時代からクルマやモノづくりが好きで、入社後はパワートレインの設計に熱中し、その後は「夢だった」という車両の企画開発に携われたことを紹介。さらに労働組合専従時代のリストラや完成検査問題なども振り返り、「修羅場の経験が成長につながる。立ち向かうことも大切だ」と主張しました。

最新EVのコンセプトカーなども展示
■三菱ふそうトラック・バス
三菱ふそうトラック・バスの副社長兼開発本部長の安藤寛信氏は12月19日、明治大学生田キャンパス(川崎市多摩区)で「正解のない時代を生きる皆さんへ 商用車業界の開発現場から考える『働く』ことの意味」をテーマに講演。「社会人にとって一番重要な能力は」「人生における成功とは」などの設問にスマートフォンで参加者が投票する工夫も取り入れ、学生と議論も交わしていました。

明治大学で講演した安藤氏
安藤副社長は、シャシー設計やドイツ駐在、開発本部長などを経験しながら約30年間、三菱ふそうで働いてきた自身の考えを紹介。「働くのはお金のためでもなく、社会貢献のためでもなく、生きるため」とし、「常に無人島を想像して考えると面白い」と、生きるために手分けして働く無人島での集団生活を例に出すなどして学生に問いかけていました。

会場近くにはトラックを展示
■UDトラックス
UDトラックスの伊藤公一社長兼CEO(最高経営責任者)は2026年1月15日、上智大学四谷キャンパス(東京都千代田区)で「商用車とマルチパスウェイ戦略~働くクルマのまじめな世界~」をテーマに講演。大型トラックが持つ社会インフラ的役割、さらに脱炭素化への道のりは1つに絞り込めないこと、技術と技術の組み合わせが新たな価値を生む可能性があることを強調しました。

上智大学で講演した伊藤社長
伊藤社長は「近距離はEV、中距離はFCV(燃料電池車)も出てくると思うが、長距離や除雪車などはディーゼルエンジンとカーボンニュートラル燃料の組み合わせが最適ではないか」として、1つの技術に固執せず、得意分野で積み上げることが重要だと説明しました。
その上で「皆さんが学び、生み出す技術もどのような課題と結び付け、どのような現場で使うかによって社会を変えることにつながる。どれか1つが正解というわけではなく、組み合わせ次第で社会を前に進めることができる」とマルチパスウェイ(全方位)の考え方から学生にエールを送りました。

学生の質問に答える伊藤社長
◇
昨年10月から今年1月にかけ、約4カ月間開催された大学キャンパス出張授業。今回も自動車メーカーに関心を持つ多くの大学生が参加し、講演や展示を通じ、メーカー経営トップらと〝交流〟しました。自動車産業では、特にITに強い学生が不可欠な現状を踏まえ、従来とは異なる発想での人財確保が急務となっています。自工会では、若者に関心を高めてもらうさまざまな活動を実施しており、引き続き、未来を担う若者に向けてモビリティ業界の魅力を発信していきます。
【関連リンク】
自動車業界、理系人財獲得へ! 「モビショー」で大学生・中学生向けイベント – JAMA BLOG 一般社団法人日本自動車工業会

