自工会、メディア懇談会を開催(2/18)
2/18、自工会は自動車産業担当の報道陣を対象に「新7つの課題」をはじめとした活動の進捗に関する説明会を開催しました。本イベントでは、まず会長の佐藤から当日朝行われた理事ミーティングの議論について説明があったほか、理事の毛籠勝弘から理事ミーティングでも共有があった、新7つの課題へ対応するにあたって根底ともなる日本の自動車業界が持つべき危機感について説明がありました。参加したメディアからも国内外のモビリティ業界の課題について質問が出るなど、活発な意見交換が行われました。
■会長 佐藤恒治(トヨタ自動車(株) 代表取締役社長)

本日もお集まりいただきましてありがとうございます。大変嬉しく思います。本日は自工会として、集まり色々な話し合いを行いました。今回は、全理事に加えまして、実際の具体を作っていく中心になる総合政策委員会のメンバーにも参加いただき、「新7つの課題」の深掘りを行いました。新7つの課題を進めていくにあたって、議論を進める中で、特に我々が感じたのは、やはり根幹にある危機感を共有して、具体の話に入っていかないと、たどり着くゴールが変わってしまうという新たな危機感を持ちました。例えば、ご記憶かもしれませんが、部品共通化の話で鈴木副会長から事例が挙げられました。協業で共通化をしようと話し合ったものの、最後にできた共通化部品は灰皿1個だったという。まさにそれが起きかねないという危機感を新たに感じました。
どのような危機感のもとに新7つの課題に向き合うのか、ここの意識合わせができていないとたどり着くゴールがだいぶ変わってしまう。このため今日の理事ミーティングの主な時間は、新たに7つの課題に取り組む上での危機感の共有にかなり時間を割いて議論をしました。各理事には、前回以降も色々な意見を提案していただきながら、7つの課題で深めていくべきところは何か、というやり取りをしている中で、(マツダの)毛籠理事から、ある種「檄文」を受け取ったと思えるような、強烈な危機感の発信がありました。まさにその危機感こそが、今自工会が持つべき、共有すべき価値観だと思いましたので、今日の理事ミーティングの中でも、片山前会長が私に託してくれた危機感はもちろん、それに加えて毛籠さんから、今日本の自動車産業が置かれている状況、あるいは持つべき危機感とはどのようなものなのかということについて、思いを共有いただく時間をとりました。後ほどその内容についてこの場でもお話をしていただければと思っています。
7つの課題それぞれにやっていくことはたくさんあるわけですが、やはり一番大事なのはスピード感だと思います。スピードを上げていくためにも、やはりゴールを社会実装だと置いたときに、それを実現するためのプロジェクトを明確に示して課題を解決していくというアプローチをすべきということで、一つ一つの課題に対して、それを社会実装まで持っていくためのプロジェクトを定義するというやり方にしています。それを「大玉テーマ」という言い方をしながら、それを立てつけて、課題を整理していくというアプローチにしていく。従来はいわゆる幹事会社がいて、その会社が全体をまとめて提案して、理事会で諮ってというやり方だったのですが、どのテーマも、自動車産業の構造改革によってものすごく大きなテーマで、一社でやり切れるものでもないですから、理事会全体で総合政策委員会のメンバーも含めて、全体論をスピーディーに行っていき、今年の前半には少しテーマの形を作っていきたいと思っています。
まだまだテーマとして具体化が進んでいる進度には差があって、今日お手元にお配りした資料には、前回お配りした7つの課題をこのようなフォーカスで捉えていて、その進捗をアップデートしたA4縦のレジュメを1枚お付けしています。この情報発信は非常にセンシティブというか、我々も悩んでいます。明確に1ヶ月経ったから、結論が出ましたというものでもないですし、一方でリアルタイムに皆さんとコミュニケーションしながら、世の中の関心や、注力すべきことに対するご意見もいただきながら、インタラクティブに進めたいという思いもあって、アップデートしたものを、都度お示しするようにします。ですから、テーマによっては、進度がぐっと進んだものもあれば、一方で今月はそこに対する進度が皆さんと共有するレベルにないものもあるといった見方で資料をご覧いただくと、どこにどんな進捗があったのかと見てとれると思います。今現在の取材や報道に対しての特効薬にはならないかもしれませんが、長い目で見たときに皆さんとこういうコミュニケーションを取りながら、7つの課題を解決していく時間軸、あるいはその傾聴、あるいは変化が見て取れるようになるコミュニケーションに努めたいと思っています。また、その裏に1枚お付けしているのが、特に課題7の部分について少し書きおろした資料です。この場で詳細のご説明は割愛しますが、7つの課題を実装していくプロジェクトをいわゆるプロジェクト企画書のように、まとめていく整理をしています。今回は物流のDXについてまとめたものです。これはいわゆるコンセプトペーパーですので、これから中身がどんどん詰められていって、最終的なプロジェクト提案するときには、もう少し精度が上がると思いますが、このような形で7つの全てのテーマに対して、具体化をして今年前半でまとめて提案をしていきたいと考えています。

7つの課題に取り組む上で、我々が大事にしたいと思っていることが3つございまして、その紹介をさせていただいた後、少し毛籠さんにバトンタッチをしたいなと思います。1つは、日本の自動車工業会の特徴を生かした取り組みをしたいこと。(自工会は)世界でも稀にみる多様なOEMの企業集合体になっています。非常にカバー領域も広いですし、それぞれの会社が持っている強みもそれぞれにあると、この多様性こそが日本の自動車産業の国際競争力を高めていく原動力になる取り組みをしていきたいということです。ある種の同調性を求めるのではなく、多様な取り組み、その個社個社の強みがより際立っていくことによって、総合力として日本の自動車産業の競争力が高まっていくと、こういうフレームワークあるいはスキームで7つの課題に向き合っていくことが大事だと思っています。
2つ目のポイントは、「ナラティブ」なアプローチで向き合いたいということです。我々はどうしても「自動車産業の未来のために」という主語で物を言いがちなのですが、今自動車産業単独で解決できる課題は非常に少ないです。産業をまたいで動く、あるいは官民の連携を踏まえてやっていくべきことが非常に多い中で、自動車産業が主語の取り組みに陥ってしまわないように、我々が550万人とともに戦って、このテーマにしっかり向き合った先に、どんな社会があるのか、我々はどんなお役に立てるのかをお示ししながら、その領域において共感をいただけるようなコミュニケーションしながら、取り組んでいくことが非常に重要だと思っています。
3点目は、やはりスピード感です。先の衆議院議員選挙における結果も踏まえ、高市政権の「強い経済」の実現という目標に対して、自動車産業が国の基幹産業としてしっかりとコミットしていく必要があると理解をしています。実は(政府の掲げた)「重点17領域」の中に自動車は入ってないですね。これは私すごく大きな意味があると思っていまして、自動車こそ多方面に、その17の技術領域に対してエンゲージすることが期待されているのだろうと。故に、特定領域として捉えるのではなくて、自動車産業が17領域に対して、しっかりと向き合って、我々の産業の中で、社会実装に、あるいはその研究開発が促進できる「民」の本気度、覚悟を示していくべきなのか、といったような観点で、の戦略投資、あるいは民が意思を持った国内投資にしっかりとエネルギーを与えられるように課題に取り組んでいくことが重要だろうと思っています。新7つの課題に取り組む上では、今申し上げた3つの観点で、これから活動を加速させていきたいと思っています。
その活動していく上での原点に置くべきその価値観、危機感という意味で毛籠さんから思いの部分を共有いただければと思いますので、よろしくお願いします。
■理事 毛籠勝弘(マツダ(株) 代表取締役社長)

片山前会長がリードされた7つの課題、それから佐藤新会長になって新7つの課題を検討していく中で、我々にふつふつと沸く危機感が顕著になってきていると思い、今回「新7つの課題」を検討していく具体に入る前に、その全体に通底する、我々の危機感をもっとビビッドにして、それを共有することが非常に重要じゃないかと、提言書のようなものをご紹介させていただきました。
我々国内では四輪車は約850万台の生産規模があり、550万人の広いサプライチェーンを構成して、仲間と一緒に国際競争を今まで勝ち抜いてきました。今、個社が切磋琢磨して個社ごとのベストを尽くしていくことが、日本全体のものづくりとして将来国際競争力を持ち得るかを率直に直視しないといけない。我々の競争相手は、自由な民間企業だけで構成されている時代はもう過ぎて、大きな効果のもとに、独自の産業システムを持っている競争相手が出てきている。あるいは、政治が通商、その他に影響を与えるような時代になってきている。環境が根本的に変わってきている時に、我々、自分たちが今のままの個社の集合体のまま強くなっていくことでいいのだろうか。その産業構造そのものまで踏み込んで協調領域や競争領域を大胆に組み替えていく必要があるのではないか。そうすることで自動車産業が、周辺の産業の人たちとも、もっと強調していくオポチュニティも増えてくるのではないだろうか、といった思いがあり今日はお話をさせていただきました。
どのような議論ををしていくかはまさにこれからですが、今日は会長、副会長、理事から多くのコメントが出て、その危機感について、皆さんと共有ができ、その一歩だったと感じております。
また、会長の佐藤より、本日の理事ミーティングで行われた具体的に議論について追加で説明がありました。

その他、議論の中では、働き方改革というか、自動車産業の就労人口、労働人口の減少に伴う人財獲得、活用のあり方について、少し突っ込んだ議論をしております。
今日の段階で結論を出すには少し時期早尚かと思いますが、一つには例えばソフトウェアの開発、あるいは工場における生産関係職の働き方、このようなところには非常に多くの協調領域が存在しているのではないかという問題意識の共有、それから将来にわたって、働き方や価値観、生活スタイルも大きく変わっている中で、生産効率性を軸に置いた労働カレンダーに対し、我々も本気で向き合うべきなのではないか、という意見交換もありました。これはいわゆる祝日の定義や、その先には労働日数の考え方など、色々な論点あると思います。
まずもって今日議論されたのは、いわゆる祝日に対する考え方、やれるとこから動いていこうというような議論があって、それを理事会で少し深めていき、なるべく早いタイミングで皆さんに正式にお話できるようにしたいと思っております。
■資料
課題7:「サプライチェーン全体での競争力向上」共同物流の実装に向けた標準プラットフォーム構築案(2/18暫定版)
米国年次レポート「Moving American Manufacturing Forward」
■フォトギャラリー
- 自工会会長 佐藤恒治(トヨタ自動車(株) 代表取締役社長)
- 自工会会長 佐藤恒治(トヨタ自動車(株) 代表取締役社長)
- 自工会会長 佐藤恒治(トヨタ自動車(株) 代表取締役社長)
- 自工会副会長 片山正則(いすゞ自動車(株) 代表取締役会長)
- 自工会副会長 鈴木俊宏(スズキ(株) 代表取締役社長)
- 自工会副会長 三部敏宏(本田技研工業(株) 取締役 代表執行役社長)
- 自工会副会長 設楽元文(ヤマハ発動機(株) 代表取締役社長)
- 自工会理事 毛籠勝弘(マツダ(株) 代表取締役社長)
- 自工会副会長 松永明(自工会 専務理事)
- 自工会 総合政策委員会委員長 松山洋司(トヨタ自動車(株) 渉外広報本部副本部長)














