- 2026/05/27
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ミュージアムの歩き方 ②カワサキワールド
自動車メーカーが社の歴史や技術、最新の製品などを展示する博物館(ミュージアム)を紹介するシリーズ。第2回は「カワサキワールド」です。川崎重工グループ創立の地、神戸市を訪ねました。
※記事中の展示やイベントは取材当時のもの
120年を超える歴史を持つ川崎重工グループの企業ミュージアム「カワサキワールド」は、目の前に神戸の海が広がる同市中央区波止場町の神戸海洋博物館内に併設されています。同館の屋根は白いスペースフレーム構造で、大海原を進む帆船の帆をイメージしています。すぐとなりには観光スポットの神戸ポートタワーがそびえ立ち、海の向こうには同グループの造船所(神戸工場)も遠望できます。
川崎重工業の歴史を紹介

エントランスを通ってカワサキワールドに入ると、創業者紹介コーナーがあります。1878年、近代的造船業に関心を持っていた川崎正蔵が東京の築地に川崎築地造船所を開設した創業時から、1896年に松方幸次郎が初代社長に就任し、神戸に株式会社川崎造船所が誕生。造船業に始まり鉄道車両や製鉄事業など多角的に事業を拡大した川崎重工業の歴史が紹介されています。
日本の産業を振り返る貴重な記録写真

続くヒストリーコーナーには多くの写真と模型が展示されており、造船業から総合重工業企業へと成長していった川崎重工グループの歴史を知ることができます。年代順に並ぶ写真はまさに日本の重工業の貴重な記録で、産業の発展そのものを振り返る空間となります。国産初の産業用ロボットやジェットスキーの初期モデルなど、同グループが開発した製品の実物も展示されています。
モーターサイクルギャラリーの多彩な展示

川崎重工グループの陸、海、空の多様な製品を紹介する映像が流れる約14メートルの曲面ワイドスクリーンを抜けて、お待ちかねのモーターサイクルギャラリーに進みます。ここでは、日本を代表するモーターサイクルブランド「Kawasaki」の歴代名車に出会うことができます。

ギャラリーでは2027年3月28日まで、モーターサイクル事業70周年特別展示「70 Years of Good Times」の第5弾が開催されています。テーマは「不屈のライムグリーン」で、これまでのレースの活動をマシンとともに紹介しています。

カワサキを象徴するライムグリーンは、1960年代に米国のレースでレーサーマシンの車体色に使われたことから始まります。欧米では「不吉な色」とされていることから、採用された当初は、「運も離れて勝利など不可能」などと言われていたそうです。ところがカワサキは勝利をおさめ続け、「グリーン・モンスター」として畏敬されるまでになりました。その後ライムグリーンはカワサキのイメージカラーとして定着し、市販車モデルにも導入されていきます。
展示では、KR1000(1982年)、KR350(同)、Ninja ZX-7RR(2001年参戦車両)など歴代のマシンが出迎えてくれます。展示マシンはまさに「カワサキが歩んだ挑戦の軌跡」といえます。

カワサキが手掛ける多彩なモビリティ…

モーターサイクルギャラリーのエリアを抜けると、新幹線の車両が目に入ります。実物の大きさに圧倒されつつ、川崎重工グループが製造していたことにも驚かされます。運転席や客車両に入ることもでき、子どもたちに人気です。
2025年の大阪・関西万博で展示した未来のモビリティコーナーに進むと、四つ足の動物の形をしたマシン「CORLEO(コルレオ)」が目に入ります。道路やレールがない場所を移動できるコンセプトで、未来を描いた映画が浮かんできます。

また、客席が部屋の形をした箱になっており、それ自体がモビリティとなって列車や船、飛行機に部屋ごと組み込むことができる「ALICE SYSTEM(アリスシステム)」を体験することができます。いずれも、人が持つ「移動本能」を刺激し、満たすために生まれたコンセプトモデルといいます。
そして、KV-107Ⅱ型ヘリコプターの実物の大きさにも目を奪われます。客室内部や操縦室に入ることができます。フライトシミュレーターは神戸空港での離発着を体験でき、パイロット気分を味わうこともできます。
このほか、ロボットの動きや油圧機器の仕組みを学ぶことができる体験コーナー「コロコロファクトリー」や川崎重工業の製品や技術をイラストや動画で紹介するコーナー「テクノラボ」など、子どもにも理解できるよう工夫された展示が印象的です。
施設の担当者にインタビュー
川崎重工グループのテクノロジーを「見て」「触れて」楽しく体験できる、がコンセプトのカワサキワールド。その成り立ちや狙いを、カワサキワールドのゼネラルマネージャー、西尾知明さんとカワサキモータース営業本部マーケティング部の山村歩美さんに語っていただきました。

コンシューマープロダクトを提供する唯一の重工業
神戸海洋博物館は1987年、神戸港の開港120周年記念事業として建設され、カワサキワールドは川崎重工業が創立110年を迎えた2006年に作られました。
総合重工業メーカーでコンシューマープロダクトを提供していることがカワサキの特徴で、幅広い製品をみなさんに身近に見て、触って、楽しんでいただくための施設がカワサキワールドです。
社会科見学の子どもや海外旅行者が来場
来場者については、コロナ禍もありましたが年平均約20万人です。2006年から累計し、2025年12月に400万人を突破しました。家族連れが多く、小・中・高校生の社会科見学のニーズもあります。遠足や修学旅行で神戸を訪れた中学生や養護学校の生徒もいらっしゃいます。
モーターサイクルエリアには高校生の来場が多く、大人ではツーリングライダーが立ち寄るスポットにもなっています。インドの旅行ツアー客など海外からの来場者もあります。英国から旅行に来たという50代の男性は「(カワサキの)バルカンの1500ccと2000㏄に乗ってポーランドまで走った」と話していました。

カワサキモータースの歴史を展示
現在開催しているモーターサイクル事業70周年特別展示「70 Years of Good Times」は、企画展の最終章で第5弾です。カワサキファンに愛されるライムグリーンをテーマに、これまでレースで活躍したモーターサイクルを展示しています。
2023年9月から始まったこの企画展では、カワサキモータースのビジネスの歩みを振り返ってきました。
第1、2弾は米国市場に参入した転換期の展示でした。オフロード四輪車「ミュール」の初代モデルも展示しました。
第3弾は欧州市場の紹介で、時速300キロをたたき出したZZRを展示しました。第4弾は、1980年代の日本でのバイクブームに焦点を当てました。当時の名車をずらりと展示し、来場者に喜ばれました。
第4弾までが世界と日本の市場をテーマにしたのに対し、現在展示している第5弾はレース活動を振り返る内容となっており、カワサキのレースの歴史に触れていただきたいと思います。

魅力的な未来のモビリティ
アリスシステムは、すべての人がストレスなく安心して移動できる新しいモビリティです。自宅にキャビンがやってきて駅や飛行場のほか、船着き場で船に乗ってキャビンごと移動できます。
したがって、お年寄りや子どもも好きなところへ旅ができます。陸、海、空の移動を一貫して手掛ける川崎重工グループならではのシステムです。

コルレオは、モーターサイクルとロボットの両技術の結集です。タイヤの付いた乗り物では入れないようなところに入れるモビリティで、乗る楽しさを新しい形で表現しています。「カワサキ」という事業展開だからこそできる展示といえます。
地域貢献も積極的
国内外で事業展開する企業としては、地域社会への貢献は必要なことです。神戸の子どもたちへの教育貢献として「水素社会のサバイバル」という冊子を作って配布しています。2025年11月には施設があるメリケンパークでミニ鉄道車両のイベントも実施しました。

また、初代社長の松方幸次郎が1910年代から20年代にかけて欧州で収集した美術コレクションがあり、浮世絵コレクションは東京国立博物館、西洋美術コレクションの一部は国立西洋美術館に所蔵されています。
関連リンク
カワサキワールド
川崎重工業
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ミュージアムの歩き方 アーカイブ- JAMA BLOG 一般社団法人日本自動車工業会

