カレーで知る、自動車メーカーの個性②(トヨタ、ホンダ)

自動車メーカーのオリジナルカレーを紹介する「カレーで知る、自動車メーカーの個性」シリーズ。第2回は、トヨタ自動車本田技研工業です。

トヨタ博物館カレー6種

レストランの看板メニュー
愛知県長久手市にあるトヨタ自動車のミュージアム「トヨタ博物館」。クルマ館の1階にあるミュージアムレストラン「AVIEW」のメニューにカレーが3種あります。ビーフカレー辛口、同甘口、チキンカレー。1989年当時の文化施設の食堂は軽食が一般的だった時代に、一線を画した「ミュージアムレストラン構想」が生まれ、「ゆったりくつろげる空間で本格的な洋食を提供したい」と自然光を大きく取りこむテラス風のレストランを設計。一流ホテルからシェフを招き一切妥協しないメニューづくりがスタートしました。その看板メニューとして誕生したのが「トヨタ博物館カレー(ビーフカレー)」です。

レストランで提供されるカレーはご飯が自動車の形に型抜きされていて、その周りにカレーが盛り付けられています。

評判のカレーをお土産に「レトルトカレーへの挑戦」
当時会長であった豊田英二氏が来館の際に好んで召し上がることが噂となり、「評判の博物館カレーをお土産にできないか」と商品化が持ち上がりました。

しかし開発は簡単ではありませんでした。一般的なレトルト製法では、レストランの味を再現するのは至難の業でした。レトルト工場で試行錯誤の末、「洋食の基本」「厳選素材」「手間を惜しまず」、かたすぎずやわらかすぎない肉の存在感と深いコクのあるレストランに近い味のカレーが完成し、1995年に商品化。その後、種類も増やしていきました。

現在販売されているカレーは6種類で、パッケージに「トヨタらしさ」があふれていて、往年の名車が印刷されています。

① ビーフカレー辛口=トヨタ AA型乗用車(1936年)
② ビーフカレー甘口=トヨペット クラウン RS-L型(1958年)
③ チキンカレー=トヨタ 2000GT MF10型(1968年)
④ ポークカレー=トヨタ パブリカ UP10型(1961年)
⑤ 野菜カレー=トヨタ プリウス(1997年)
⑥ バターチキンカレー=トヨタ セリカTA22型(1970年)

各名車の写真の下には2つのメーターが描かれています。1つは辛さを示すメーターでもう1つはカロリーメーター。辛さは10段階で、カロリーは400キロカロリーまでメーターがあります。

贈答用のグルメ3個セット

関連施設のショップとオンラインで販売中
トヨタ博物館カレーは、トヨタ博物館、トヨタ会館(豊田市)、トヨタ産業技術記念館(名古屋市)およびトヨタ博物館のオンラインショップで購入できます。

・各カレー1個 540円(消費税込み)
・贈答用のグルメセット3個(ビーフ辛口、ポーク、チキン) 1,706円(同)
・同6個(全6種) 3,369円(同)年間約30万食以上販売しています。

トヨタ博物館カレーを試食
まず、レストラン開店当初から提供されている王道のビーフカレー辛口。レトルト商品化のきっかけとなったカレーだけあって、安定感抜群の味わいです。辛口といっても、コクのあるうま味が前面に出ていて「辛い~」という印象ではありません。ルウの滑らかさがちょっと懐かしく、レトロなカレー皿に盛りつけたのは正解でした。

次に、野菜カレーを試食。ルウには動物油脂が使われているものの、6種の中で最も低い157キロカロリーとヘルシーな仕上がりです。野菜を引き立てるバターライスを炊いてレーズンをトッピングしました。ルウには野菜カレーとは思えないコクとうま味が凝縮されており、食が進みます。ガーリックトーストとも合うと思いました。

期間限定で渋谷に開店した「プレリュー堂」

スパイスカレー専門店「プレリュー堂」が出現!
2025年12月、東京都渋谷区にホンダが企画したスパイスカレー専門店「プレリュー堂」が出現しました。同年9月の新型クーペ「プレリュード」の発売を記念したイベントとして期間限定でオープンし、プレリュードにホンダ車として初めて採用した制御技術「Honda S+Shift(エスプラスシフト)」と3つのドライブモード(SPORT、GT、COMFORT)を組み合わせた6つの異なる走りをスパイスで表現したカレーを提供しました。商品化にあたっては、このコンセプトを受け継ぎながら内容を再構成。ポークカレーと3つのスパイスがセットになっていて、ベースとなるカレーを3回「味変」でき、計4つの味を楽しめる逸品です。

スパイス料理研究家の一条もんこさんが商品開発を担当し、PRELUDEのパワートレーン開発責任者が監修しました。一条さんはプレリュードに試乗し、その体験からの着想を開発に反映。若手社員の意見も取り入れて試作を重ねたといいます。

開発を監修した一条もんこさん

「家庭でも走りの味を」の声に応えて商品化
プレリュー堂にはイベント期間の4日間に1000人以上が来店し、1200食が完売しました。来場者の評判も高く、「商品化してほしい」という声が多く寄せられました。そこで、レトルトカレー「プレリュー堂スパイスポークカレー」を商品化し、2026年4月からHonda公式ECサイトで販売しています。スプーンにプレリュードの影が乗ったデザインのパッケージにレトルトカレーとスパイス3袋が入って1,200円(消費税込み)。

4つの味が表現する“走り”(パッケージより)
①「GT」ポークカレー(スパイスなし、辛さ1)=トマトの酸味と、粗く挽いたクミンとコリアンダーでフレッシュな香りに。のびやかで爽快な走りを表現しました。

②「GT×ホンダ エスプラスシフト」(辛さ2)=コリアンダーを強調し、柑橘系のフレーバーを引き立たせて爽快感ある香りに。長距離でも快適さが続く乗り心地を表現しました。

③「SPORT×ホンダ エスプラスシフト」(辛さ3)=花椒(ホアジャオ)とチリペッパーを混ぜて粗挽きにすることで、麻辣のようなやみつきになる辛さと、華やかな香りに。ワイルドで魅力的な昂(たかぶ)る走りを表現しました。

④「COMFORT×ホンダ エスプラスシフト」(辛さ1)=フェンネル特有の爽快感と甘苦い香りが特徴。大事な人を隣に乗せて走るような上品でリラックスできる乗り心地を表現しました。

企画と開発には秘話も
ホンダの各事業所では、社員食堂で提供される金曜のカレーうどんが有名で、事業所によって味が異なります。プレリュードの発売記念でカレーを開発することになった発端には、少なからずカレーうどんの存在がありました。
当初の開発コンセプトに「スパイス」というキーワードがあり、「多くの人が受け入れられるものを作りたい」としてコーヒーなどの飲料も検討されました。しかし、「飲料ではインパクトがない」、「車に乗りたくなる刺激が足りない」などの意見があり、「本気の味のカレーに」という方向になりました。

プレリュードに搭載された新技術「Honda S+ Shift」は今後、ハイブリッド車に採用されていくといいます。カレーの企画担当者は、「人の五感のうち、触覚、聴覚、視覚は車で、残る味覚と嗅覚をカレーで満たすことができれば」と話しています。

レトルト「プレリュー堂カレー」を試食
ベースのGTポークカレーは、心地よいトマトの酸味が印象的です。基本のスパイスも感じられ、すりおろしたような野菜のうま味が白米によくからみます。同封の3つのスパイスは、辛さ1、2、3の順(COMFORT、GT、SPORT)で味変を体験。上品で爽快な香り→柑橘系のフレーバー→しびれる花椒の辛さを楽しむことができました。

関連リンク

トヨタ博物館

ホンダ

カレーで知る、自動車メーカーの個性①(いすゞ自動車、スズキ、UDトラックス)