自工会元会長、米国「自動車殿堂」に

トヨタ自動車の豊田章男会長が米国の「自動車殿堂」のメンバーに選出されました。自動車殿堂は世界のモビリティ産業に変革をもたらした人物の功績をたたえ、顕彰することで後世に伝承するものです。1939年の創立以来、ヘンリー・フォードやフェルディナント・ポルシェ、トーマス・エジソンなど、これまで320名が殿堂入りし、そのうち日本人は以下11名が含まれています。

自動車殿堂 歴代日本人受賞者(敬称略)

1989年 本田宗一郎 本田技研工業株式会社
1994年 豊田英二 トヨタ自動車株式会社
1997年 田口玄一 青山学院大学教授
1998年 片山 豊 日産自動車株式会社
2004年 梁瀬次郎 株式会社ヤナセ
2006年 石橋正二郎 株式会社ブリヂストン
2007年 豊田章一郎 トヨタ自動車株式会社
2018年 豊田喜一郎 トヨタ自動車株式会社
2022年 大野耐一 トヨタ自動車株式会社
2023年 藤沢武夫 本田技研工業株式会社
2026年 豊田章男 トヨタ自動車株式会社

自動車殿堂の主催者によると、受賞理由は「『ドライバーファースト』の理念を通じて、世界の自動車業界におけるリーダーシップを再定義し、現代のモビリティに情熱、パフォーマンス、そして目的意識を取り戻した」こととあります。

今回殿堂入りした豊田氏は2012~2014年と2018~2023年に自工会会長を務めました。最初の就任期には超円高をはじめとする、いわゆる自動車産業の「六重苦」に直面。二度目の就任期にはCASEによる「100年に一度の大変革」、コロナ危機、そしてカーボンニュートラルという大きな変化が相次ぎました。そうした中で豊田氏が繰り返し語った言葉の一つが、「550万人」です。

自動車をつくる人だけではありません。部品、販売、整備、物流、バス、タクシー、燃料、保険。クルマをつくり、走らせ、人々の移動を支えるすべての人を、「自動車産業550万人の仲間」と捉えました。
コロナ禍では関連団体にも声をかけ、企業や業界の垣根を越えて、「日本のものづくりを支える人材を守ること」「経済復興の牽引役になること」をミッションに、自動車産業が一体となって危機に向き合う動きへとつながりました。

同時に進めたのが、自工会自身の改革でした。理事会を「追認の場」ではなく、各社トップが産業の未来について議論し、意思決定する場へ。二輪車や大型車のトップも副会長に加わり、それぞれの会社の立場を越えて課題に向き合う体制へと生まれ変わりました。カーボンニュートラルへの向き合い方にも、その姿勢は表れました。目指すゴールは一つでも、そこへ至る道は一つではない。電気自動車だけでなく、HEV、PHEV、FCEVなど、それぞれの国・地域のエネルギー事情やお客様の使い方に合わせて選択肢を持つ「マルチパスウェイ」という考え方を発信し続けました。大切なのは特定の技術を守ることではなく、カーボンニュートラルという目的に向けて、技術と雇用、そしてお客様の選択肢を未来につないでいくことでした。

こうして振り返ると、豊田氏が自動車産業に残したものは一つの製品や政策だけではありません。

会社を越えて仲間を捉えること。
危機のときには競争の壁を越えて協力すること。
トップ自身が議論し、決め、行動すること。
そして、未来への選択肢を一つに絞らないこと。

自工会が2023年に掲げた「7つの課題」や2024年に策定した「ビジョン2035」、そして2026年に発表した「新7つの課題」は、まさにその礎の上に立っています。

ミシガン州のデトロイトで現地時間の9月23日に開催された式典にて豊田氏は、

  • 今日、私がここに立っているのは、販売店の皆さんとその従業員、そして世界中の約40万人のトヨタ従業員のおかげです。この栄誉は、本当はその全員のものです。
  • (お客さまやサプライヤーも含め)皆さんの心をつかむことが、いつも私にとって最大の原動力であり、最大の励みになっていました。
  • 私たちが力を合わせれば、人々の暮らしをより良くする、並外れた力を発揮できます。
  • 力を合わせ、社会に良い影響をもたらすために何ができるのかに、もう少し目を向けてみませんか。

と、未来に向けて協創を通じてモビリティが社会に貢献す必要性を、改めて呼びかけました。

550万人の仲間とともに産業を考える。会社の枠を越えて課題に向き合う。そして、自動車を起点に、人々の移動と暮らしをより良くしていく。豊田氏が仲間とともに積み重ねてきたその考え方と行動を、次の時代に合わせて進化させ、さらに先へつないでいく。それが、今を担う私たち自工会の役割です。

関連リンク

【リリース】豊田会長が米国自動車殿堂入り(トヨタ自動車公式サイト)

豊田会長、米国自動車殿堂入り 仲間と受けた栄誉、共に未来へ(トヨタイムズ)

米国と歩んだ70年 殿堂5人が受け継いだもの(トヨタイムズ)

Automotive Hall of Fame (米自動車殿堂公式サイト)