- 2023/01/18
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自工会「大学キャンパス出張授業」を開催
自工会は会員メーカーの経営トップらが講師を務める「大学キャンパス出張授業2022」を開催しました。この取り組みは2013年に開始し、これまでにのべ3万人を超える大学生や大学院生に、ものづくりの魅力やこれからの自動車産業の方向性を伝えてきました。9回目となった今回は、新型コロナウイルスへの十分な感染対策を行った上で、3年ぶりに対面での開催となりました。その様子の一部を紹介します。
いすゞ自動車は津山浩一・開発部門執行担当が、「運ぶを支える先端技術」をテーマに10月14日、関東学院大学(横浜市金沢区)で講演しました。物流業界が抱えるドライバー不足や環境対応といった課題を解説し、自動運転、コネクテッド、カーボンニュートラル(温室効果ガス実質排出ゼロ)に向けた技術開発の状況を説明しました。
自動運転関連の技術では、ドライバーの負担を軽減するために開発中の隊列走行を紹介しました。コネクテッド技術では運行管理サービス「MIMAMORI(みまもり)」の最新機能について説明しました。
いすゞの津山執行担当による講演の様子
マツダは木谷昭博MDI&IT担当常務執行役員が、「自動車産業とソフトウエア開発」をテーマに11月22日、広島大学(広島県東広島市)で講演しました。
講演するマツダの木谷常務執行役員
木谷常務は、自動車開発や生産、調達などあらゆる領域で比重が高まっているデジタル技術の重要性を強調しました。自動車産業が自動車単体の取り組みからモビリティ社会の構築へと向かう中、「IT人材の活躍の場は飛躍的に拡大している」とし、新たに打ち出したITの社内教育体制についても説明しました。
講演に聞き入る広島大学の学生
トヨタ自動車では新郷和晃トヨタコンパクトカーカンパニープレジデントが12月6日に「モビリティ産業が描く未来と広がる人の可能性」と題し、明治大学生田キャンパス(川崎市多摩区)で講演しました。
講演する新郷和晃トヨタコンパクトカーカンパニープレジデント
新郷プレジデントはエンジニアの醍醐味を「いろいろな人と一緒に車を作り上げる匠の技との融合」と語りました。座右の銘の「一期一会」を用い、「意志ある情熱と行動で頑張ってほしい。学生時代のこの一瞬を大事に過ごしてください」とエールを送りました。 会場の前には新型「プリウス」と「ヤリス」のレース車を展示しました。
トヨタは新型プリウス(手前)とヤリスのレース車を会場に展示
スズキの鈴木俊宏代表取締役社長は、「次の100年に向けた新しい取り組み」と題し、12月9日に電気通信大学(東京都調布市)で講演しました。鈴木社長は「さまざまなモビリティの使用目的が細分化され、シームレスにつながるようになる」と話し、スズキとしてモビリティサービスにも取り組んでいく考えを説明しました。
講演する鈴木社長
学生からの「日本の自動車業界の競争力をどのように高めるのか」という質問に対しては、「自動車業界だけの問題ではなく、日本の産業全体を再生していく必要がある」と話しました。その上で、モビリティ産業の国際競争力強化によって日本経済の成長を目指す「モビリティ委員会」が経団連内に立ち上がり、政府との議論が始まったことを紹介しました。
講演後、学生の質問に答える鈴木社長
ヤマハ発動機の日髙祥博代表取締役社長は、「未来への挑戦 ART for Human Possibilities~人はもっと幸せになれる」をテーマに12月14日、名古屋大学東山キャンパス(名古屋市千種区)で講演しました。日髙社長は「会社の成長は社会や人々とともにある」と話し、同社の技術を生かした「挑戦」によって、社会課題の解決に貢献していく戦略を示しました。
講演する日髙社長
キャンパスでは、産業用無人ヘリコプターやグリーンスローモビリティなど、講演で紹介した製品を展示しました。同大学のOBでもある日髙社長は、「やりたいことに情熱を持って挑戦し、思い切り活躍してほしい」と後輩たちを激励しました。
ヤマハは産業用無人ヘリコプターなどを展示
日産自動車の内田誠代表執行役社長兼CEOは、「共に切り拓く、モビリティとその先へ」をテーマに12月15日、早稲田大学の井深大記念ホール(東京都新宿区)で講演しました。
学生に語りかける内田社長
内田社長は、自動車業界や日産の歴史を振り返るとともに、自動運転技術や電動化など、日産が取り組む最新の技術を紹介しました。内田社長は「ダイバーシティー(多様性)が日産の最大の強み」とし、それが日産の成長の原動力になっていると話しました。会場には、「アリア」「フェアレディZ」などの最新車両を展示し、学生の関心を集めました。
日産は、「フェアレディZ」や「アリア」などの最新車両を会場に展示
本田技研工業(ホンダ)は青山真二取締役執行役専務が「大変革期にあるモビリティ業界の面白さ〜新たな技術で社会にインパクトを与えよう〜」と題し、12月19日に東京工業大学の大岡山キャンパス(東京都目黒区)で講演しました。
講演するホンダの青山取締役執行役専務
青山専務は「モビリティ業界は、単なる製品自体をつくる業界ではなく、社会そのものをつくるスケールの大きい業界であり、挑戦のフィールドは皆さんの想像以上。私自身、ビジネスを進めるうえで、たくさんの学びがあることが大変面白い。大きな挑戦の機会があるモビリティ業界に興味を持ってもらえたらうれしい」とメッセージを送りました。
講演会ではホンダが進める電動化やデジタル・ソフトウェア技術について、小栗統括部長(エネルギーシステムデザイン開発統括部)と、四竈部長(ソフトウェアデファインドモビリティ開発統括部 先進安全・知能化ソリューション開発部)がそれぞれ説明し、業界の魅力を発信しました。キャンパス内ではF1マシンやMoto GPマシンをはじめ、電気自動車Honda e、電動垂直離着陸機eVTOLの模型、電動マイクロショベルPC01E-1、屋根付き電動三輪スクーターGYRO CANOPY e:などの展示に加え、ハンズフリーパーソナルモビリティUNI-ONEの体験会を実施し、学生の関心を惹いていました。
F1やMoto GPのマシンなどが並ぶホンダの展示
10~12月まで3カ月にわたって開催した大学キャンパス出張授業は、大勢の学生の参加の下、好評のうちに終了しました。参加した学生の皆さんからは、「クルマを自動車のみの視点から考えるのではなく、社会基盤全体から捉えることの重要性を知ることができた」「ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車など多くの選択肢を持つことで柔軟に対処する方法に感銘を受けた」といった感想が寄せられました。また、「ものづくりに携わる人間としての心構えを学ぶことができた」「エンジニアとしてどうあるべきかを学ぶことができて良かった」という声もありました。自工会としては、将来を担う若者たちに向け、モビリティ産業の魅力を引き続き発信していきたいと考えています。