- 2025/09/18
- ジャパンモビリティショー, 税制, 自工会, 記者会見, 関税

自工会、記者会見を実施(9/18)
自工会は9月18日、都内で記者会見を実施しました。会場とオンラインで参加した多くの報道陣に対し、会長の片山正則(いすゞ自動車会長)は各副会長とともに、日米通商問題についてのコメントや令和8年度税制改正要望について説明を行うとともに、来月に開幕が迫るJapan Mobility Show(ジャパンモビリティショー)2025について、それぞれ抱負を語りました。
■記者会見アーカイブ(中継録画)
■会長 片山 正則(いすゞ自動車 代表取締役会長)

会長 片山 正則(いすゞ自動車 代表取締役会長)
前回5月の会見から、世界経済はまた大きな動きがありました。日米の通商問題に関しては、米国政府は4月に自動車、さらに5月には自動車部品に対して、25%の追加関税を課す措置が発動されましたが、日本政府におかれましては、交渉の俎上に上がる項目が多岐にわたる中、粘り強く精力的な交渉を続けていただいた結果、7月に自動車分野を含む形で妥結いただいたことに、改めて感謝申し上げます。
その後、合意された15%が適用されていない状態が続いておりましたが、米国政府は今月、自動車および自動車部品関税に関する官報を公表し、9月16日より、新たな関税率が適用となりました。自動車および自動車部品関税として適用される税率15%は、米国が他国に課す税率と比較しても劣後したものではなく、日米両政府関係者のご尽力に重ねて感謝申し上げます。
本合意により、サプライチェーン全体を含めた日本の自動車産業への壊滅的な打撃は緩和されましたが、関税がもたらす自動車産業へのインパクトは依然大きく、自動車メーカーのみならず、サプライチェーン全体にもその影響が及んでおります。日本政府におかれましては、引き続き、米国政府と開かれた自由貿易に基づくビジネス環境に向けた議論を継続いただくよう、重ねてお願い申し上げます。
続きまして、令和8年度税制改正要望に関して、本日の理事会にて審議・決議いたしました。その内容は、本日この会見後に公表させていただきますが、本日は本年の重点要望を述べさせていただきます。
さきほど申し上げた通り、自動車産業を取り巻く環境が激変している中、日本の自動車産業の競争力や雇用が失われないようにするためには、国内での生産をいかに維持し強化していくかが、喫緊の課題であります。
不確実性が増す世界、グローバル市場において、最も信頼でき、確固たる軸となるのは、日本の市場、国内の需要となります。しかしながら、日本の自動車ユーザーの皆さまにとって、車体課税は依然大きな負担となっており、国内の健全な需要環境への妨げとなっております。
この負担を軽減し、恒久的な国内需要の維持・拡大に繋げていく。それにより、国内の生産基盤、サプライチェーンを引き続き支え、産業全体の基盤を確固たるものにしていきたいと考えております。そうした思いのもと、自工会としては、本年の最重点要望として、取得時の「環境性能割」は、単純廃止していただくよう、強く求めていきたいと思います。
また、現在、ガソリン税暫定税率廃止と、それに伴う代替財源を巡る議論が行われておりますが、代替財源を車体課税の引き上げにより穴埋めするといった声が一部で起きていることは認識しております。ガソリンなどの暫定税率の代替財源を車体課税に求めるようなことは、本末転倒であり、自工会としては、ユーザー負担増に繋がることは断固反対してまいります。そもそも、自動車重量税にも暫定税率は残存しており、これまでの課税の経緯からも、重量税の暫定税率の扱いも含めて、議論がなされるのが筋であると考えております。
本年の車体課税の抜本見直し議論において、こうした積年の車体課税の課題にしっかりと結論を出し、自動車関係諸税の簡素化・軽減を実現していただき、ユーザーにとって納得感のある税制を構築いただきたいと思います。
続いて「7つの課題」についてです。私たち自工会では、今後も基幹産業として日本経済に貢献していくため、注力すべきテーマを「7つの課題」として取りまとめ、正副会長自らが各テーマのリーダーとなり、これまで約2年のあいだ集中して取り組んでまいりました。結果として、「7つの課題」という言葉も世の中に浸透し、自動車産業以外の皆さまにも注目いただいたことで、様々な業界の方々と一緒に幅広い議論を重ねることができています。その進捗について、この秋、経団連モビリティ委員会において各種産業の皆さまにご説明できるよう、準備を進めているところです。
さらに、これと並行して、サプライチェーン全体を含む、自動車業界全体での「賃上げの好循環」を加速させるため、労務費の価格転嫁や、型取引などの過去の商慣習の徹底した見直しに取り組んでいます。取引の適正化について、これまで自工会と部工会は、本音ベースの深い議論を隔週で実施し信頼関係を築き上げてまいりました。
その取り組みの一つとして、今月上旬には、部工会と連名で、自動車産業の競争力強化に向けた適正取引の更なる推進を要請する、メッセージレターを400社以上におよぶ自工会および部工会の会員各社に届けました。
サプライチェーン全体における適正な取引は、日本の経済全体の好循環につながる活動であり、自工会と部工会が連携して賃上げを含む経済循環をさらにリードしていくという想いを一つにし、責務を果たしてまいります。
さて最後に、自工会が主催する最も大規模なイベント「Japan Mobility Show(ジャパンモビリティショー)2025」が10月30日、東京ビッグサイトで開幕します。先週、報道の皆さまには主催者プログラムの概要だけでなく、初の試みとして一部メーカーの出展内容や各社がそこに込めた想いについて、ご説明いたしました。
モビリティは単なる移動手段ではありません。人々の心を震わせ、暮らしの記憶や価値観さえも形づくってきました。私たちは、モビリティが持つその力を信じ、不確実な時代だからこそ、未来への希望を皆さまにお届けしたいと考えています。今回のショーでは、多岐にわたる産業と手を取り合い、「モビリティがもたらす明るい未来」を体感していただけるよう、準備を進めております。
また今回は、クルマ愛、バイク愛にもスポットをあて、クルマやバイクをこよなく愛するファンの皆さまにも、ワクワクして頂けるコンテンツをご用意いたします。是非、ご期待下さい。
ジャパンモビリティショーの開催を前に、自工会の正副会長が一堂に集まるのは、本日が最後となります。この国難といえる状況のもとで、私たちがジャパンモビリティショーにかける特別な想いを、この後、ぜひ直接お話させていただければと思います。
■副会長 三部 敏宏 (本田技研工業 取締役 代表執行役社長)

副会長 三部 敏宏 (本田技研工業 取締役 代表執行役社長)
いよいよ来月10月30日から11月9日の日曜日まで、東京ビッグサイトにてジャパンモビリティショー2025を開催いたします。いよいよ開催まで残り50日を切ったところです。2023年に新しく生まれ変わったジャパンモビリティショーは、昨年のジャパンモビリティショービズウィークに続き、今回で3年目となりますが、2023年に引き続きみんながワクワクし、一緒に考え、未来を作り上げていくという想いのもと、「ワクワクする未来を探しに行こう」というコンセプトをしています。
約70年続いてきた東京モーターショーから、新たに生まれ変わったジャパンモビリティショーは、移動だけではなくて、社会課題の解決や新しい価値を創造し、豊かで夢のあるモビリティ社会を作りたいという思いのもとに、さまざまな仲間が集まり、未来を提示する共創プラットフォーム型イベントとして進化をしてきました。今回は新たに「いくっしょ、モビショー!」をキャッチフレーズとし、豊かで夢のあるモビリティ社会によって、もたらされるワクワクする未来を体験できる企画を準備し、多くの皆さまの来場をお待ちしております。
具体的には、9月10日のメディア説明会にて、その一部をご紹介させていただきましたが、「FUTURE」、「CULTURE」、「CREATION」の3本の柱を中心に、2023年ショーで好評だった未来の展示体験に加えて、過去現在の展示体験へも注力することで、乗り物好きな人も、未来の暮らしや姿を夢見ることが好きな人も、大人も子どもも、まだあまり興味を持っていない方も含め、必ず一人一人が行きたいと思えるモビリティショーにしてまいりたいと思っております。
また今回は、23年を上回り過去最高となる国内外合わせて、480社以上の出展が予定をされております。出展各社による様々な体験の提供を予定しておりますので、ぜひご期待いただければと思います。よろしくお願いいたします。
全体の話に引き続き、ホンダの内容をお話ししたいと思います。今回の出展テーマは「夢」を形に夢の力が生み出した「陸上・海・空」へと広がるホンダのモビリティ」です。ホンダが目指すモビリティの形を陸上にとどまらず、海、さらには空へと広がる世界観を楽しんでいただけるブースを企画しております。
2023年のモビリティショーで好評いただいた、小型ビジネスジェット機「HondaJet EliteⅡ」の実物大インテリアモックアップモデルを、今回も実際に機内に入って室内空間をご体感いただける方法で展示をいたします。他にも8月末に発行いたしましたニュースリリースにおいて、先行で一部展示情報をご紹介していますので、ご興味のある方は、ぜひご確認をお願いいたします。また今後の出展内容につきましては、段階的に情報を公開してまいります。次回は9月末を予定しておりますので、ぜひお待ちいただきたいと思います。
今回は見るだけではなく、現在から未来と続く、幅広いモビリティへの期待と可能性を感じていただけるような、夢を原動力に進化を続ける、ホンダのモビリティをぜひこの機会に、ご体感いただきたいと思います。皆さまのご来場をお待ちしております。
■副会長 鈴木 俊宏 (スズキ 代表取締役社長)

副会長 鈴木 俊宏 (スズキ 代表取締役社長)
1954年に全日本自動車ショーとしてスタートし、1964年に東京モーターショーに、そして2023年には、自動車だけでなく幅広いモビリティを対象とするイベントへと進化を遂げたジャパンモビリティショーは、スズキにとっても、常にその時代の挑戦を形にする大事なステージでした。
今、私たちは自動車業界の100年に一度の大変革期に直面しています。世界情勢や産業を取り巻く環境の先行きが、不透明な今だからこそ、スズキは既存の枠にとらわれない発想と、創業以来培った小さなクルマづくりの精神で、未来のモビリティづくりに挑戦し、ワクワクのアンサーを進化させます。
一方、私が委員長を務める自工会軽自動車委員会では、11月8日に東京ビッグサイト正面の石と光の広場で、「軽トラ市inジャパンモビリティショー2025」を開催いたします。北は岩手県から南は宮崎県まで、全国各地の軽トラ市団体の皆さまに、地元ならではの魅力あふれる商品をたくさん持ってきていただきます。また、復興支援のため、自工会で応援している輪島朝市の皆さまにも出展していただく予定です。総勢50台以上の軽自動車がずらりと会場に並びます。軽トラ市ならではの活気と、軽自動車の魅力を体感できますので、皆さま、どうぞ足をお運びください。よろしくお願いします。
■副会長 佐藤 恒治 (トヨタ自動車 代表取締役社長)

副会長 佐藤 恒治 (トヨタ自動車 代表取締役社長)
モビリティショーとしては、今回2回目となります。先回、未来のモビリティの姿を(見せる)ということで多くの展示がありましたが、その時いただいた声でやっぱり一番大きかったのは、クルマそのものの魅力にもっともっと触れたいというお声をたくさんいただきました。ゆえに、今回のショーの中では、モビリティそのものが持つ魅力をしっかり発信していこうということで、展示にいろいろな工夫をしております。
やはりリアルなものだからこそ伝わる想い、クルマそのものと、その周りに集う多くのクルマ好きの人たちの熱い気持ち、このようなものをカルチャーとしてお伝えできるような場になっているかなと思いますので、ぜひとも、現場で現物をご覧いただいて、元気になっていただきたいと思います。
■副会長 イヴァン エスピノーサ (日産自動車 取締役、代表執行役社長兼最高経営責任者)
私は今年のショーであらゆる世代の方にワクワクする未来を感じていただきたいと思っています。皆さんお一人お一人異なるライフステージで、生活していらっしゃると思います。夢見る未来もいろいろでしょう。それによって今回のこのショーもよりお楽しみいただけることになると思います。今回、どこか1社のブースだけではなくぜひ各社のブースを回って見ていただきたいと思っています。ブースも様々あります。展示車もいろいろです。きっとどこかのブースでは、皆さまの描く未来が見えるはずです。
デジタル世代のお子さんたち、将来のゲームの世界を飛び出して、リアルな世界を旅してみたいと思っているところでしょう。そういった皆さんには最新のEVがあります。また、山、海、思い出作りに行きたいアクティブな若いご家族の方々には、広々とした便利なミニバンがあります。家を出てもっと気軽に自分の行動範囲を広げたいという方であれば、運転のしやすさ、そして安全装備にあふれた軽自動車があります。子育てがもうすぐ終わる、これから第二の人生を楽しもうという方でしたら、若い頃に憧れたスポーツカーに乗ってみたらいかがでしょうか。
今回のJMSでは、皆さまが思い描く未来をもっとワクワクするものにしてくれる魅力にあふれたクルマがきっと見つかるはずです。そして、車だけではなく、モビリティが私たちの未来にもたらす可能性についても、ぜひ皆さんに勝ち取っていただきたいと思います。自工会も各社の皆さんも、このショーをあらゆる世代の方々に楽しんでいただけるものにしようと準備を進めています。もちろん、日産ブースもたくさんの趣向を凝らしていますので、ぜひご期待ください。
■副会長 設楽 元文 (ヤマハ発動機 代表取締役社長)

副会長 設楽 元文 (ヤマハ発動機 代表取締役社長)
今春、原付1種の新区分の基準が追加されて大きな変革期を迎えております。 国民生活に密着したこの領域は、消費財としてのモーターサイクルと共に、この国の文化としてしっかり根を張っていけるよう業界一丸となって、活性化に取り組んでまいりたいと思っております。ジャパンモビリティショーでは、国内二輪4社合同で、その一端をご理解いただけるような企画を準備しております。
個社の話になりますが、ヤマハ発動機は、今年創立70周年を迎えております。今回モビリティショーでは、ワクワクする未来を探しに行こうというコンセプトのもと、弊社の価値創造の礎である人間研究に基づいた研究開発中のプロットモデルなど、 多彩な出展を計画しております。人間中心のものづくりで、人々の楽しむ意欲、それから挑戦する心の背中を押すヤマハ発動機の一端を、ヤマハ株式会社ミュージックと共に、ボーカロイド・初音ミクさん等を起用して、若いジェネレーションにも訴えていけるようなショーという展開を、ご紹介も含めてさせていただく予定です。ぜひご期待ください。
■副会長 松永 明(日本自動車工業会 専務理事)

副会長 松永 明(日本自動車工業会 専務理事)
まず最初に、ジャパンモビリティショーの開催に尽力していただいている全ての皆さま方に心より感謝を申し上げたいと思います。今、熱い想いを各副会長にお話をいただきましたように、ジャパンモビリティショーとは、単にそれぞれの会社が自社の車を展示する会、こういったものではございません。JMSは各社の垣根を越えて「One Team」として日本の自動車産業が未来に向かう姿を示すものです。
当日、会場を見渡していただければ、各社が持っている個性豊かな技術が集結し、クルマやバイクが生み出すワクワク感がいたるところにあふれていると思います。GX、DX、知能化、そして多様なサービスへと広がるモビリティの可能性は、私たちの暮らしをより豊かに、そして便利に変えていくと確信しています。すなわち、ワクワクする未来を日本のものづくりが持つ底力によって実現していくのです。
自動車産業は今、100年に一度の大変革期に直面しています。しかし、私たちはこの変化を悲観するのではなく、成長の「チャンス」と捉え、新たな挑戦を続けていきます。このジャパンモビリティショーが自動車産業だけでなく、日本の産業全体、ひいては日本社会の未来を活性化する大きなきっかけとなることを強く願っているところです。
プレゼンテーション資料
202509_fact_presserJapan Mobility Show 2025 開催概要_honda
ギャラリー
- 会長 片山 正則(いすゞ自動車 代表取締役会長)
- 副会長 鈴木 俊宏 (スズキ 代表取締役社長)
- 副会長 佐藤 恒治 (トヨタ自動車 代表取締役社長)
- 副会長 イヴァン エスピノーサ (日産自動車 取締役、代表執行役社長兼最高経営責任者)
- 副会長 三部 敏宏 (本田技研工業 取締役 代表執行役社長)
- 副会長 設楽 元文 (ヤマハ発動機 代表取締役社長)
- 副会長 松永 明(日本自動車工業会 専務理事)