自工会、記者会見を実施(3/19)

自工会は3月19日、都内で記者会見を実施しました。会場とオンラインで参加した多くの報道陣に対し、会長の片山正則(いすゞ自動車会長)は各副会長とともに米国の通商政策への対応や未来志向の型式指定申請をはじめ、7つの課題、自動車税制の抜本見直しについて自工会の取り組み、考え方を説明するとともに、今年の10月から開催を予定しているJAPAN MOBILITY SHOW(ジャパンモビリティショー)について抱負を語りました。

■記者会見アーカイブ(中継録画)

 

会見冒頭、本日の理事会にて理事・副会長に就任した設楽元文(ヤマハ発動機株式会社 代表取締役 副社長執行役員 CFO)がご挨拶を行いました。

■副会長 設楽 元文(ヤマハ発動機株式会社 代表取締役 副社長執行役員 CFO)

副会長 設楽 元文(ヤマハ発動機代表取締役副社長執行役員CFO)

本日、副会長に選任されました、ヤマハ発動機の設楽でございます。 自工会活動を通じまして、業界の発展に尽力していきたい所存でございます。担当は、「七つの課題」の「グリーンエネルギー」と「データ連携」、二輪車委員会を担当してございます。今後ともよろしくお願いいたします。

続いて、会長の片山が自工会活動について説明しました。

■会長 片山 正則(いすゞ自動車 代表取締役会長)

会長 片山正則(いすゞ自動車代表取締役会長)

片山でございます。本日の理事会では、おもに「米国の通商政策への対応」、「未来志向の型式指定申請」、「7つの課題」、「ジャパンモビリティショー」といった議題について議論いたしました。そこでの議論も踏まえつつ、現在、自動車業界として取り組んでいる内容を中心に、冒頭の挨拶を述べさせていただきます。


昨今、国際情勢の不確実性が急速に増しており、自動車ビジネスにおいても、将来の投資環境を予見しにくい状況を迎えております。

例えば、米国では各国に対してさまざまな通商政策が打ち出され始めておりますが、日本の自動車メーカーは、米国経済と社会に貢献すべく、今から遡ること43年前の1982年に現地生産を開始するとともに、部品の現地調達を積極的に進めるなど、米国企業の一員として継続的な雇用と投資を促進してまいりました。その結果、累計投資額は2023年までに616億ドル、現地生産台数は年間320万台、現地部品の累計調達額は1兆5千億ドル、全米での直接雇用は11万人、間接雇用を含めると220万人の雇用を創出するなど、多大な貢献を続けております。

また、日本から米国への輸出台数は、1986年のピーク時の343万台から137万台へと大幅に減少させましたが、日本にとって米国は、自動車輸出額6兆円、自動車の総輸出の約3割を占める第1位の輸出先として、重要な仕向け地です。日本からの輸出は、日本の自動車メーカーの現地生産を補完するものであり、全米各州の自動車販売店を通じて、米国のお客さまのさまざまなニーズに応じ、安全・安心で環境性能に優れた魅力のある車のラインアップを提供していくために、必要不可欠なものです。

現在、トランプ政権が検討している自動車への25%の追加関税が、日本およびメキシコ・カナダからの輸出車に適用された場合には、日米双方の経済にとって、悪影響を及ぼすことが懸念されます。日本政府におかれましては、追加関税の適用が除外されるよう、引き続きご尽力いただきたく、お願い申し上げます。また、米国政府におかれましては、今後も予見可能性が高く、日本の自動車メーカーが安心して投資できる政策とビジネス環境を整備していただくことを期待しております。

自工会としても、自動車産業の変革期である重要な時期において、日本と米国間で強固で開かれた貿易体制が維持されることは、550万人の日本の自動車産業にとっても極めて重要であることから、さまざまな機会を通じて、日本の自動車メーカーによる継続的な投資や、雇用創出による米国の自動車産業への貢献をアピールするとともに、引き続き追加関税の回避に向けた理解活動を行ってまいりたいと思います。

以上お話しした内容も踏まえ、本日、経済産業省とも、業界としての危機感、これから官民で出来ることを中心に米国政策への対応について協議いたしました。引き続き官民での連携を深めながら、一丸になって対応してまいります。


適正取引の浸透に向けては、自工会・部工会のトップ同士で会合を持つなど、緊密な連携による、法令遵守を大前提とした適正取引の浸透を強力に推進しております。引き続き、「日本のものづくりの競争力確保」と「健全な取引環境の構築」を両輪として、サプライチェーン全体への理解を図るべく、パートナーシップ構築宣言の拡大への取り組みや、サプライヤー集積地でのセミナーの開催など、両会が一丸となり、浸透に努めてまいります。

さらに自工会では、本年1月に自主行動計画を改訂し、「量産終了後の型保管に要する費用の支払い」や「不要な型の廃棄・返却の推進と必要な費用の支払い」を明記し、適正化に取り組んでおり、サプライヤー全体への浸透に向けて、引き続き周知・徹底を図ってまいる所存です。


また、型式指定申請につきましては、昨年末、国土交通省より公表された、「自動車の型式指定に係る不正行為の防止に向けた検討会」のとりまとめを踏まえ、自工会としても適切に対応してまいります。それと同時に、国際的な競争力向上を目指した制度・仕組みづくりは昨今の車作りの技術的進歩の速度を鑑み、待ったなしの状況です。将来のデジタル時代に即した新技術に対応する、認証制度の在り方について、国土交通省と共に、未来志向での検討にも着手してまいりたいと考えております。


私たち自工会は、カーボンニュートラルの実現を始め、MaaS、CASEなど自動車産業を取り巻く環境がより厳しさを増す中、「7つの課題」の取り組みを進めております。正副会長自らが、各テーマのリーダーとなり、オールジャパンでの課題解決に向けて、具体的な成果が得られるよう、引き続き経団連企業とも勉強会を開催しながら、検討を加速してまいります。


今年の初めに発表した自工会ビジョン2035では、こうした自動車産業としての取り組みや考えに対し、社会全体からの理解を深め、さらなる応援をいただきたいという思いの下、我々が目指す未来の姿をまとめました。「7つの課題」をはじめとした自工会の活動を、他産業・政府の皆さまとの連携を深めながら、より中長期的な視点で進めていきたいと考えております。


そして今年も、「東京モーターショー」から生まれ変わったJAPAN MOBILITY SHOWを開催いたします。昨年は、「未来を創る、仲間づくりの場」として、次世代を担うスタートアップ企業との共創を生み出すためのビジネスイベント「JAPAN MOBILITY SHOW BIZWEEK 2024」を開催し、ビジネスマッチングは866件にのぼりました。

こうした成果も踏まえ、今年は、一般生活者の皆さまも楽しんでいいただけるショーイベントとして、「日本の未来にワクワクできるイベント」を目指し、オールジャパンで取り組んでまいります。モビリティの未来の姿はもちろん、過去から継承されてきたクルマやバイク、はたらくクルマといった乗り物そのものが持つ魅力にも、共感いただけるプログラムも検討しておりますので、「JAPAN MOBILITY SHOW 2025」に是非ともご期待ください。

最後になりますが、今年は自動車税制抜本見直しの結論を出す極めて重要な一年となります。自動車ユーザーの納得が得られる、新たな時代に相応しい自動車税制の確立を目指して、自動車業界の総力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。引き続きメディアの皆さま方のご理解・ご支援の程、よろしくお願い申し上げます。

プレゼンテーション資料

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