- 2026/02/27
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【今さら聞けない】シリーズ 「レース場の特装車」編
さまざまなモータースポーツが開催されるレース場と聞いて、皆さんはどのような光景を思い浮かべるでしょうか。迫力満点のエンジン音、タイヤの焼ける匂い、そしてチェッカーフラッグを目指して疾走するレーシングカー。華やかな表舞台に目を奪われがちですが、実はその熱狂の裏側には、レースを安全かつ円滑に進めるために働く、頼もしい〝裏方〟たちの存在があります。
今回は、レース場という巨大な舞台装置を支える「特装車」にスポットライトを当ててご紹介します 。
■路面コンディションを整える「清掃車」
レースにおける「コース」は、選手たちが命を預ける舞台です。わずかな砂ぼこりやゴミがタイヤのグリップ力を奪い、重大な事故につながることもあります。そんなコースのコンディションを整えるために活躍するのが道路の清掃や環境整備を担う特殊車両です。
この役割を担う車両の一つが「ロードスイーパー」と呼ばれる清掃車です。車両にはブラシが装着されており、それで路面を磨きながらタイヤカスやゴミを回収するとともに、高圧水でゴム付着物を剥離し吸引。オイル漏れの清掃やレース中の接触により路面に落ちてしまったマシンの破片を迅速に片付ける役割も担っています。
タイヤカスは、廃棄するのでなく、リサイクル施設にもち込まれ、チップ化や粉末化してゴムシートや歩道舗装材、建材などにリサイクルされたり、セメント工場・製鉄工場・製紙工場などの高炉・ボイラーで、燃焼材・補助燃料として利用されたりしているそうです。
レース前の静寂の中、コースを清めるように走る清掃車のおかげで、ドライバーは安心してアクセルを踏み込むことができます。

ロードスイーパー
■レースを止めずに守る「セーフティーカー」
レース中の事故やトラブルなどの緊急事態に、コースの安全を確保するためにさっそうと登場するのが「セーフティーカー」です 。
この車両の役割は、単なる先導車ではありません。レース中にクラッシュが発生したり、突然の悪天候に見舞われたりした場合、選手たちを本来のレーシングスピードで走らせ続けることは非常に危険です 。そこでセーフティーカーが選手たちの前に入って隊列を率い、状況に応じてスピードをコントロールすることで、二次災害を防ぎ、選手たちの安全と命を守ります 。
セーフティーカーのドライバーには、極限状態のレーシングカーを従えて走ることができる高度な運転技術と、瞬時の判断力が求められます。危険な状況を安全に管理し、レース再開の瞬間まで場を整えるその姿には、多くのファンがいるため、自動車メーカーから最新のスポーツカーが供給されることもあります 。

セーフティーカー
■感動を世界へ届ける「中継車」
例えサーキットの現地に行けなくても、テレビやインターネットを通じてレースの迫力を味わえるのはなぜでしょうか。サーキットの熱気を映像と音声に乗せて届ける「中継車」の存在があるからです。
中継車には、放送に必要な高度なシステムが隙間なく組み込まれています 。それだけでなく、膨大な機材を積んだトラックなどが全国各地の中継現場へ向かい、あらゆる規模の中継に対応します。レース場によってはコース内の大型ビジョンに映像を投影することもあります。
現場で働くスタッフたちは、ただ機材を操作しているだけではありません。その日の天気や気温を肌で感じながら、安全に放送ができるよう、放送・収録開始のスケジュールに向けて綿密に機材の設置・調整・確認を行います。
「臨場感・迫力のある映像・音声を届ける」というミッションのため、サーキットのあらゆる場所にカメラを配置し、一瞬のドラマも逃さないよう目を光らせています 。私たちが画面越しに感じる興奮は、その職人技によって支えられています。

テレビ局等の中継車(時事)
■つながる喜びを支える「移動基地局車」
昨今のレース観戦において、スマートフォンは欠かせないアイテムとなりました。目の前で起きた劇的なシーンをSNSでシェアしたり、友人と連絡を取り合ったり。しかし、フォーミュラ1(F1)やスーパーGTなどのレースのような大規模イベントでは、ひとつのエリアに大勢の人が集まるため、通信量が急激に増加し、電波がつながりにくくなることがあります 。
〝つながらない〟ストレスを解消するために携帯・キャリア各社が派遣するのが「移動基地局車」です 。この車両は、イベント開催時に一時的に会場周辺の携帯通信能力を向上させるために出動します 。アンテナを高く伸ばし、目に見えない電波の道を作ることで、数万人の観客が同時に感動を共有できる環境を守っています。レースの熱狂を外の世界へと拡散させるための、現代ならではの重要な特装車といえるでしょう。

携帯電話各社の移動基地局車(時事)
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今回ご紹介した各車両は、華やかな舞台に上がることはありませんが、その存在がなければ、安全なレースも、美しい映像も、快適な通信環境も存在し得ません。清掃車が整えた路面をセーフティーカーが守り、中継車がそのドラマを届け、移動基地局車がそれを世界へ拡散する。もちろん、その「働くクルマ」を操作しサーキットを保守管理するオフィシャルやマーシャルといった「働く人々」に支えられています。
次回のレース観戦では、ぜひコースの脇やパドックの裏側に目を向けてみてください。そこには、レースの成功を信じて黙々と任務を遂行する、頼もしい〝縁の下の力持ち〟たちの姿があるはずです。
【関連リンク】
レース-アーカイブ– JAMA BLOG 一般社団法人日本自動車工業会
【今さら聞けない】シリーズ レースの種類① 四輪車編– JAMA BLOG 一般社団法人日本自動車工業会
【今さら聞けない】シリーズ レースの種類② 二輪車編– JAMA BLOG 一般社団法人日本自動車工業会

