Japan Mobility Show Bizweek 2026未来モビリティ会議で活発な議論 両会長対談も

自工会が10月13~16日、幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催した「Japan Mobility Show Bizweek 2026」。2024年に続き「CEATEC 2026」主催・電子情報技術産業協会(JEITA)との併催で、両団体会長による対談、CEATEC展⽰への協⼒、両イベントの出展者の交流などを通じて連携を強化。さまざまな産業に携わる出展者・来場者が行き交う4⽇間となりました。

産業の垣根を越えて、モビリティの未来や課題について様々な視点から議論・発信を行うカンファレンスプログラム「未来モビリティ会議」では、⾃⼯会会⻑・副会⻑・理事、スタートアップ代表者、有識者らが登壇し、産業を超えた共創の障壁と、その解決の⽅向性などについて活発な議論が交わされました。

■未来モビリティ会議

・会長 佐藤恒治(トヨタ自動車副会長兼CIO)/副会長 三部敏宏(本田技研工業社長)

テーマは「動かし続ける日本を、どのように創るか」で、Mujinの滝野一征CEO、燈の野呂侑希社長兼CEOらも出席。国際競争力を高めるためのモビリティ産業の強み、企業横断での取り組みなどについて意見が相次ぎました。

日本のモビリティ業界の強みについて、会長の佐藤は「1つは多様性。自工会では大型車から二輪車までメーカーが集まっています。多様性こそ多様化していく社会に価値を生み、イノベーションを生み出す原動力になります。2つ目はモノづくり力や現場力。現場にある暗黙知、高い品質で緻密なモノづくりを実行できるのは日本メーカーの稀有な能力です」と強調しました。

副会長の三部は「商品や製造現場で競争軸が変わってきています。どう戦うかのテーマの1つがフィジカルAI(人工知能)です。フィジカルAIは、AIと現場力を掛け合わせたもので、日本はグローバルでも強みを発揮できる」などと訴えました。

副会長 三部敏宏(本田技研工業社長)(右)

・副会長 イヴァン・エスピノーサ(日産自動車社長)

「テクノロジーとともに、ヒトがもっと人らしく」をテーマに、早稲田大学理工学術院の尾形哲也教授、AI新興企業のPreferred Networksの岡田利久AI Products & Solutions事業本部長と話し合いました。

副会長のエスピノーサは自動車業界でのAI活用について「AIは人を置き換えるものではなく、人間の潜在能力や可能性を広げるものでしょう」と説明しました。

「取り組みを加速させることが非常に重要です」と指摘し、AIを活用した運転支援システムの開発を進めていると紹介しました。

副会長 エスピノーサ(日産自動車社長)(左から2人目)

・理事 毛籠勝弘(マツダ社長)/理事 岸浦恵介(三菱自動車社長)

「環境も経済も、ともにより良い方へ」と題し、カーボンニュートラル(CN)に向けた技術開発の動向、専門性の高いスタートアップ企業などとの連携の必要性を議論。環境配慮型素材を開発するTBMの山崎敦義CEO、エネルギーアナリストでポスト石油戦略研究所の大場紀章代表も参加しました。

理事の毛籠は「脱炭素に資するような技術には手応えがありますが、どのように経済合理性のあるシステムとして拡大させるかが課題」と指摘。理事の岸浦も「資源循環させる技術は難しいが、ここに挑戦していかないと環境対応はできません」との認識を示しました。マツダと三菱自が生産拠点を持つ瀬戸内地方を中心に脱炭素化で協力する可能性にも言及しました。

左から理事 毛籠勝弘(マツダ社長)、理事 岸浦恵介(三菱自動車工業社長)

・副会長 山口真宏(いすゞ自動車社長)/理事 サティヤカーム・アーリャ(日野自動車社長)/理事 伊藤公一(UDトラックス社長)

「滞らないシステムで、広がる安心」をテーマに開かれ、自動運転を手掛ける新興のティアフォーの加藤真平CEO、サプライチェーン(供給網)のリスク管理などに取り組むスペクティの村上建治郎CEOも登壇しました。

副会長の山口は「物流が止まると経済そのものが止まってしまいます。ドライバー不足を解決していかなければいけません」と足元の課題解決に向けて自動運転の実現などに取り組んでいることを強調。理事のアーリャも「技術、人材・社会、そしてインフラの連携こそが物流を途切れなく継続するための核心です」と応じました。

各社が持つ車両の稼働データは新たな製品やサービスを生み出す競争領域ですが、どこまで協調できるかも論点。理事の伊藤は「自工会では安定した強靭な日本をつくりたいという気持ちで一致しています」と話し、加藤CEOは「トップの皆さんが総論で『やってみよう』と言っている。この先は実証しながら、連携の姿を見出していくだろう」と強い期待感を示していました。

左から理事  サティヤカーム・アーリャ(日野自動車社長)、副会長 山口真宏(いすゞ自動車社長)副会長、理事 伊藤公一(UDトラックス社長)

・理事 大崎篤(スバル社長)/理事 井上雅宏(ダイハツ工業社長)/副会長 設楽元文(ヤマハ発動機社長)

「人もモノもデータも、すべてがシームレスに」をテーマとし、事業開発コンサルティングを手掛けるAMANEの齊藤せつな取締役、名古屋大学モビリティ社会研究所の三輪富生教授も交え、モビリティのデータ連携や地域移動サービスの課題について議論しました。

理事の大崎は開発中の次世代ドライバーモニタリングシステム、理事の井上は福祉介護・共同送迎サービス「ゴイッショ」、副会長の設楽はグリーンスローモビリティなど自社の取り組みを紹介しました。

理事の大崎は「事業として成立するまでは補助金などで地域社会が支え、後押しすることも重要です」と説明。理事の井上も「最初は国や自治体の力を借りながらも、最終的には事業採算性が必要になります。われわれ事業者が自律的に動き、変化をつかんで新たな取り組みを行っていくことが重要です」などと提案しました。

副会長の設楽は「新規事業にチャレンジすると、新たな発想の転換から思いがけないものが生まれることがあります」との考えを示しました。

左から理事 大崎篤(スバル社長)、副会長 設楽元文(ヤマハ発動機社長)、理事井上雅宏(ダイハツ工業社長)

■ステージプログラム

会長の佐藤は、内燃機関を研究する大学院生や自動車部に所属する学生ら5人と、モビリティ社会の現状や未来をテーマにトークイベントに臨みました。学生に対し「正解が分からない時代だからこそ、いろいろな世代の人が一緒に車に向き合って、その多様性が生み出すイノベーションを加速させることがクルマをもっと面白くする原動力になります」と呼び掛けました。

整備学校に通う学生も参加しており、会長の佐藤は「整備士がいるからこそ安全・安心なクルマ社会が回っています。整備士にもっと光が当たるような環境をつくっていきます」などと整備士不足にも言及しました。

会長 佐藤恒治(トヨタ自動車副会長兼CIO)(左から2人目)

■自工会・JEITAトップ対談

会長の佐藤は、JEITAの新野隆会長(NEC会長)と対談しました。CEATEC2026のカンファレンスセッションで「日本の未来社会に向けて」と題し、モビリティとデジタルの両産業トップが日本の産業競争力強化に向けた展望を語り合いました。

対談は「産業共創力」「人材」「技術とAI」の3つがテーマ。会長の佐藤は産業共創力について「モビリティは社会基盤に連動しており、自動車産業だけで完結するビジネスは少なくなっています。そういう意味では、セクターを越えたイノベーションを起こしていくことが重要な時代になっています」と指摘。新野会長は「日本は良い技術は持っていてもビジネスで負けてしまうケースがあり、社会実装が遅れていることが課題」と話しました。

密接な関係にある人材とAIについて、新野会長は「過去の経験値でいうとAIにはかないません。しかし最後に決定して責任を取るのは人間にしかできません。どうやってAIをうまく使いこなしていくかを人間が考えなければいけません」とAI活用スキルを高めていく必要性を指摘。会長の佐藤は「『楽しい』とか『うれしい』とか情緒的な価値は、人間にしかつくり出せない」として、リアルの現場とAIの双方を扱える人材の育成が重要と訴えました。

AIの進化に関連して、会長の佐藤は「日本の産業の強みはモノづくりによって価値を創造してきていることで、ハードウエアの部分に高い競争力を持っています」と指摘。ソフトウエアで世の中は変わっていきますが、「『出口』を求める先はフィジカルの領域です。ソフトの出口をつくるのはハード。ハード以上にソフトが能力を発揮することはないと思います。モノづくりあるいはハードの進化とAIがもたらす進化をいかに融合させていくかが大切です」と強調しました。

その上で、モビリティ産業では「(業界全体で進めている)自動運転の分野と、工場の生産性を上げていくようなロボティクスを活用したモノづくりの現場を変えていくことが大きな出口になる思っています」と語りました。

対談する会長 佐藤恒治(トヨタ自動車副会長兼CIO)(右)とJEITAの新野隆会長(NEC会長)

握手する両団体会長

 

 

関連リンク

「Japan Mobility Show Bizweek 2026」公式サイト

CEATEC 2026(シーテック)公式サイト

【ブログ】Japan Mobility Show Bizweek 2026に11.2万人が来場、出会いと共創推進

【ブログ】「共創」の熱気残る閉幕 – Japan Mobility Show Bizweek 2026