商用車メーカーの仕事紹介

商用車は、使う人や企業の用途に応じてクルマの形が大きく変わるため、乗用車以上にきめ細かい仕様が必要とされるのが特徴です。商用車の企画からアフターセールスまでを追いかけながら、その特徴を見てみましょう。

開発

調査・企画
商用車は世界各国・地域の人々により、さまざまな環境で使われています。とくにトラックは仕事の内容により独自の仕様が求められるだけに、自動車メーカーでは世界中で調査を行い、地域ごとに何が求められているかを分析し、次期モデルを開発しています。

生産
エンジン生産

商用車で主流ともいえるディーゼルエンジンは、シリンダーヘッドやシリンダーブロック、カムシャフト、クランクシャフト、コンロッドなど約500点の部品で作られています。鉄やアルミなどの素材を鋳造・鍛造し、切削・研磨などの加工を経て部品化し、エンジンとして組み立てます。大型車に見合う出力や強度を維持しながら、軽量化などにも取り組み、燃焼効率の良いエンジンへと改良を重ねていきます。

商用車用ディーゼルエンジン

車体組立
プレスによって成型したパネルを、部品に強い電流を流し、部品と部品を溶かして接合させるスポット溶接によってキャブに組み付けます。ほとんどの溶接作業はロボットによる自動化が進んでいます。

トラックのキャブ(運転台)

車両組立
トラックの組み立てラインは、骨格となるフレームを基礎に、サスペンションやタイヤなどの足回り、動力源となるエンジン、そして運転台となるキャブを組み上げていきます。小型トラックの場合、およそ2分に1台のスピードで完成するそうです。モノコックボディが大半の乗用車と異なり、トラックの基本構造はキャブとフレーム(パワートレインや足回りが付いている部分)で構成されています。フレームにエンジンやキャブなどを組付けた状態で、自動車メーカーから出荷されます。

フレームを基礎にトラックを組み立てていきます

検査
車両組立の完成後、安全に走行するために必要なスピードメーターやブレーキ、ホイールアライメントなどの検査を行います。検査員がクルマに乗り込んで厳しい基準に従って行います。全ての検査に合格すると、架装メーカーに出荷されます。

はたらくクルマとして世界中で活躍する最新のトラック

出荷・架装
乗用車と決定的に違うのが、トラックの出荷方法です。通常はクルマが完成すると販売店に運ばれますが、トラックの場合はフレームの状態で出荷します。荷物を載せたりする上物は架装メーカーが顧客に合わせて造るためです。架装メーカーまではキャブとフレームのままで、いわゆる仮ナンバーを装着して走行することもあります。街中で仮ナンバーを付けた商用車を見かけたら、上物を取り付けるまでの仮の姿だと思ってください。

キャブとフレームの状態

キャブとフレームの状態で架装メーカーに出荷され、架装メーカーが顧客の目的に合わせた上物を取り付け、販売店に届けます。例えば冷凍食品の輸送に使用するトラックには冷凍庫の機能が求められます。これを造るのが架装メーカーです。

トラックには乗用車を何台も積めるキャリアカー、ゴミ収集車、消防車、高所作業車、コンクリートミキサー車など数えればきりがないほどバリエーションに富んでおり、さまざまな架装メーカーが活躍しています。

要するに、自動車メーカーから出荷された状態ではトラックとしての商品は完成しておらず、架装メーカーで各ユーザーの用途に合わせた架装がなされることにより完成するのが、乗用車との違いです。

最新のごみ収集車

アフターセールス

稼働サポート
はたらくクルマは世界中の人々の生活を支えています。それだけに、車両故障は何としても避けたいところ。いかに故障せずに長く働き続けるか、稼働サポートの体制が重要になります。販売店のネットワークでは、複雑化が進むメカニズムの安定稼働・高稼働の実現に向け、テレマティクス技術やデジタル診断技術を駆使しながら、故障する前にリモートで消耗個所を把握して、予兆を発見。いち早く完全な状態に復元する予防整備を行う事により「運ぶ」を止めない体制を構築しつつあります。アフターセールス体制の拡充によって、一台一台が安全に確実に走り続けられるようサービス網を築いています。

日本メーカーから出荷されたトラックが、地球25周分(約100万㎞)の走行距離を超えることも珍しくないといいます。

CSR

環境と社会
商用車の開発や生産においても、企業として環境と社会への貢献は欠かせません。大きな車体をいかに効率よく動かすか、いかに燃料の消費を抑え低燃費を実現するかは技術者にとっても終わりのない闘いです。

また、温室効果ガスの削減にも日々取り組んでいます。走行時に車から排出される製品からの二酸化炭素(CO₂)だけでなく、クルマを作るために工場などから排出される操業時のCO₂低減も推進中です。さらに廃棄物を再資源化する取り組みも年々加速しつつあります。

安全・安心なはたらくクルマを提供することで持続可能な社会を実現するための地球環境保全活動も、商用車メーカーの重要な仕事となっています。

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