サプライチェーンの困りごとを素早く解決!SSA説明会を実施

日本自動車部品工業会(部工会)と日本自動車工業会(自工会)は7/14(火)、報道関係者向けにオンラインでSSA(Smart Standard Activity/基準適正化活動)に関するメディア説明会を実施しました。SSAとは現場の困りごとを基準に競争しない領域で共通化を進める活動であり、主に自動車生産における調達分野での取り組みです。両会の担当者が登壇し、SSAについて説明を行いました。

■日本自動車工業会 サプライチェーン委員会 調達部会 SSA WG 委員 西原 正二(トヨタ自動車)

  • SSAは、品質・性能基準適正化活動、英語名でSmart Standard Activity/スマートスタンダードアクティビティといい、お客様の安全安心と期待値に合わせて基準を適正化することで現場が楽になり、競争力のあるモノ作りとお客様を含む、全てのステークホルダーの皆様の笑顔を目指す活動です。
  • 2017年末に基準の適正化によるカイゼン活動の一つとして、トヨタ自動車が始め、ドアトリム(ドアの内張り部品)やワイヤーハーネスコネクタの外観品質基準の適正化を行いました。それまでは性能や機能に影響がないにも関わらず、少しでも黒点があれば全て廃棄をされていましたが、曖昧な品質基準を明確化することで不要な検査ライン、そして廃棄をやめることができました。
  • SSAのもう一つの側面は「忖度の壁」を壊すことです。次回の受注やプライスに影響しないか、もっと厳しいことを言われないか、こうしたことが心の壁になっています。この「忖度の壁」を壊すきっかけとパワーを与えてくれるのがSSAだと思っています。
  • トヨタ社内では毎年SSA活動の取り扱い件数は増えてきており、約3分の2が採用されています。この数字以外にもティア1仕入れ先さまが自主的にご判断いただいている案件もあります。
  • トヨタだけがSSAで基準を見直しても、他のOEMがこれまで通りだと、現場で二重基準(ダブルスタンダード)の問題が発生し、挟み撃ちにあうお困りごとが顕在化しました。そこで、2022年の4月からトヨタが各OEMと意見交換会や仕入れ先さまの合同訪問を通じて、SSAのメリットや必要性を現地現物で一緒に体感いただくことを進めてきましたが、個社の力だけでは不足を感じ、業界団体としての活動を進め始めました。

■日本自動車部品工業会 SSA WG 部工会リーダー 行元 恒平(豊田合成)

  • SSAは、安全安心とお客様の期待を前提に、現場で積み重なってきた曖昧な基準や過剰な要求を見直し、本当に必要な品質性能要求に力を集中するための活動です。その出発点にあるのが、部品メーカーをはじめとした現場の困り事をきちんと拾い上げ、解決していくことです。
  • SSAがどのような位置づけで始まったか。自工会と部工会では連携強化の枠組みの中で、適正取引の更なる推進と競争力の強化を重点テーマとして進めています。その中でSSAは競争力強化に繋げるテーマとして位置づけられていますが、ここで重要なのは競争力だけを追うのではなく適正取引との両立を前提にしている点です。つまり、SSAは現場の課題解決と競争力向上を両立していくための業界テーマです。
  • 共通課題を全体で議論する場をつくることで解決のスピードを高めることを目指しています。
  • 自工会と部工会が連携して活動する以上、独占禁止法への配慮は大前提です。特に取引情報などの機微に当たる情報は、WGメンバーや活動参加者の範囲に限定して取り扱うことを徹底しています。SSAは業界全体で競争力強化や課題解決を目指した公益性の高い活動であり、かつエンドユーザーの購買選択に影響しない領域を活動範囲とするという考え方を置いています。そのため、価格、数量、将来の調達戦略、取引条件、未公表のノウハウなど、競争に関わる事項は議論いたしません。
  • 一方で、傷や物などの外観品質のように、顧客の購買選択に影響を与えない非競争領域については、目的の範囲内で議論を行う整理をしています。要するにSSAは価格や数量、戦略には踏み込まず、非競争領域の基準適正化に限定して進めているとご理解ください。
  • 発注者の立場からもSSAを積極的に進める姿勢を示し、受注者が安心して困りごとを打ち上げやすい方向に、業界全体を動かしていくことを狙っています。その具体策として、今年3月にはSSA推進宣言を発行しました。
  • また、6月にはSSA取り組み事例集を発行し、先行事例の横展開も進めています。
  • SSAは困り事を言いやすくすることと、言われた困りごとを早く解決すること、この両面から進めている活動です
  • またSSAの基本は各社での活動ですが、その上で自工会・部工会のSSA合同WGが共通課題の整理、事例共有、推進宣言やガイドラインづくりを通じて、個社活動を支援する構造になっています。

■自工会 サプライチェーン委員会 調達部会 SSA WG ガイドライン小WGリーダー 水谷 智(日産自動車)

  • 自工会・部工会でのWG活動で協調領域で取り組むべき課題を束ねて効果をより大きくし、そして業界全体に波及させる拠り所としてガイドラインを用います。
  • SSA推進宣言で示している内容は以下3つです
  • 1つ目は基準の明確化。今までの自動車のものづくり、過去の経験を大切にし、1人のお客様からの声にちゃんと反応しようという積み重ねで成立をしてきました。ただ立ち止まってふと振り返ると、少し行き過ぎている部分、物作りとして行き過ぎている部分、そのような部分にしっかり目を向け、現場からの声というものをリンクさせ、そのための基準、狙いどころを明確にする、これを一義に挙げております。
  • 2つ目に体制構築です。この活動を推進する上では会社対会社でのやり取りになるので、各社に窓口が必要です。社内での体制、自工会・部工会でのWGなど、SSAを推進するためにどのような役割があるかを明確にする。これが体制の構築になります。
  • 3つ目が能動的な働きかけ・傾聴性です。今までは指摘や宿題を待つといった受動的なものがあったと感じております。「スピーディーに」という一つのキーワードがあり、実現するには率先して働きかけ、現場で何が起きているのかをしっかり拾う、傾聴する。入口の部分のスピードアップを狙う意味で、能動的な働きかけ・傾聴性を挙げております。この3つがベースの考え方です。
  • 仕入れ先の困りごとをスピーディーに解決をするためには、何に拠り所があることも一つの武器になろうかと思っています。この拠り所、考え方を表現したものが基準のガイドラインです。
  • 実際に物に触れ、対面で意見交換をする。「現場での困りごと、お客様の目線はここですよね」と目線を合わせること、言葉を合わせること、そして同じ思いを持っている仲間を増やすことを実施しています。よりスピード速く競争力に繋げる原資を生み出す力強い活動にするためには、垣根・マインドを取り払うべきだと思っております。実際にみんなで物を見て共感を得たものを拠り所として、明文化をしております。
  • 品質基準については契約に紐づくもののため、個社で作成をいただきます。ただ、この前段に当たるガイドが外観基準のガイドラインという位置付けです。外観基準のガイドラインを参考に、各OEMで品質基準を作成します。
  • その中身の詳細は、お客さまに見えるものはしっかりと、お客様の目に留まりにくいところはメリハリをつけるゾーン区分をするという表現をしております。組織区分の中にメリハリをつけ、それに応じたお客さま目線に応じたものづくりをするという趣旨をガイドラインの中にしたためました。様々な部品で活動を重ねることでこれが車両1台分となり、乗用車から二輪車や大型車に広げ、対象部品も見えるところから見えないところ、自動車を構成する全ての部品を網羅しようとしております
  • これも一つ作って終わりではなく、新しい現象が発生した際には、それについても明確な基準を策定することを続けてまいります。皆さまの目や想いを束ねることで、より強く、よりスピード感のある活動へ繋げられる入口に立つことが現在できています。
  • 今後の方向性として、業界全体にこの考え方を浸透させていきます。個社の活動ではやはり限界はあります。浸透させるために意見を交わし、顔を合わせという機会を提供し、困っているものは吸い上げ、そこに対しての経験を共有することを繰り返してまいります。大きな効果が競争力の強化と考えています。
  • お客様に向き合い、これが商品力・競争力の原資を生み出し、次の一歩になることを目指しています。声を上げれば変わることができる風土を業界全体で作り上げるということが、SSAの目指していることです。

引き続き両会は国際競争力の強化を念頭に、サプライチェーンの強靭化を連携して進める構えです。

■資料

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