- 2022/05/19
- カーボンニュートラル, 税制, 記者会見
自工会記者会見:税制、成長と分配、カーボンニュートラル等に取り組む新体制、生まれ変わる東京モーターショーも
5月19日、日本自動車工業会は記者会見を実施しました。同日正式に就任した副会長2名を加え、正副会長7名の新体制で登壇。年頭掲げた重点テーマのうち「カーボンニュートラル」「成長と分配」「税制改正」への取り組みについて説明したほか、大きく生まれ変わる2023年の東京モーターショーについても言及しました。
■会長 豊田 章男(トヨタ自動車 代表取締役社長)
本日の理事会におきまして自工会の新たな役員体制を正式に決定いたしました。
この半年間、新体制スタートに先立ち、定期的に正副会長で集まり、共通課題への理解を深めてまいりました。
さらに、スピード感をもって自工会活動を進めるには現場の「事実」を知ることが何より大切だと考え、正副会長各社の若手による「サポートチーム」を立ち上げ、「現地・現物・現実」を合言葉に、会社の垣根を越えた取り組みを進めております。
本日は、新体制で取り組んでいく重点テーマに込めた思いを改めてお話させていただきます。
いま、私たちは、新型コロナウィルスや半導体不足自然災害の影響を受ける中で、必死にサプライチェーンをつなごうとしております。軍事侵攻による悲しく、やりきれない現実にも直面しております。資源や食糧価格の高騰など世界経済の先行きも不透明になってまいりました。こうしたリスクのある時こそ、未来に向けた変革を止めない強い意志が必要だと思っております。
その最大のテーマは「カーボンニュートラル社会の実現」です。
カーボンニュートラルは、私たちの暮らしそのものに変化を迫るものであり、「移動」を通じて、人々の暮らしを支えてきた自動車産業の変革を問うものでもあります。最初は、
私自身も、「何をすれば良いのか」よくわかりませんでした。
「カーボンニュートラルを正しく理解することから始めよう」と呼びかけることからまずはスタートいたしました。
「敵は炭素。内燃機関ではない」
「CO2削減は、エネルギーを『つくる』『運ぶ』『使う』全ての工程でやるもの」
「カーボンニュートラルという山の登り方は一つではない」
「技術力を活かすには、規制で選択肢をせばめるべきではない」
こうしたことを言い続けながら様々な「実装」実験を進め、その都度、分かってきたことを発信してまいりました。 その結果、世の中の理解も深まり、「一緒にやろう」という仲間も増えてまいりました。カーボンニュートラルは、日本の自動車産業のCASE技術を磨くチャンスでもあると思っております。 CASEの進化とともに、暮らしに深く根差したモビリティサービスなど、クルマが生み出す価値は、大きく広がってまいります。私は、「モビリティ産業」への変革を進めている自動車は、「成長産業」だと思っております。
だからこそ、岸田政権が掲げる「成長と分配」の原動力になれると考えております。
コロナ禍の2年間を見ても、
日本での設備投資と研究開発費は12兆円
稼いだ外貨は25兆円
新たに生み出した雇用は27万人
自動車産業は日本の「成長」を支えてきたと自負しております。
「分配」の観点においても、この春の労使協議では、自工会各社が中心となり、賃上げの流れを生み出すことができたと思っております。
その中で課題も見えてまいりました。自動車産業の中で交渉のテーブルにつける人は3割に過ぎません。組合組織がない7割の人たちにこの流れをつなげていくことが大切だと思っております。
「カーボンニュートラル」も「成長と分配」も、成り行きで実現できるものではありません。
「日本をもっとよくしたい」という強い想いと、国家戦略のもとみんなで一緒に動いていくことが求められております。
そのためにも今年、大きく踏み出すべきテーマが「自動車税制の改革」です。自動車業界といたしましては、「表年・裏年」という発想や「縦割り行政」から脱却した「骨太の議論」を求めてまいります。今の日本に必要なのは、エネルギーの課題を打開し、カーボンニュートラル対応を加速させながら、新しい成長の道筋をつくりだす、そんな成長戦略だと思います。 税のあり方も、こうした成長戦略・産業政策の中で腰を据えて見直すべきです。今年は、大局的な視点から自動車税制の見直し議論を深め、何とか道筋をつけたいと思っております。
そして、もうひとつ。
来年は東京モーターショーの年です。前回は、他業界にも参画いただき130万人の来場者を集めました。自動車を軸にして他業界と一緒にやれば100万人規模を集められることを証明できました。
その学びを生かし、来年の東京モーターショーは、「ジャパンオールインダストリーショー」という名前にしたいと思っております。モビリティの枠を超えて日本の全産業で連携し、さらにスタートアップ企業も巻き込んでいくことで、たくさんの人が集まる場にしたいと考えております。全く新しいショーを目指して名実ともに変革してまいりますので、ご期待いただきたいと思います。
最後になりますが、私の信念は、
「自動車はみんなでやっている産業」
「未来はみんなでつくるもの」
このふたつです。
日本の自動車産業の強みは、乗用だけでなく、商用・軽・二輪も含めたフルラインナップ体制です。この強みを生かしながら、「カーボンニュートラル」も「成長と分配」も、ペースメーカーとして役割を果たしてまいりますので、ぜひとも自動車産業をアテにしていただきたいと思っております。
「未来のために、地球のために」 意志と情熱をもって、 みんなで行動してまいりますので、 変わらぬご支援をよろしくお願いいたします。